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「どうしたんですか、その耳!コスプレですか?あ!しっぽも付いてる~!お二人ともお似合いですね。」


栗栖と狐崎こざきの頭には、ちょこんと動物の耳がついていた。お尻にはしっぽのアクセサリー。
しっぽのアクセサリーは、なんだかリアルに横にゆらゆら揺れている。
イケメンのアニマルコスプレなんて、イラスト以外で見た事がなかったので、とても新鮮で面白い。
まじまじと耳としっぽを眺めると、とってもモフモフだ。モフモフを見たら触りたくなるのが人の性というものである。


「あの、しっぽふさふさですね。何の毛を使っているんですか?触っていいですか?」


OKの返事をもらう前に───本当に軽い気持ちで───より近くにいた栗栖のしっぽを掴むと、「ギャン!」と栗栖が悲鳴を上げ、その場に崩れ落ちた。


「ひゃ!ごめんなさい!!!」


悲鳴に驚いて頭を下げると、そこには崩れ落ちたはずの栗栖が・・・いない。
代わりに昼間見た、シルバーグレーの子猫ちゃんがうずくまっていた。
どういう手品だろう?とあたりを見回すが、栗栖は見当たらない。
そんな私の姿を見て、狐崎が笑いを必死にこらえている。


「ぶはっ!!!アカン、これはもうアカンわ!!!やられてもーたな、栗栖くん!」


もうだめだとばかりに、狐崎こざきは後ろのカウンターに倒れ込むようにして笑っている。
狐崎が後ろを向くように身体を返し、カウンターに身体を伏せたその瞬間、ふさふさのしっぽの先が私の顔を撫でた。
何だかよく分からないけど、とっても気持ちが良い毛質のしっぽを、ぎゅむっと反射的に掴んでしまった。
ただそこにモフモフがあったから握ってしまっただけなので、私に非はないと言っておきたい。
狐崎も「キャン!」と悲鳴を上げると、そのまま床へ崩れ落ちる。
倒れ込んだ先には、中型犬くらいの大きさの黄色の毛並みの動物が座っていた。


「!!?」


事態がのみこめず困惑していた私は、このあと更に困惑することになる。黄色の毛並みの動物が喋ったのだ。
狐崎の声で。


「あーあ。僕もやられてもーた!栗栖くんのこと言ってられへんな!」

「!!?」

「とりあえずしっぽ!もう一回握れよ!!!」


今度は栗栖の声でシルバーグレーの子猫が喋る。
良く分からないが、言われるがままにしっぽを握るとその場に狐崎と栗栖が現れた。
何が起きたのか分からない私は、軽くパニックになって言語を失った。
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