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戦車開発競争
どんでん返し
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戦車開発は五社が競っていた。
なかでも1位予想はトヨスだ。
資本力から違うからいたしかたないが、2位予想がホンヤだった。
まああとは、それなりだった。
最下位予想はデーハツだった。
ヤーさんの賭け率もそんなものだった。
ここは、デーハツのテストコースだ、なんか四角い箱の無限軌道がついた軽自動車くらいの物がうなっていた。 動かない、馬力がないから。
社長がいう、「オイせめて動くやつにしてくれ、動かないと研究費をかえさなくては、ならない。」
それでは、社が潰れるから。
社長は考えた、毛のない頭で考えて困り相談した。
相手は鉄道開発会社の友人だ。
郷里が同じで幼馴染だった。 アポを取る。
すぐに会ってくれた。
デーハツ社長は友人にいう。
「なんとか形になりそうな物がつごうつかないかね。」
友人は、「デーゼル機関車の車輪を無限軌道に変えればどうかな。」
「機関車は予算が。」
「イヤ廃車のを使うから運びチンだけでいいよ。」
「では、お願いします。」と社長は胸をなでおろした。
しばらくしてデーハツに、デーゼル機関車の廃車が届く。
デーハツ得意の軽自動車の10倍の大きさだ。
社員連中は機関車の車輪を外して、無限軌道をやっつけ仕事でくっけた。
テストコースで試した。
動いた、まあ動いていた機関車だ、動くだろう。
みなバンザイだ。 これで首にならずにすむと。
さあ戦車テスト公開日だ。
上野にある国立練兵場が会場だ。
一般公開だ。 もちろん協力費と称して入場料は徴収した。 国もチャツカリしている。
テストコースは練兵場を一周して速度を競う。
途中は山や谷を作ってある。
戦車だから越えねばならないのだ。
五台の試作が並ぶ、なお兵装はしていない。
アナウンサーいわく「さあ、今日がやってまいりました。 コースには各社の試作戦車が並んでいますが、あの大きいのは、デーハツですか、動くんですか。」
「次はトヨスのですが、かっこいいですね、さすが天下のトヨスです。」 「さあ、スタートです。」
五台が動き出した。
結果は、驚くことにデーハツだった。
そりゃ機関車のデーゼルエンジンだ。
1200馬力で動かすからハンパではない。
時速60キロで走りぬけた。
山、谷を60キロだ、うそではない。
トヨスが40キロ、あとは、もうどうでもいい。
大穴だ、当てた、にわか成金があまた誕生した。
困ったのはデーハツ社長だ。
造れないのだが、政府から発注がきたらどうしょう。
逃げるところが無い。
政府関係者、とくに陸軍大将は上機嫌だった。
時速60キロだ、欧米は30キロがせいぜいの時代だ。
日本軍の時速60キロの戦車は強い抑止力だ。
政府は、正式採用と、とりあえず100両、今年中に作れと命令だ。
デーハツ社長、腰が抜けて動けなかった。
いまさら、適当なやっつけ仕事だ、なんて死んでもいえない。
どうしたか、答えは鉄道開発会社と合弁したデーハツ戦車を立ち上げた。
今のDSKだ。 戦車の世界シェアのトップだ。 まさにひょうたんから駒だった。
なかでも1位予想はトヨスだ。
資本力から違うからいたしかたないが、2位予想がホンヤだった。
まああとは、それなりだった。
最下位予想はデーハツだった。
ヤーさんの賭け率もそんなものだった。
ここは、デーハツのテストコースだ、なんか四角い箱の無限軌道がついた軽自動車くらいの物がうなっていた。 動かない、馬力がないから。
社長がいう、「オイせめて動くやつにしてくれ、動かないと研究費をかえさなくては、ならない。」
それでは、社が潰れるから。
社長は考えた、毛のない頭で考えて困り相談した。
相手は鉄道開発会社の友人だ。
郷里が同じで幼馴染だった。 アポを取る。
すぐに会ってくれた。
デーハツ社長は友人にいう。
「なんとか形になりそうな物がつごうつかないかね。」
友人は、「デーゼル機関車の車輪を無限軌道に変えればどうかな。」
「機関車は予算が。」
「イヤ廃車のを使うから運びチンだけでいいよ。」
「では、お願いします。」と社長は胸をなでおろした。
しばらくしてデーハツに、デーゼル機関車の廃車が届く。
デーハツ得意の軽自動車の10倍の大きさだ。
社員連中は機関車の車輪を外して、無限軌道をやっつけ仕事でくっけた。
テストコースで試した。
動いた、まあ動いていた機関車だ、動くだろう。
みなバンザイだ。 これで首にならずにすむと。
さあ戦車テスト公開日だ。
上野にある国立練兵場が会場だ。
一般公開だ。 もちろん協力費と称して入場料は徴収した。 国もチャツカリしている。
テストコースは練兵場を一周して速度を競う。
途中は山や谷を作ってある。
戦車だから越えねばならないのだ。
五台の試作が並ぶ、なお兵装はしていない。
アナウンサーいわく「さあ、今日がやってまいりました。 コースには各社の試作戦車が並んでいますが、あの大きいのは、デーハツですか、動くんですか。」
「次はトヨスのですが、かっこいいですね、さすが天下のトヨスです。」 「さあ、スタートです。」
五台が動き出した。
結果は、驚くことにデーハツだった。
そりゃ機関車のデーゼルエンジンだ。
1200馬力で動かすからハンパではない。
時速60キロで走りぬけた。
山、谷を60キロだ、うそではない。
トヨスが40キロ、あとは、もうどうでもいい。
大穴だ、当てた、にわか成金があまた誕生した。
困ったのはデーハツ社長だ。
造れないのだが、政府から発注がきたらどうしょう。
逃げるところが無い。
政府関係者、とくに陸軍大将は上機嫌だった。
時速60キロだ、欧米は30キロがせいぜいの時代だ。
日本軍の時速60キロの戦車は強い抑止力だ。
政府は、正式採用と、とりあえず100両、今年中に作れと命令だ。
デーハツ社長、腰が抜けて動けなかった。
いまさら、適当なやっつけ仕事だ、なんて死んでもいえない。
どうしたか、答えは鉄道開発会社と合弁したデーハツ戦車を立ち上げた。
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