145 / 380
災害か爆撃か
混乱する独逸帝国
しおりを挟む
ダム工事現場へ、偵察へ向かった独逸陸軍部隊から陸軍司令部に第1報が入る。 「偵察隊から司令部。」 「司令部です。」 「現場ですが、火炎が強くて近づけません。 まるで、隕石が落ちたかのようです。」 「生存者はどうか。」 「今のところ見ていません。」 「調査を続行してくれ。」 「現場、了解。」 陸軍からゲシュタポに連絡が入る。 陸軍はダム工事現場が原爆工場であることは知らない。 ゲシュタポは知っている。 ゲシュタポは非常召集をかけたが十分、人が集まらない。 「くっそ、なにもこんなときに爆発事故とは、運がわるい。」 ゲシュテポ司令部の言葉だ。 なぜか、英国と米国が独逸帝国領海の近くで、フランス海軍まで入れての環大西洋大規模軍事演習の最中なのだ。 ゲシュタポはその観戦や警戒やスパイ活動に、人員を割いていたからだ。 独逸帝国とは英国、米国やフランスは戦争状態ではない。 ただ、仮想敵国なだけだ。 しかし、いずれキバを剥く戦いになると独逸帝国も考えている。 それで、軍事演習にスパイ活動などは当然であるのだ。 ゲシュタポは当直から、少ない人数をさいてダム工事現場に向かうしかなかった。 消防隊や消防車も出来る限り出動したが、火炎がひどく近づけない。 現場周りに放水して延焼を防ぐのが精一杯であった。・・・・そのころ、レンジャー5人は海岸付近にたどり着いた。 帝国内は軍用車が走り回り、ヒトが右往左往していて検問どころではない。 消防車や救急車もサイレンを鳴らしまくり混乱に加勢していた。 赤レンガ造りの建物沿いに人影が走りぬけても、誰も気にもしなかった。 間もなく朝、4時だ。 そろそろ、サポート装置のバッテリーが・・・・と考えていたら、上空にビートルの乾いたエンジン音だ。 ビートルが着陸する、と同時に5人がハッチから乗り込んだ。 ビートルは沖合いの空母をめざす。 海底軍艦はロケット爆撃機が工事現場突入と同時に潜航して海中で待機、空母からの連絡を待つ。 ビートルが空母アマテラス改に現地時間、午前4時25分に着艦した。 空母アマテラス改艦長が「作戦、終了。」 と指令する。 アマテラス改は日の出と共にフランス軍港に表敬訪問の予定だ。 海底軍艦は海中を日本へ向けて、長い航海だ。 北極海を通りぬけて日本の母港である、横須賀の地下軍港を目指す。 原子力動力だから、潜ったままで航海できる。 今日は金曜だからカレーの日だ。 海底軍艦、特製カレーがでる日だ。 作戦が終了となるとカレーがイチダンとうまくなるのだ。 それは、空母アマテラス改でも同じだ。 アマテラス改特製の牛すじカレーだ。 著者も大好物である。 飛騨牛のスジ肉カレーはイツピンなのだ。 朝日が大西洋に昇る。 日本の軍事衛星が独逸帝国上空を写真を撮りながら通りぬける。 カプセルが衛星から地上に向けて発射される。 カプセルは耐熱容器にガラスのカバーが分厚くついている。 そのガラスが落下の空気摩擦熱で溶けて耐熱容器をつつんで守る。 燃えながら落下するカプセル。 その落下予想地点の太平洋、小笠原海域付近には空母タケミカズチのヘリが何機も飛び回り回収用意万全だ。 作戦成功の可否は衛星写真で判断する。 独逸帝国がダム工事現場の惨状を発表するとは思えないからだ。 カプセルは無事回収されたようだ。 はやく現像にまわせ、と声が聞える。 さあ、結果が気になる。
0
お気に入りに追加
299
あなたにおすすめの小説
満州国馬賊討伐飛行隊
ゆみすけ
歴史・時代
満州国は、日本が作った対ソ連の干渉となる国であった。 未開の不毛の地であった。 無法の馬賊どもが闊歩する草原が広がる地だ。 そこに、農業開発開墾団が入植してくる。 とうぜん、馬賊と激しい勢力争いとなる。 馬賊は機動性を武器に、なかなか殲滅できなかった。 それで、入植者保護のため満州政府が宗主国である日本国へ馬賊討伐を要請したのである。 それに答えたのが馬賊専門の討伐飛行隊である。
零式輸送機、満州の空を飛ぶ。
ゆみすけ
歴史・時代
ダクラスDC-3輸送機を米国からライセンスを買って製造した大日本帝国。 ソ連の侵攻を防ぐ防壁として建国した満州国。 しかし、南はシナの軍閥が・・・ソ連の脅威は深まるばかりだ。 開拓村も馬賊に襲われて・・・東北出身の開拓団は風前の灯だった・・・
出撃!特殊戦略潜水艦隊
ノデミチ
歴史・時代
海の狩人、潜水艦。
大国アメリカと短期決戦を挑む為に、連合艦隊司令山本五十六の肝入りで創設された秘匿潜水艦。
戦略潜水戦艦 伊号第500型潜水艦〜2隻。
潜水空母 伊号第400型潜水艦〜4隻。
広大な太平洋を舞台に大暴れする連合艦隊の秘密兵器。
一度書いてみたかったIF戦記物。
この機会に挑戦してみます。
西涼女侠伝
水城洋臣
歴史・時代
無敵の剣術を会得した男装の女剣士。立ち塞がるは三国志に名を刻む猛将馬超
舞台は三國志のハイライトとも言える時代、建安年間。曹操に敗れ関中を追われた馬超率いる反乱軍が涼州を襲う。正史に残る涼州動乱を、官位無き在野の侠客たちの視点で描く武侠譚。
役人の娘でありながら剣の道を選んだ男装の麗人・趙英。
家族の仇を追っている騎馬民族の少年・呼狐澹。
ふらりと現れた目的の分からぬ胡散臭い道士・緑風子。
荒野で出会った在野の流れ者たちの視点から描く、錦馬超の実態とは……。
主に正史を参考としていますが、随所で意図的に演義要素も残しており、また武侠小説としてのテイストも強く、一見重そうに見えて雰囲気は割とライトです。
三國志好きな人ならニヤニヤ出来る要素は散らしてますが、世界観説明のノリで注釈も多めなので、知らなくても楽しめるかと思います(多分)
涼州動乱と言えば馬超と王異ですが、ゲームやサブカル系でこの2人が好きな人はご注意。何せ基本正史ベースだもんで、2人とも現代人の感覚としちゃアレでして……。
土方歳三ら、西南戦争に参戦す
山家
歴史・時代
榎本艦隊北上せず。
それによって、戊辰戦争の流れが変わり、五稜郭の戦いは起こらず、土方歳三は戊辰戦争の戦野を生き延びることになった。
生き延びた土方歳三は、北の大地に屯田兵として赴き、明治初期を生き抜く。
また、五稜郭の戦い等で散った他の多くの男達も、史実と違えた人生を送ることになった。
そして、台湾出兵に土方歳三は赴いた後、西南戦争が勃発する。
土方歳三は屯田兵として、そして幕府歩兵隊の末裔といえる海兵隊の一員として、西南戦争に赴く。
そして、北の大地で再生された誠の旗を掲げる土方歳三の周囲には、かつての新選組の仲間、永倉新八、斎藤一、島田魁らが集い、共に戦おうとしており、他にも男達が集っていた。
(「小説家になろう」に投稿している「新選組、西南戦争へ」の加筆修正版です)
架空戦記 旭日旗の元に
葉山宗次郎
歴史・時代
国力で遙かに勝るアメリカを相手にするべく日本は様々な手を打ってきた。各地で善戦してきたが、国力の差の前には敗退を重ねる。
そして決戦と挑んだマリアナ沖海戦に敗北。日本は終わりかと思われた。
だが、それでも起死回生のチャンスを、日本を存続させるために男達は奮闘する。
カクヨムでも投稿しています
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる