大東亜戦争を有利に

ゆみすけ

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海底軍艦、浮上

ベント開け、浮上だ。 

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 独逸帝国の海岸から沖に50キロ地点の海だ。  あまり海岸に近づくと海が浅くなり座礁してしまう。 海底軍艦は潜望鏡で回りを探った。 なにも不審なものは無かった。 「ベント開け、浮上だ。」 艦長が判断した。 「VTOL用意、浮上と同時に発進。」 つぎつぎと指令が飛ぶ。 海底軍艦の乗組員は海軍の精鋭から選んだ。 精鋭の中の精鋭だ。 「艦、浮上まで10秒。」 「ビートル搭乗員は用意よし。」 「ビートルのターボプロップ始動は浮上と同時に、即発進だ。」 「用意よし。」 きびきびと命令が飛び、返令が飛ぶ。 夜明け前の海に海底軍艦は浮上した。 格納庫が開く、ビートルが飛び出した。 格納庫が閉まる。 艦は潜航する。 この間、わずか20秒だった。 艦長は「よし、以前よりコンマ0,5秒短縮されたな。」 と誉める。 副長が、「余り誉めるとズに乗りますよ。」といさめた。 「深度50で固定し、ビートル帰還を待つ。」 指令が飛ぶ。 ビートルは試作から改良を重ねて3作目だ。 形は昆虫みたいで、角がない。 翼も小さい。 でかいペラがプロップジェットエンジンで廻る。 速度は780キロ巡航可能だ。 ビートル前部にはレーダードームがある。 ここにステルスの秘密がある。 レーダーは電波の反射波を検知して飛行機を発見する道具だ。 反射波を反射しなければステルスとなるのだ。 反射波を跳ね返すのではなく、角度を変えて反射させればいいのだ。 ビートルの超高速演算機がレーダー電波を捉えて、角度や方向を割り出し、電波の中和波を発信して、さらに反射電波の方向を変える対レーダー反射電波を発信する。 ようは、バリアみたいなものだ。 半径はビートルの大きさだ。 このステルス装置で独逸帝国防空網をかいくぐるのだ。 この技術は超高速演算機の開発で初めて可能となったのだ。これには普通の電線では容量が少なくダメであり、光通信の透明ケーブルの開発で演算機が開発できた。 演算機なくして日本軍の最先端兵器は動かないのだ。 まあ、光ケーブルパソコンだが。 早朝のモヤを突いてビートルは会合地点を目指した。 なるべく感づかれないように人家は避けて山の上などを飛行した。 もうすぐ会合時間だ。 ユダヤスパイは少し不安になる。 本当に来るのか、まだエンジン音が聞えない。 もう時間だ。 するとスパイの目前にビートルが降下してくる。 来た。 見た。 なんだ、この飛行機は、スパイにはわからなかった。 翼を立てにしてペラを上に廻した、ビートルが広場に着陸する。 ハッチがパカと開く。 中から人の手で、入れの合図だ。 スパイは当然、自分は残ると思っていた。 現場に残りスパイとしての最期を飾るのだ。 しかし、入れはスパイも指示する。 なんと10人全員が乗った。  ビートルは飛び立った。 目指すは海底軍艦との会合地点だ。  
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