新生魔術師はゆっくり暮らしたい

普通の生活がしてみたい。

魔術師として極みに辿り着いた男が抱いたのは、そんなありきたりな願望だった。

とはいえ、ただの普通ではない。未来の普通だ。
弟子たちの生み出した新技術。
それが社会を変革することを確信した時、男はあることを決意した。

生まれ変わり。『新生の魔術』によって身体を作り変え、未来の世界で暮らすことを。

無事に『新生の魔術』に成功し、マナールと名乗ることにした男は、静かに行動を開始する。
文明の進んだ社会で、楽しく暮らすために。

しかし、そう簡単にことは運ばない。
地道に暮らしを整えようとするマナールに、魔術師達の陰謀が次々と襲いかかる。
辿り着いた町は面倒事だらけだったのだ。
それらを実力で軽く薙ぎ払っていくが、大きな力は大きなトラブルを招き寄せる。
それこそ、町の勢力図を変えるほどの規模で。

「私は普通に暮らしたいだけなのに！　なんでこうなるんだ！」

そんな本人の意思を無視して、今日もマナールは厄介事に巻き込まれる。

果たして、彼は平穏な日常を手に入れることができるのか。