20 / 23
第一章
倒せゴブリン軍団 前編
しおりを挟む
草木が生い茂る森の奥。ここまで深い森の中となるとほとんど誰も近づかないのか、人の気配はほとんどなかった。
辺りに感じるのは草や葉が擦れる音とモンスターの鳴き声、それに木々の合間をすり抜ける涼しい風だけ。
そんな森の中を私達四人は歩き続けている。
「んんっ、風が気持ちいいわね」
そう言ってぐっと腕を伸ばすフミカ。紅の甲冑ごしから、わずかばかりではあるが胸が強調されているのがわかる。
それを見た黒髪の少年が私の方へと駆け寄ってこっそり耳打ちをしてきた。
「フミカってさ隠れ巨乳だよな」
「ふむ……君は彼女のことが好きなのかな?」
その言葉にレイジは慌てるでもなく、どこか得意げな様子で。
「実は俺、既に彼女がいるのですよ」
「そうなのか良かったじゃないか。私もそういった物を作らねばならんな」
私の言葉を聞いて心底驚いた様子で顔を覗かせる。
「ええっ? 宋室は彼女いなかったんだ。あんなに強いから絶対モテると思ったのになあ」
「生憎、出会いがなくてね」
そもそも私は小学校以降、引きこもりで外に出たことがあまりない。
だから、女性の中で最も多くの時間を共有したのは知り合って一週間程のケーレスだったりする。
「先程、胸の話をしていたが、君は彼女がいるのだろう? 浮気になるんじゃないのか?」
「いや、それで浮気になったら俺、どれだけ女たらしになるんだよ」
とは言いつつも、私の言葉が気になり出したのか腕を組んで渋い顔をするレイジ。
「あー、いやそれよりもさ。ほら気になる娘とかいないの? ここには美少女が三人いるんだし」
あまりそのような下世話な話は得意ではないが、レイジの言われた通り少し考えてみる。
だが、そういった感性は乏しいのか特定の誰かが気になるという事はなかった。
「いや、特には」
「そ、そうなのか? 別に好きとかじゃなくても可愛いとか」
「フッ、それならないわけではないな」
「おっ誰なんだその娘は」
興味津々に尋ねてくるレイジ。それに私は薄い笑みを浮かべて。
「勿論ここにいる全員だ。皆がそれぞれに異なった魅力を放っている」
そう彼女たちは言ってみれば宝石のような存在だ。
そこにダイヤモンド、エメラルド、アクアマリンといった違いはあるものの、その中に優劣は存在しない。
ナナの場合は人を元気にさせる笑顔が素晴らしい。
また彼女の髪色は深海のような青を放っており、見る者を安心させる。
一方のフミカの場合は、知り合ったばかりで分からない部分もあるが。
炎のような赤い髪にそれと同様の真紅の瞳。凛々しく迷いの無いその容貌は薔薇の花のような印象を受けた。
そして白髪の死神であるケーレスは一種の芸術品のような魅力を醸し出していた。
「な、なんだい? 人のことをじろじろ見て」
私の視線に気付いたのか困惑気味に尋ねてくる。そんな彼女に私は頭を撫でて。
「君が宝石みたいだと思っただけだ」
「ななな、何をいってるんだ!? 君は毎回ボクを口説きすぎだぞ……!」
頬を染めて怒ったように口を尖らせるケーレス。そしてそんな彼女を見て微笑む私を見て、レイジは何とも言えない顔になって。
「あんた達、絶対付き合ってるだろ!」
「そんなボクと宗室くんが付き合うなんて……。大体、ボクたちは兄妹なんだし」
そう言って目を逸らすケーレス。そんな彼女の言葉を聞いて眉を寄せたのはナナだった。
「ずっと不思議に思ってたんです。どうして兄妹なのに名前で呼ぶんでしょうか?」
「そ、そんなことない……ヨ」
ナナの指摘に対応する方法が見つからずケーレスはカチカチに固まる。
仕方あるまい私が助け船を出してやろうじゃないか。
「ケーレスは外では固いところがあってね。だが部屋に着くとすぐに甘えて来る、そうだろ?」
そう言って私は彼女に目で合図を送る。それに何故か嫌そうな様子ではあったがこくん、と頷いて。
「う、うん。大好きだよ、兄さん」
「ん? いつもはお兄ちゃんと呼んでいたはずだが」
「お、お兄ちゃん大好き!」
もはや投げやりなのか、泣いているのか笑っているのか分からない表情を浮かべるケーレス。
その様が可愛くてもっとからかいたくなってしまう。これもまた愛情表現の一種というべきか。
「そう言えば、君は普段お兄ちゃんではなくおにーさんと言っていたね」
「宋室くん。君はボクをからかって楽しいのかい?」
「どうだろうな。だが君の顔は見ていても飽きない」
「それ褒めてるんだよね……だとしたら素直に喜べないかな」
やさくれた表情でそんなことをいうケーレス。それに何時もの如く頭を撫でようとしたその時だった。
「みんなちょっと来てもらえるかしら」
茂みに身を潜めながらこちらに来るように合図を送るフミカ。
それに私たちは頷くとすぐ彼女の元へと駆け寄って。
「フミカ、何かみつけたのか?」
「ええ、これを見て」
そう言ってフミカが指差す向こう。それは斜面の下でそこにはゴブリン一匹に苦戦している男の姿があった。
仲間は既に死んでいるのか彼の周囲には物言わぬ骸達が転がっている。このままでは彼もその中に入るのは時間の問題だろう。
「早く助けに行こうぜ! 相手は一匹なんだ俺たちで何とかなる」
「そうですよ……! 早く行きましょう!」
レイジは大剣をナナは短剣を持って意気込んでいる。そんな二人を私とフミカが抑えながら。
「待ちなさい。相手がゴブリン一匹なのに被害が大きすぎるわ」
周りの骸は四人ほど、いくらモンスターが強いと言えど、この数は以上だった。
「そうだね、むやみに加勢するのはリスクが大きいと思うな」
「そんなこと言うけどさ、放っておけるわけないだろう!」
今にも飛び出しそうなレイジの肩を掴んで彼の動きを止める。
「落ち着けレイジ。君の安易な判断で仲間まで危険にしてしまうぞ」
「くっ、それはそうだけど」
彼をなだめて落ち着かせるとフミカの方を向いて。
「君はなかなか良い洞察力を持っている。だが、あと一歩が足りんな」
「あと一歩……?」
「そうだ。骸に刺さっている物。それに気づけばおのずと敵の考えもわかるというものだ」
ソニアはもう一度骸を見て、そこでようやくあることに気づく。
「矢が刺さってる」
「……あ、つまりこのエリアのどこかに狙撃手
スナイパー
がいるって事だね」
私の言葉を聞いてケーレスとフミカが気づく。
「そういうことだ。彼を助けるには狙撃手を先に倒さねばならない」
「でもそんなことしていたら時間が……」
「そこで二手に別れようと思う。フミカ、ケーレスは私と共に狙撃手の討伐、レイジは私の合図があるまでここで待機だ。だが男の命が危険だと感じたら合図なしに動いても構わない」
自分で言いながらもそれは起こりえないと思った。
おそらく被害を受けている男はゴブリンにとっては魚の餌のようなものなのだろう。
私たちがその餌に釣られて誘き出されるのを今か今かと待っているに違いないのだ。
「さて、それでは向かおうか二人とも準備はいいね」
私の言葉にケーレス達は頷いて、それを確認すると私たちは狙撃手の居るであろう方角へと向かった。
辺りに感じるのは草や葉が擦れる音とモンスターの鳴き声、それに木々の合間をすり抜ける涼しい風だけ。
そんな森の中を私達四人は歩き続けている。
「んんっ、風が気持ちいいわね」
そう言ってぐっと腕を伸ばすフミカ。紅の甲冑ごしから、わずかばかりではあるが胸が強調されているのがわかる。
それを見た黒髪の少年が私の方へと駆け寄ってこっそり耳打ちをしてきた。
「フミカってさ隠れ巨乳だよな」
「ふむ……君は彼女のことが好きなのかな?」
その言葉にレイジは慌てるでもなく、どこか得意げな様子で。
「実は俺、既に彼女がいるのですよ」
「そうなのか良かったじゃないか。私もそういった物を作らねばならんな」
私の言葉を聞いて心底驚いた様子で顔を覗かせる。
「ええっ? 宋室は彼女いなかったんだ。あんなに強いから絶対モテると思ったのになあ」
「生憎、出会いがなくてね」
そもそも私は小学校以降、引きこもりで外に出たことがあまりない。
だから、女性の中で最も多くの時間を共有したのは知り合って一週間程のケーレスだったりする。
「先程、胸の話をしていたが、君は彼女がいるのだろう? 浮気になるんじゃないのか?」
「いや、それで浮気になったら俺、どれだけ女たらしになるんだよ」
とは言いつつも、私の言葉が気になり出したのか腕を組んで渋い顔をするレイジ。
「あー、いやそれよりもさ。ほら気になる娘とかいないの? ここには美少女が三人いるんだし」
あまりそのような下世話な話は得意ではないが、レイジの言われた通り少し考えてみる。
だが、そういった感性は乏しいのか特定の誰かが気になるという事はなかった。
「いや、特には」
「そ、そうなのか? 別に好きとかじゃなくても可愛いとか」
「フッ、それならないわけではないな」
「おっ誰なんだその娘は」
興味津々に尋ねてくるレイジ。それに私は薄い笑みを浮かべて。
「勿論ここにいる全員だ。皆がそれぞれに異なった魅力を放っている」
そう彼女たちは言ってみれば宝石のような存在だ。
そこにダイヤモンド、エメラルド、アクアマリンといった違いはあるものの、その中に優劣は存在しない。
ナナの場合は人を元気にさせる笑顔が素晴らしい。
また彼女の髪色は深海のような青を放っており、見る者を安心させる。
一方のフミカの場合は、知り合ったばかりで分からない部分もあるが。
炎のような赤い髪にそれと同様の真紅の瞳。凛々しく迷いの無いその容貌は薔薇の花のような印象を受けた。
そして白髪の死神であるケーレスは一種の芸術品のような魅力を醸し出していた。
「な、なんだい? 人のことをじろじろ見て」
私の視線に気付いたのか困惑気味に尋ねてくる。そんな彼女に私は頭を撫でて。
「君が宝石みたいだと思っただけだ」
「ななな、何をいってるんだ!? 君は毎回ボクを口説きすぎだぞ……!」
頬を染めて怒ったように口を尖らせるケーレス。そしてそんな彼女を見て微笑む私を見て、レイジは何とも言えない顔になって。
「あんた達、絶対付き合ってるだろ!」
「そんなボクと宗室くんが付き合うなんて……。大体、ボクたちは兄妹なんだし」
そう言って目を逸らすケーレス。そんな彼女の言葉を聞いて眉を寄せたのはナナだった。
「ずっと不思議に思ってたんです。どうして兄妹なのに名前で呼ぶんでしょうか?」
「そ、そんなことない……ヨ」
ナナの指摘に対応する方法が見つからずケーレスはカチカチに固まる。
仕方あるまい私が助け船を出してやろうじゃないか。
「ケーレスは外では固いところがあってね。だが部屋に着くとすぐに甘えて来る、そうだろ?」
そう言って私は彼女に目で合図を送る。それに何故か嫌そうな様子ではあったがこくん、と頷いて。
「う、うん。大好きだよ、兄さん」
「ん? いつもはお兄ちゃんと呼んでいたはずだが」
「お、お兄ちゃん大好き!」
もはや投げやりなのか、泣いているのか笑っているのか分からない表情を浮かべるケーレス。
その様が可愛くてもっとからかいたくなってしまう。これもまた愛情表現の一種というべきか。
「そう言えば、君は普段お兄ちゃんではなくおにーさんと言っていたね」
「宋室くん。君はボクをからかって楽しいのかい?」
「どうだろうな。だが君の顔は見ていても飽きない」
「それ褒めてるんだよね……だとしたら素直に喜べないかな」
やさくれた表情でそんなことをいうケーレス。それに何時もの如く頭を撫でようとしたその時だった。
「みんなちょっと来てもらえるかしら」
茂みに身を潜めながらこちらに来るように合図を送るフミカ。
それに私たちは頷くとすぐ彼女の元へと駆け寄って。
「フミカ、何かみつけたのか?」
「ええ、これを見て」
そう言ってフミカが指差す向こう。それは斜面の下でそこにはゴブリン一匹に苦戦している男の姿があった。
仲間は既に死んでいるのか彼の周囲には物言わぬ骸達が転がっている。このままでは彼もその中に入るのは時間の問題だろう。
「早く助けに行こうぜ! 相手は一匹なんだ俺たちで何とかなる」
「そうですよ……! 早く行きましょう!」
レイジは大剣をナナは短剣を持って意気込んでいる。そんな二人を私とフミカが抑えながら。
「待ちなさい。相手がゴブリン一匹なのに被害が大きすぎるわ」
周りの骸は四人ほど、いくらモンスターが強いと言えど、この数は以上だった。
「そうだね、むやみに加勢するのはリスクが大きいと思うな」
「そんなこと言うけどさ、放っておけるわけないだろう!」
今にも飛び出しそうなレイジの肩を掴んで彼の動きを止める。
「落ち着けレイジ。君の安易な判断で仲間まで危険にしてしまうぞ」
「くっ、それはそうだけど」
彼をなだめて落ち着かせるとフミカの方を向いて。
「君はなかなか良い洞察力を持っている。だが、あと一歩が足りんな」
「あと一歩……?」
「そうだ。骸に刺さっている物。それに気づけばおのずと敵の考えもわかるというものだ」
ソニアはもう一度骸を見て、そこでようやくあることに気づく。
「矢が刺さってる」
「……あ、つまりこのエリアのどこかに狙撃手
スナイパー
がいるって事だね」
私の言葉を聞いてケーレスとフミカが気づく。
「そういうことだ。彼を助けるには狙撃手を先に倒さねばならない」
「でもそんなことしていたら時間が……」
「そこで二手に別れようと思う。フミカ、ケーレスは私と共に狙撃手の討伐、レイジは私の合図があるまでここで待機だ。だが男の命が危険だと感じたら合図なしに動いても構わない」
自分で言いながらもそれは起こりえないと思った。
おそらく被害を受けている男はゴブリンにとっては魚の餌のようなものなのだろう。
私たちがその餌に釣られて誘き出されるのを今か今かと待っているに違いないのだ。
「さて、それでは向かおうか二人とも準備はいいね」
私の言葉にケーレス達は頷いて、それを確認すると私たちは狙撃手の居るであろう方角へと向かった。
0
お気に入りに追加
604
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。

もしかして寝てる間にざまぁしました?
ぴぴみ
ファンタジー
令嬢アリアは気が弱く、何をされても言い返せない。
内気な性格が邪魔をして本来の能力を活かせていなかった。
しかし、ある時から状況は一変する。彼女を馬鹿にし嘲笑っていた人間が怯えたように見てくるのだ。
私、寝てる間に何かしました?

【完結】初級魔法しか使えない低ランク冒険者の少年は、今日も依頼を達成して家に帰る。
アノマロカリス
ファンタジー
少年テッドには、両親がいない。
両親は低ランク冒険者で、依頼の途中で魔物に殺されたのだ。
両親の少ない保険でやり繰りしていたが、もう金が尽きかけようとしていた。
テッドには、妹が3人いる。
両親から「妹達を頼む!」…と出掛ける前からいつも約束していた。
このままでは家族が離れ離れになると思ったテッドは、冒険者になって金を稼ぐ道を選んだ。
そんな少年テッドだが、パーティーには加入せずにソロ活動していた。
その理由は、パーティーに参加するとその日に家に帰れなくなるからだ。
両親は、小さいながらも持ち家を持っていてそこに住んでいる。
両親が生きている頃は、父親の部屋と母親の部屋、子供部屋には兄妹4人で暮らしていたが…
両親が死んでからは、父親の部屋はテッドが…
母親の部屋は、長女のリットが、子供部屋には、次女のルットと三女のロットになっている。
今日も依頼をこなして、家に帰るんだ!
この少年テッドは…いや、この先は本編で語ろう。
お楽しみくださいね!
HOTランキング20位になりました。
皆さん、有り難う御座います。
婚約破棄されて辺境へ追放されました。でもステータスがほぼMAXだったので平気です!スローライフを楽しむぞっ♪
naturalsoft
恋愛
シオン・スカーレット公爵令嬢は転生者であった。夢だった剣と魔法の世界に転生し、剣の鍛錬と魔法の鍛錬と勉強をずっとしており、攻略者の好感度を上げなかったため、婚約破棄されました。
「あれ?ここって乙女ゲーの世界だったの?」
まっ、いいかっ!
持ち前の能天気さとポジティブ思考で、辺境へ追放されても元気に頑張って生きてます!

【完結】転生7年!ぼっち脱出して王宮ライフ満喫してたら王国の動乱に巻き込まれた少女戦記 〜愛でたいアイカは救国の姫になる
三矢さくら
ファンタジー
【完結しました】異世界からの召喚に応じて6歳児に転生したアイカは、護ってくれる結界に逆に閉じ込められた結果、山奥でサバイバル生活を始める。
こんなはずじゃなかった!
異世界の山奥で過ごすこと7年。ようやく結界が解けて、山を下りたアイカは王都ヴィアナで【天衣無縫の無頼姫】の異名をとる第3王女リティアと出会う。
珍しい物好きの王女に気に入られたアイカは、なんと侍女に取り立てられて王宮に!
やっと始まった異世界生活は、美男美女ぞろいの王宮生活!
右を見ても左を見ても「愛でたい」美人に美少女! 美男子に美少年ばかり!
アイカとリティア、まだまだ幼い侍女と王女が数奇な運命をたどる異世界王宮ファンタジー戦記。

凡人がおまけ召喚されてしまった件
根鳥 泰造
ファンタジー
勇者召喚に巻き込まれて、異世界にきてしまった祐介。最初は勇者の様に大切に扱われていたが、ごく普通の才能しかないので、冷遇されるようになり、ついには王宮から追い出される。
仕方なく冒険者登録することにしたが、この世界では希少なヒーラー適正を持っていた。一年掛けて治癒魔法を習得し、治癒剣士となると、引く手あまたに。しかも、彼は『強欲』という大罪スキルを持っていて、倒した敵のスキルを自分のものにできるのだ。
それらのお蔭で、才能は凡人でも、数多のスキルで能力を補い、熟練度は飛びぬけ、高難度クエストも熟せる有名冒険者となる。そして、裏では気配消去や不可視化スキルを活かして、暗殺という裏の仕事も始めた。
異世界に来て八年後、その暗殺依頼で、召喚勇者の暗殺を受けたのだが、それは祐介を捕まえるための罠だった。祐介が暗殺者になっていると知った勇者が、改心させよう企てたもので、その後は勇者一行に加わり、魔王討伐の旅に同行することに。
最初は脅され渋々同行していた祐介も、勇者や仲間の思いをしり、どんどん勇者が好きになり、勇者から告白までされる。
だが、魔王を討伐を成し遂げるも、魔王戦で勇者は祐介を庇い、障害者になる。
祐介は、勇者の嘘で、病院を作り、医師の道を歩みだすのだった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる