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第9話 後悔
しおりを挟む俺はステータスの板を出現させ、スキルを得る為の方法を探していた。
SPの文字に触れるともう一枚板が現れ、そこに取得可能な技能がずらりと並んでいたのだが、その数が余りに膨大過ぎた。
50くらいまでは数えていたが、???になっていて確認出来ないものも多くあり、途中で数えるのを止めた。
( 一体いくつあるんだこれ… )
しばらく無言で探していると、ようやく目的の技能を
見つけることが出来た。
文字に触れると、取得の確認を促され、少し躊躇いつつも「はい」を選ぶ。
瞬間、例の音と声が聞こえた。
《 技能:修復 を 取得しました 》
ステータスを見ると、技能欄に修復 が追加
されていた。
はやる気持ちを抑え切れず、早速使ってみる。
( えーっと…こうか? 修復 !)
一瞬、身体が光に包まれ、輝きが傷跡に集まっていく。
光が消えると、身体の何処にも傷は無くなっていた。
俺は傷が無くなったことよりも、自分が新しい力を得たことに心を躍らせていた。
はやる気持ちを押さえきれず、すぐさま新しい技能を得ようとするが、ステータスの板を見て我に返る。
スキルポイントが減っていた。
( そう言えば説明欄にも書いてあったっけ… )
当然、減っていくものを無闇に使う訳にはいかない。
しかし、新しい技能は使ってみたい。
そんな葛藤の末、あと一つだけと甘い考えで他の技能を眺めていく。
結果、今後のことを考えて技能を取得した。
《 技能:検索 を 取得しました 》
これは、思い浮かべた単語に関連した情報を目の前に表示するというものらしい。
これで欲しい技能や分からない単語を調べることが出来る。
その後、取得したばかりの検索を駆使して色々な技能やその内容を調べていく。
ときおり興味を惹かれる技能や検索の便利さに俺はかなり浮かれていた。
…数時間後、俺のスキルポイントは 0 になっていた。
( あぁ…やってしまった… )
巨大な背中を丸め、膝をついて項垂れる。
検索を使って、面白そうと思った技能を何かともっともらしい理由を付けて次々取得していった。
ポイントを使い切った時にはもう遅く、それなりの満足感を得た後、ドッと後悔が押し寄せて来た。
( 何やってんだ俺は…、)
技能:修復 、検索 、水魔法、収納、変形魔法
これらが、今の俺の得た技能だ。
ほぼ思い付きで選んでいて、
水魔法は習得が他の魔法より簡単で入門向きらしいから、収納は手荷物が無くなって楽そうだから、変形魔法に至ってはその響きに心が惹かれたからなどとというのが選んだ理由である。
冷静に考えてみると、どれもこれも今必要なものでは
無かったが、もう取ってしまったものは仕方がない。
何とか使い道を考えていこうと思う。
( まずは技能の詳細でも見直すか )
慣れた動きでステータスの板を出し、ゴツい指でゆっくり文字に触れる。
○水魔法:水系統の魔法を扱えるようになる技能。
扱える魔法は、使用者のイメージと熟練度によって
左右される。
( つまり、練習しないと今すぐには使えない訳か )
○収納:異空間に物体を時間凍結させて保存することが出来る技能。異空間の広さは魔力の最大値に依存する。 生物を入れることは出来ない。
( 魔力ってことは、俺の異空間は割と広いかもな )
( …今のところ、入れるような物は無いけどな )
○変形魔法:魔力で物の形を変えることが出来る技能。
魔力の消費量は、対象のサイズや精度によって変わる。
( 形を変えるって言ってもなぁ…。 鎧の装飾なんか
弄っても仕方ないし… )
そこでふと、ある事を思い付く。
( …いやもしかして…こうすれば…?)
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