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十二章 清算
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◆◆◆◆◆
「………」
ヘイデンの屋敷のいつもの応接間に通された俺は……ただただ静かに席にかけて、もうじき帰ってくるっていうヘイデンの帰りを待っていた。
目の前のテーブルの上には、香りのいい紅茶とクッキーが。
俺の足元にはミルクの入った皿が用意されていて、犬カバがうれしそうにそいつを舐めている。
全部、執事のじーさんが用意してくれたモンだ。
その執事のじーさんはってぇと、今は少し席を外していた。
何かの用があったみてぇには見えなかったから……もしかしたら俺が、少し一人で頭ん中を整理する時間が欲しいと思っていたのを、察したのかもしれねぇ。
それにしても──……。
いつもの応接間、か。
ぼんやりと、テーブルの上の茶と菓子を見つめながら、俺は思う。
いつもの、なんて言葉が自然に出て来るほど、俺にとっては……昔の俺にとっては、ここは馴染み深い場所だったらしい。
んな簡単な事すらすっかり忘れちまってた。
一体俺の記憶はどーなってやがるんだ。
ダルクの事もそう、ヘイデンやシエナの事もそう。
それに──あの、夢に出て来た男、ゴルドーの事も、そうだった。
こんなに重要な事ばっかり……なんで俺は、簡単に忘れちまう事が出来たんだろう。
どうして俺は………。
俺は……昼間見たゴルドーの姿を思い出し、そして夢の中での出来事を頭の中で反芻して、思わず眉を寄せる。
そうして俺の足元で相変わらず幸せそうにミルクを舐めている犬カバへ、声をかける。
「………なぁ、犬カバ?
んな事があり得ると思うか?
あのゴルドーが、昔 俺を引き取って育てようとしてくれてた、なんてよ……」
ぽつり、聞くともなしに聞く……と。
犬カバが「クヒッ?!」とびっくりした様に俺を見る。
そうしてすぐに「ブッフ」と小馬鹿にした様に鼻で息をついた。
バカな事言うなよ、って言わんばかりだ。
……そりゃ、そうだよなあ。
シエナやヘイデンが俺を引き取ろうとしてたってんならまだ分かる。
だけど、実際に引き取ろうとしてたのはあのゴルドー?
口が悪くて、服の趣味も最悪で、一億ハーツの借金踏み倒しただけだってのに、懸賞金かけて俺をぶっ殺そうとしてる、あの。
けどよ……。
昔 自分が引き取ろうとした大切なかわいい子供(いや、今はもう十分大人だけど) に、フツーんなひでぇ事するか?
~絶対ぇ、あり得ねぇ。
思いかけて……俺はすぐに いや、と頭を振って考え直す。
……ゴルドーの野郎なら、それくらいの事平気でやりかねねぇ……気もする。
それに、だ。
~大体、考えてみりゃ最初っからおかしな話だったんだよな。
担保もねぇし、借金を返せる保証も、当てもねぇ。
どこの誰かも分からねぇ、ただのちょっとイケメンなだけのガキ。
んな奴に、あのゴルドーが一億ハーツもの大金をあっさり貸してくれる訳がねぇ。
あれは俺だったから……元は自分が世話をしてやるはずだったガキだったから……だから、こんな大金でもあっさりと貸し付けた。
そう考える方が自然っちゃ自然か。
それに一億ハーツって額は元々、俺がヘイデンから飛行船を買い取る為に、ヘイデン自身から提示された額だった。
ゴルドーの野郎は、それを知ってたんだ。
そしてヘイデンやシエナも、俺がゴルドーから一億ハーツを借りて、そいつを即座にギャンブルで使い果たした事をゴルドーから聞いていた。
だから手配書には書かれていなかったのに、俺が『飛行船を買い取るより先に何に』金を使っちまったのか、知っていたんだ。
いや、待てよ……。
そーすると、あの時俺が大負けしたギャンブルは……もしかして………。
俺はある一つの仮説に辿り着いて……そうして はぁっと一つ息をついて、顔を覆うように片手で押さえる。
──と、
「一体何の溜息だ?」
ふいに横から声をかけられる。
その、突然かけられた声に。
俺はパッと思わず顔を上げ、声の主を見上げる。
そこに立っていたのは灰色がかった金髪の、背の高い男──ヘイデンだった。
「~っヘイデン。
何だよ、ノックもせずに……」
思わず条件反射で文句を言うと、
「私の屋敷の私の応接間に入るのにノックが必要か?」
ヘイデンが俺の横を追い越しながら、言ってくる。
一応問いかける形で聞いちゃあきたが、実際には『全く必要ないだろう』って言わんばかりだ。
……けど俺、一応客人だぜ?
客を待たせてる部屋に……っつーかそもそも人のいる部屋に、ノックもなしでいきなり戸を開けて入ってくるってどーなんだよ?
思いはしたが……まぁいいや、と簡単に受け流す。
どーせ客ってガラじゃないしな。
今更かしこまられても気持ち悪ぃか。
俺が軽く肩をすくめてヘイデンの言葉を受け流すと、ヘイデンが「それで?」と当たり前の様に俺の前の席にかけながら口を開いた。
「体の具合はもういいのか?」
「ああ、まぁ。
ほとんど何の問題もねぇよ。
こーして一人で出歩けるようになったし、痛みもほとんどねぇ。
ま、俺の驚異の回復力の賜物だな」
ヘヘンと笑って言うと「調子に乗るな」と溜息混じりの一言で返される。
そうして話を変えてきた。
「……。
今日は大統領も出席する会議に出てきたのだろう?
帰りにここに寄るとは聞いていなかったが……例の借金の肩代わりの件、片がついたのか?」
問いかけてくる。
ヘイデンがどういう意味での『片をつけたのか』を聞いてきたのかは分からなかったが……俺はちょっとだけ肩をすくめてみせた。
「~まあ。
借金の肩代わりは、受けない事にしたよ。
一億ハーツの借金は、人の手を借りずに自分の力で返す事にした」
言うと、
「──そうか」
ヘイデンがたった一言で返してくる。
俺のこの答えに予想をつけてたのか、それともそういう訳でもなかったのかは判別出来なかったが……俺もあえてそいつを聞いてみようとは思わなかった。
代わりに別な事を、言う。
「それから………」
言いかけて俺は少しの間の後に言葉を繋ぐ。
「……会議室を出てちょっとの所で、ゴルドーのやつに会ったよ」
言うと、ヘイデンの片眉がピクリと一つ動いた。
俺は続ける。
「っつっても、遠目に見ただけだけど。
大統領がさ、俺の指名手配を早めに解いてやろうと思って、前もって呼んでたんだってさ。
ゴルドーのやつ、いつものあの格好でやって来たもんだから警備の連中に不審人物と間違われててさ。
すげー騒ぎだったぜ」
へへっと少し笑いながら、至って明るい口調で言う。
ヘイデンは静かに息をついた。
「あの男らしいな」
「ああ」
ただ、それだけ返事をする。
犬カバがチャピチャピとミルクを舐める音だけが部屋に残った。
俺は……少しの間を空けて、ようやっと口を開く。
「……。
その、ゴルドーの事なんだけど。
昔の事、ちょっとだけ、思い出した……気がするんだよな」
言うと、ヘイデンが片眉を上げる。
俺は鼻で深く息を吐いて、言葉を続けた。
「……ゴルドーの野郎も、昔あんたやダルクと一緒に飛行船造りをしてた仲間だった。
そんで……ダルクが死んだ時、俺はあいつに引き取られる事になってた……。
……そうなんだろ?」
問いかけた先で──ヘイデンがただ沈黙する。
犬カバが、急にゲフッ、ゴホゴホと俺の足元で咳き込む。
そうして『さっきのはマジだったのか!?』ってばかりにギョッとして俺を見てくんのが目の端に映る。
けど俺は、ヘイデンをまっすぐ見据えて、目を離さなかった。
ヘイデンには何の変化も見られない。
眉の一つも上がらない。
口も開かなかったが……そいつが逆に答えを俺に教えていた。
俺は小さく息をついて言う。
「……何でシエナもあんたも、その事を言わなかったんだよ?
俺が聞かなかったから、なんて言い訳はナシだぜ。
俺は記憶を失くしてたんだから」
俺にこの事を言うのに何も問題がなかったんなら、『ゴルドーの事で何か思い出さないのか?』くらいは聞いてきてたはずだ。
そう考え言った先で、ヘイデンが淡々と言葉を返す。
「……。
お前は昔の事を思い出そうとすると体調を崩すだろう。
俺は別に構わんが、シエナが心配そうな顔をする。
どうせお前は結局ゴルドーの元に留まらなかったのだし、本人が思い出さないものを今更言って聞かせる必要もなかった。
それとも言えば何かが変わったか?
一億ハーツの借金を、なかった事にしてもらえたとでも?」
「………」
ヘイデンの屋敷のいつもの応接間に通された俺は……ただただ静かに席にかけて、もうじき帰ってくるっていうヘイデンの帰りを待っていた。
目の前のテーブルの上には、香りのいい紅茶とクッキーが。
俺の足元にはミルクの入った皿が用意されていて、犬カバがうれしそうにそいつを舐めている。
全部、執事のじーさんが用意してくれたモンだ。
その執事のじーさんはってぇと、今は少し席を外していた。
何かの用があったみてぇには見えなかったから……もしかしたら俺が、少し一人で頭ん中を整理する時間が欲しいと思っていたのを、察したのかもしれねぇ。
それにしても──……。
いつもの応接間、か。
ぼんやりと、テーブルの上の茶と菓子を見つめながら、俺は思う。
いつもの、なんて言葉が自然に出て来るほど、俺にとっては……昔の俺にとっては、ここは馴染み深い場所だったらしい。
んな簡単な事すらすっかり忘れちまってた。
一体俺の記憶はどーなってやがるんだ。
ダルクの事もそう、ヘイデンやシエナの事もそう。
それに──あの、夢に出て来た男、ゴルドーの事も、そうだった。
こんなに重要な事ばっかり……なんで俺は、簡単に忘れちまう事が出来たんだろう。
どうして俺は………。
俺は……昼間見たゴルドーの姿を思い出し、そして夢の中での出来事を頭の中で反芻して、思わず眉を寄せる。
そうして俺の足元で相変わらず幸せそうにミルクを舐めている犬カバへ、声をかける。
「………なぁ、犬カバ?
んな事があり得ると思うか?
あのゴルドーが、昔 俺を引き取って育てようとしてくれてた、なんてよ……」
ぽつり、聞くともなしに聞く……と。
犬カバが「クヒッ?!」とびっくりした様に俺を見る。
そうしてすぐに「ブッフ」と小馬鹿にした様に鼻で息をついた。
バカな事言うなよ、って言わんばかりだ。
……そりゃ、そうだよなあ。
シエナやヘイデンが俺を引き取ろうとしてたってんならまだ分かる。
だけど、実際に引き取ろうとしてたのはあのゴルドー?
口が悪くて、服の趣味も最悪で、一億ハーツの借金踏み倒しただけだってのに、懸賞金かけて俺をぶっ殺そうとしてる、あの。
けどよ……。
昔 自分が引き取ろうとした大切なかわいい子供(いや、今はもう十分大人だけど) に、フツーんなひでぇ事するか?
~絶対ぇ、あり得ねぇ。
思いかけて……俺はすぐに いや、と頭を振って考え直す。
……ゴルドーの野郎なら、それくらいの事平気でやりかねねぇ……気もする。
それに、だ。
~大体、考えてみりゃ最初っからおかしな話だったんだよな。
担保もねぇし、借金を返せる保証も、当てもねぇ。
どこの誰かも分からねぇ、ただのちょっとイケメンなだけのガキ。
んな奴に、あのゴルドーが一億ハーツもの大金をあっさり貸してくれる訳がねぇ。
あれは俺だったから……元は自分が世話をしてやるはずだったガキだったから……だから、こんな大金でもあっさりと貸し付けた。
そう考える方が自然っちゃ自然か。
それに一億ハーツって額は元々、俺がヘイデンから飛行船を買い取る為に、ヘイデン自身から提示された額だった。
ゴルドーの野郎は、それを知ってたんだ。
そしてヘイデンやシエナも、俺がゴルドーから一億ハーツを借りて、そいつを即座にギャンブルで使い果たした事をゴルドーから聞いていた。
だから手配書には書かれていなかったのに、俺が『飛行船を買い取るより先に何に』金を使っちまったのか、知っていたんだ。
いや、待てよ……。
そーすると、あの時俺が大負けしたギャンブルは……もしかして………。
俺はある一つの仮説に辿り着いて……そうして はぁっと一つ息をついて、顔を覆うように片手で押さえる。
──と、
「一体何の溜息だ?」
ふいに横から声をかけられる。
その、突然かけられた声に。
俺はパッと思わず顔を上げ、声の主を見上げる。
そこに立っていたのは灰色がかった金髪の、背の高い男──ヘイデンだった。
「~っヘイデン。
何だよ、ノックもせずに……」
思わず条件反射で文句を言うと、
「私の屋敷の私の応接間に入るのにノックが必要か?」
ヘイデンが俺の横を追い越しながら、言ってくる。
一応問いかける形で聞いちゃあきたが、実際には『全く必要ないだろう』って言わんばかりだ。
……けど俺、一応客人だぜ?
客を待たせてる部屋に……っつーかそもそも人のいる部屋に、ノックもなしでいきなり戸を開けて入ってくるってどーなんだよ?
思いはしたが……まぁいいや、と簡単に受け流す。
どーせ客ってガラじゃないしな。
今更かしこまられても気持ち悪ぃか。
俺が軽く肩をすくめてヘイデンの言葉を受け流すと、ヘイデンが「それで?」と当たり前の様に俺の前の席にかけながら口を開いた。
「体の具合はもういいのか?」
「ああ、まぁ。
ほとんど何の問題もねぇよ。
こーして一人で出歩けるようになったし、痛みもほとんどねぇ。
ま、俺の驚異の回復力の賜物だな」
ヘヘンと笑って言うと「調子に乗るな」と溜息混じりの一言で返される。
そうして話を変えてきた。
「……。
今日は大統領も出席する会議に出てきたのだろう?
帰りにここに寄るとは聞いていなかったが……例の借金の肩代わりの件、片がついたのか?」
問いかけてくる。
ヘイデンがどういう意味での『片をつけたのか』を聞いてきたのかは分からなかったが……俺はちょっとだけ肩をすくめてみせた。
「~まあ。
借金の肩代わりは、受けない事にしたよ。
一億ハーツの借金は、人の手を借りずに自分の力で返す事にした」
言うと、
「──そうか」
ヘイデンがたった一言で返してくる。
俺のこの答えに予想をつけてたのか、それともそういう訳でもなかったのかは判別出来なかったが……俺もあえてそいつを聞いてみようとは思わなかった。
代わりに別な事を、言う。
「それから………」
言いかけて俺は少しの間の後に言葉を繋ぐ。
「……会議室を出てちょっとの所で、ゴルドーのやつに会ったよ」
言うと、ヘイデンの片眉がピクリと一つ動いた。
俺は続ける。
「っつっても、遠目に見ただけだけど。
大統領がさ、俺の指名手配を早めに解いてやろうと思って、前もって呼んでたんだってさ。
ゴルドーのやつ、いつものあの格好でやって来たもんだから警備の連中に不審人物と間違われててさ。
すげー騒ぎだったぜ」
へへっと少し笑いながら、至って明るい口調で言う。
ヘイデンは静かに息をついた。
「あの男らしいな」
「ああ」
ただ、それだけ返事をする。
犬カバがチャピチャピとミルクを舐める音だけが部屋に残った。
俺は……少しの間を空けて、ようやっと口を開く。
「……。
その、ゴルドーの事なんだけど。
昔の事、ちょっとだけ、思い出した……気がするんだよな」
言うと、ヘイデンが片眉を上げる。
俺は鼻で深く息を吐いて、言葉を続けた。
「……ゴルドーの野郎も、昔あんたやダルクと一緒に飛行船造りをしてた仲間だった。
そんで……ダルクが死んだ時、俺はあいつに引き取られる事になってた……。
……そうなんだろ?」
問いかけた先で──ヘイデンがただ沈黙する。
犬カバが、急にゲフッ、ゴホゴホと俺の足元で咳き込む。
そうして『さっきのはマジだったのか!?』ってばかりにギョッとして俺を見てくんのが目の端に映る。
けど俺は、ヘイデンをまっすぐ見据えて、目を離さなかった。
ヘイデンには何の変化も見られない。
眉の一つも上がらない。
口も開かなかったが……そいつが逆に答えを俺に教えていた。
俺は小さく息をついて言う。
「……何でシエナもあんたも、その事を言わなかったんだよ?
俺が聞かなかったから、なんて言い訳はナシだぜ。
俺は記憶を失くしてたんだから」
俺にこの事を言うのに何も問題がなかったんなら、『ゴルドーの事で何か思い出さないのか?』くらいは聞いてきてたはずだ。
そう考え言った先で、ヘイデンが淡々と言葉を返す。
「……。
お前は昔の事を思い出そうとすると体調を崩すだろう。
俺は別に構わんが、シエナが心配そうな顔をする。
どうせお前は結局ゴルドーの元に留まらなかったのだし、本人が思い出さないものを今更言って聞かせる必要もなかった。
それとも言えば何かが変わったか?
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