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それをのぞき込んだ狐崎こざきが、これは分かりやすい図やね!と感心しながら教えてくれる。
頂点を神とする場合、狐はその下。その下が妖狼となるようだ。
細かく分けると更に狐や狼カテゴリの中でもヒエラルキーが存在するようなのだが、詳しいことを聞き始めると日が暮れてしまいそうなので、まずはざっくりと話を聞くことにする。

おおまかにまとめると、元々力の強い狐崎こざき紫狼しろうが嫉妬の対象にしている、という事らしい。
あまりにも突っかかられるので、自分の力をしっかり持っているのに執拗に固執してくる紫狼しろうのを見ると「何かイライラしてしまう」のだそうだ。


幼馴染で、お互い認めているのに素直になれないパターンのやつじゃないですか?


「僕も紫狼アイツの事になると、なんかムキになってしまうんよね。幼馴染やから余計にね。栗栖くんはあんなに素直でかわいらしいのに。同じ兄弟とは思われへん。」


返事に困って「あはは」と愛想笑いをした私は、ふとテーブルに設置されたメニューに目が行った。


「あ!これ!!!使ってくださってありがとうございます。お客様の反応はどうですか?」

「ホンマにありがとう!メニュー表、凄い好評ですよ。5日様子を見て結果を伝えようと思っとったんですけど、5日もいらんかった。しかも、他にも板狩いたかりちゃんにデザインして欲しいって依頼も貰ってますよ。
 もういっそ、紫狼アイツのところに渡すくらいなら、うちの子にしてしまいたいわ。」

「えっ!?それって・・・!!?」

「リーフ亭で採用したいって思ってしまうってことなんやけど。」

「うそ!!!凄く嬉しいです!」


喜ぶ私の顔を見て、狐崎こざきは顔を左右に振るときっぱりこう言った。


「流されたらアカンよ。板狩いたかりちゃんの願いはリーフ亭ウチじゃ叶えてあげられん。
 板狩アンタの望みは、もっと腕を磨いて色んな事を経験したい。指導を受けたいってことやろ?
 リーフ亭ウチに居ったら経験は出来る。けど指導はしてあげられへん。」


確かに、私はまだ駆け出しで社会経験も2年ちょっとだけ。フリーランスで働くには自分の底はまだまだ浅い。
前の会社でも、ようやくちょっとだけ自分一人でプロジェクトを回せるようになったばかりだった。
もう少し色んな世界を知って、技術を身に付けたいと思っている。
さすが神様の眷属、私の奥底の気持ちはお見通しというわけだ。でも、ちょっとリーフ亭この店で働くのも悪くないと思っている私も居る。
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