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番外編

「…貴方そんな人だったかしら」

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ゆったりとと編み込んでいる髪を解かれる。
すごく優しい手つきにうっとりと目を細めてしまう。
美容院で眠ってしまうのと同じような感覚だ。気持ちいい。

「前からずっと思っていましたけどイヴの髪はとても綺麗ですね。豊かで、艶があって、柔らかい。金糸のようです」
「そう…?ありがとう」

元執事、現婚約者のフィリップの言葉にゆったりと微笑みを返した。
すでに夜の帳が下りた時間、寝間着に身を包み、あとは髪を解いて梳いて眠るだけ。
いつもは侍女に頼んでいたが今日はフィリップが「自分がやります」と侍女を下がらせた。

「櫛で解くのでもしも痛ければおっしゃってください」
「えぇ…」

そう言うが髪に櫛を入れ始めたフィリップの手つきは先ほどと変わらず優しい。
とても丁寧に梳くしけずるから、されている私の方が気恥ずかしいくらいだ。

「ん…」
「眠くなってきました?」
「…だいじょうぶ」

正直言えばすごく眠い。このまま眠ってしまいそうなくらい。
けれどここを乗り切ればあとはベッドに直行するだけだ。我慢。このまま寝たらいけない気がする。

「ふふ…もうすぐ終わりますよ」

ゆっくり丁寧に、それこそ壊れ物を扱うように髪を梳くフィリップはようやく終わったのか私の両肩にそれぞれ手を置き、首元に顔を近づけた。
途端にうなじにかすかな痛みが走った。

「…っひぅ?!」
「ん…終わりましたよ」

後ろでくすくすと笑っているのが聞こえた。
顔だけ後ろを向いてキッと睨み上げるとにこっと笑い返された。
あ、これいけないやつだ。

「イヴ、ベッドに行きましょう?」
「は?……、はっ?!」
「眠りたいのでしたらどうぞ。私は好きにさせていただきますから」

軽々と私を抱き上げたフィリップはためらうことなく私をベッドへ連れて行き、シーツの上に組み敷いた。

「イヴ、私は貴女の髪が好きです。こうやってシーツの上に広がると輝いて、貴女の美しさも引き立てる」
「な、なにを…っ」
「いいでしょう?婚約者なんですから」

婚約者。確かにそうだけど婚前交渉なんていいのか。
すでに処女ではないが気になったので聞いてみた。

「…確かに初夜に処女性は求められますが、婚約者に捧げたのですから構いませんよ」
「ほんとうに?」
「はい。疑っているのですか?」
「…いいえ」
「じゃあ、もういいですね」

そう言ってフィリップは寝間着の胸元で結ばれていた細いリボンを解いた。
あとは前開きについているボタンを外してドロワーズを脱げば裸だ。
…そういえば、この寝間着を用意したの、フィリップだったな。

「…フィリップ、貴方そんな人だったかしら」
「……どういう意味ですか?」
「そのままの意味です」

ゲーム内ではフィリップは極めて紳士的で、情交についても常にヒロインを気遣い、…そう、優しかった!フィリップは基本的にスローセックスばかりだった。
それがなんだ、全然スローじゃないし、むしろ貪るように激しい!

「…私をどういう風に見てきたかはわかりませんが…」

ちゅっと唇を啄まれた。表面だけが触れる、子どもがするような口づけ。

「私はなにも変わっていません。ずっと貴女だけを見ていましたから」

ずるい。最近よく思うがフィリップはずるい。
そんな風に囁かれて優しく口づけされたら、後からどれだけ貪られても許してしまう。

「ん、…ふ、ぅん…っ」

口づけの最中、とんとんと唇を舌で突かれ招くように隙間を空けてしまった。
そこから忍び込んでくる舌はとても熱い。

「ふ、…はふ……っん」
「っ…とろけてきましたね。口づけだけでそんな風になって…」
「ぁ…っだめ」
「ここなんて、とろとろだ」

ドロワーズを脱がし、寝間着のスカートの隙間から秘裂に指を這わしたフィリップはくちゅくちゅと溢れる蜜で音を立てる。
まだ服も脱げきっていないのに、ちゃんとした愛撫も施されていないのにこんな風に感じてしまう自分が恥ずかしくて目尻に涙が溜まる。

「ぁ、あ、はぁ…」
「ほら、こちらを向いて。いやらしい顔を見せてください」
「ひぁあ…っ、ぅ、ぅぁあ…」

あぁすごい、気持ちいい。挿れられてもいないのに蜜口と花芯を触れられただけでこんなにもとろとろと感じてしまう。
やっぱり私は淫乱なんだろうか。

「フィリップ…っ、ぁ、もぅ…ッ」
「そんなに私が欲しい?…淫乱」
「ゃ、…ッゃだぁ…!言わないで…っ!」
「……どうして。こんなになっているのに」
「ぁヒッ!」

びんっと膨れ上がった花芯を指で弾かれ、身体が反り上がった。
意地悪だ。すっごく意地悪。こんなになってるって、フィリップがそうしたのに!

「ぁあん!だめぇっ、…ん、な、しちゃぁ…ッ!」
「イヴ、理由を言いなさい。ちゃんと言えないとお仕置きですよ?」
「やだぁ…!おしおき、しないでっ…」
「…なら、言えますね…?」

魅惑的な声だった。甘くて低くて腰に疼く、いやらしい声。
この声には逆らえない。

「ぁ、ぁは…っ、き、らいに、ならない…っ?こ、な、からだ、なのにぃ…ッ」
「…可愛いことを」

ぐちゅ、と蜜口に滾りを押し付けられた。
待ち望んでいたものに自分では知らずのうちに腰を揺らしてしまう。

「イヴ、私はいやらしい貴女なら大歓迎ですよ。私の手でこんなにとろけるのだから、嬉しいことですよ」
「ぁ、はぁ…ん、はぃ、て」

ぐっと先端が埋まる。その硬さと熱にうっとりとため息が出てしまう。
ゆっくりと私の身体に沈んでいく楔で感じてしまい、締め付けるのが自分でもわかった。

「ぁ、あ…ッ」
「っ…気持ちいいですか?」
「んぁ…きもち、ぃい…んっ」

気持ちいい。ゆっくりと優しく愛されてると幸せだと感じる。
大切にされてるんだ、と感じる。
がつがつと激しくされると求められてると思えてそれも幸せだが。

「すき、すきよ、フィリップ…」
「…えぇ、私も。貴女が好きです。愛しています…」
「あっ、ひ、ん、んんんっ」

ちゅ、ちゅ、とキスをしながらナカをゆっくりと抉っていく。
なのに相反するように花芯を捏ね、爪で引っ掻かれて目の前が白く瞬いた。

「っん、ひぁああッ!」
「っ、く--愛してます、よ、イヴ。…私を受け止めてくださいますよね…?」
「ぁああっ、ぉ、きく、なっちゃ…ッ!」
「…っ、出しますよ…ッ」
「んぁぁ、ふぁあああっ」

びくびくと身体が痙攣する。ナカに熱いものが叩きつけるように注がれた。
声を上げながらゆるやかに意識を手放す私を抱きしめ、フィリップは囁いた。

「…まだ、付き合ってもらいますからね…」

ぎょっとしながら、けれど気を失ってしまった私が次に目が覚めたのはフィリップの上に乗っている時で一体何回やるのかと違う意味で意識が遠くなった。
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