大東亜戦争を有利に

ゆみすけ

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シンドラーの捜索

どこに消えたのだ。

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 シンドラーの一族を収容した海底軍艦が独逸帝国沿岸を離れる頃、太陽が顔を出した。 各、検問所は朝から忙しい。 手配書をバイクで配る隊員。 緊急呼び出しで、集まってくる軍人達。 海岸沿いは非常線が張られてアリ一匹這い出るスキもない。 さすが、独逸帝国の守りだ。(とりあえず誉めておく。) ゲシュタボは、またレーダー監視所に立ち入る、「レーダーに不審な飛行機は反応しなかったのだな。」 「ハイ、うちの上がった検索機は反応しています、飛行機をやつらは使ってはいません。」 「うむ、やはり地上しか考えられん。」 レーダーに反応しないステルスなど、まだ考えも及ばない独逸空軍だ。 ここに不審なことを言ってきた市民がいた。 ゲシュタボが応対する。 「早朝、とつぜん、家の窓ガラスが割れました。」 「なんか衝撃をうけた感じなのですが。」 「飛行機は見たか。」 「いえ、エンジンの音も飛行機も見ては居ません。」 「ただ、不審なことは届けよとの広報を聞きましたので。」 そう、ラジオで不審なことは届出よと広報されたのだ。 「何の音も聞かなかったのか。」 「いえ、キーンというカン高い音は聞きましたが。」 「うむ、飛行機のエンジン音ではないな。」  キーンとはダーボプロップの発する音だ。 ゲシュタボは、あまりハッキリしない報告で、混乱した。 不審な音、割れた窓ガラス。 推理はホームズでも無理だろう。  海底軍艦のVTOLはブーストを駆けてロケット推進まで駆けた。 で、亜音速のソニックブームで、窓ガラスが割れたのだ。 そんなことは想像だにできないゲシュタボだ。 そして、検索飛行機から眼をそらすためVTOLは超低空で飛んだのだ。 距離が近いほど相対速度は増すから、飛行機を見たものはいないのだ。 早朝のモヤの中を飛ぶVTOLは誰も見ることはできなかった。 またステルスで、独逸帝国自慢の防空網にも引っかからない。 検問所の規制を密にして、陸上を封鎖しても遅かった。 そのころは、シンドラーら5名とスパイ5人は大西洋の海中を進む潜水艦内だった。 艦長がシンドラーらを朝食に招待した。 テーブルにミルクやトースト、スクランブルエッグが並ぶ。 9歳の娘は有頂天だ。 亡命のゴタゴタで空腹であったからだ。 コーヒーを飲みながらシンドラーが「日本の技術はすごい、この艦は動力が原子力ですか、よく開発できましたね、まあ誰かは聞きませんが。」 「そう言ってもらえて助かります。」 うすうす、感づかれたかと思う艦長だ。 「三日後には米国沿岸です。 米国の船が待っていますので、短い間ですがオクツロギください。」 艦長の言葉にシンドラー博士は感謝の意を示した。  艦長が発令所にもどる。 副長が「この艦の機密をどうします。」 「9歳の娘には無理だろう。」 米国沿岸で、海底軍艦は浮上しないのだ。 海底軍艦の非常脱出装置で、(小型の潜航艇の様な物だ。)海上まで10人を運び、救命ボートに移乗してもらう手筈だ。 米国民には海底軍艦の姿は見せない。 口止めもしないつもりだ。 うわさは、ウワサであり、勝手に走り出すものだ。 ウワサは噂となり誇張されて、万能戦艦どころでは、なくなるから、何もしないつもりの艦長だった。 いまだに空飛ぶヘリ空母を信じるA国民は多いのだ。
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