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二十六章 幕
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思い当たる事って言やぁそりゃ、アルフォンソが親父さんとお袋さんを手に掛けた事についてとかだが。
「……もし、アルフォンソがどうして内乱の時にあんな行動を起こしたのかってのを考えてんなら、んなの今考えるだけムダだぜ。
真相はアルフォンソ本人か──アルフォンソを幽閉してたセルジオが知ってるかどうかってくらいだろ。
それにアルフォンソがこの状態じゃ、今後全部を語れるとも限らねぇ。
だから、さ。
真相は闇の中、でいいじゃねぇのか?
王と王妃は内乱の時に巻き込まれて死んじまった。
それだけが事実って事で。
……まぁこれまで通り、レイジスの兄貴にゃお前が何か隠してるって思われて、多少はお前の信用に傷が付くかもしんねぇけど」
ジュードの“思い詰め”とは全く見当外れの事を言ってんのかもしんねぇと思いつつ、とりあえずそう口を開く。
実を言うと、ジュードからの答えをあんまし期待してなかったからだったが……。
犬カバも俺からジュードの方へ視線を向けるが、もちろん俺の予想通り、ジュードは無言を貫くだけだ。
俺は軽く嘆息して頭をカリカリ掻く──と……。
「……俺が気になっているのは、」
ジュードから、重い声が届いた。
俺はその声に、思わずジュードの方を見る。
ジュードは言う。
「セルジオ・クロクスナーの事だ。
当時、アルフォンソ様と奴が繋がっていなかったのだとすれば……何故奴はアルフォンソ様を幽閉していた……?
奴がもし、アルフォンソ様が王陛下に手を下した事を知っていたのだとしたら……」
最後に、どこか不穏な空気がちらりと混じった──……気がした。
「──いや、何でもない」
俺がその不穏な空気に気づいたと思ったから、なのかどうかは分からねぇが。
ジュードはそう言って言葉を終える。
俺はけど……その先を問いただす事が、何故だか出来なかったのだった──……。
「……もし、アルフォンソがどうして内乱の時にあんな行動を起こしたのかってのを考えてんなら、んなの今考えるだけムダだぜ。
真相はアルフォンソ本人か──アルフォンソを幽閉してたセルジオが知ってるかどうかってくらいだろ。
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俺がその不穏な空気に気づいたと思ったから、なのかどうかは分からねぇが。
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