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私が席に座った直後。
待つことなく料理が運ばれてくる。
いくらなんでも速すぎる気もするが、サラダと一緒に運ばれてきたスープはアツアツで湯気が立ち上っている。
鼻をくすぐる香りは、今まで食べてきたスープは一体何だったのかと思うくらい、いいにおいだ。
たまらずお腹が「くぅ」と鳴り、思わずあふれ出た唾をのみ込む。
オードブルが出てくるタイミングが早かった事など、どうでも良い。むしろ今がジャストタイミングだと思えるほどに魅力的だ。
「前菜の時点で、すごく美味しそう。」
「実際、すげー美味いぞ!食べたら驚くぜ。」
ニヤニヤ顔の栗栖を横目に、私は素早く手を合わせると「いただきます!」と、いつもより元気な声で挨拶し、まずはサラダに手を付けた。
おいしい。
かかっているドレッシングは私の大好きなゴマベースのドレッシングで、ごまの香りがきちんと感じられる。
さらに野菜そのものの味が濃い。
青臭いわけではなく、野菜の美味しさをダイレクトに感じることができる。
無意識に箸のスピードが上がる。
夢中で食べる私の姿が面白いのか、栗栖がしてやったりの顔で見ている。
そんな栗栖を横目に、スープをひとくちすする。
濃厚なのにしつこくない複雑な味のスープは、口に含んだ瞬間に香りが口の中いっぱいにひろがる。
飲み込むのがもったいない。
思わず目をつむり、口にふくんだスープの味と香りをしっかり堪能する。
感動しながらサラダとスープを食べ終わったタイミングで、メイン料理が運ばれてきた。
アツアツの鉄板の上に分厚いステーキが乗っていて、ジュージューと音を立てている。
それを栗栖が受け取り、華麗に切り分けてお皿に盛り付けサーブしてくれる。
鉄板のままでもいいけど、何と言うか栗栖の所作があまりにも美しく優雅で、あの生意気な口の聞き方なんてどうでもいいと思える。もちろん、盛られた皿も丁寧にソースがかけられ、一流レストランで出て来そうな仕上がりだ。
今すぐスマホを取り出して、写真撮影したくなる。
「すごく芸術的な盛り付けで食べるのがもったいない!これ、写真に撮ってもいい?」
「ダメだ!写真撮影したらネットに上げるだろ?この店はそういうの、許可していない。すぐ食べないと味が落ちるからすぐに食え!さあ、早く食え!今すぐ食え!!無言で食え!!!」
前言撤回。
やっぱりどんなに美しい容姿でも、この言葉遣いは幻滅してしまう。
一部のショタコン(?)のお姉さま方には人気が出そうだけれども、感動を返してほしいと思ってしまう。
写真を撮るのは諦めて、目の前に出された肉を口に入れる。
待つことなく料理が運ばれてくる。
いくらなんでも速すぎる気もするが、サラダと一緒に運ばれてきたスープはアツアツで湯気が立ち上っている。
鼻をくすぐる香りは、今まで食べてきたスープは一体何だったのかと思うくらい、いいにおいだ。
たまらずお腹が「くぅ」と鳴り、思わずあふれ出た唾をのみ込む。
オードブルが出てくるタイミングが早かった事など、どうでも良い。むしろ今がジャストタイミングだと思えるほどに魅力的だ。
「前菜の時点で、すごく美味しそう。」
「実際、すげー美味いぞ!食べたら驚くぜ。」
ニヤニヤ顔の栗栖を横目に、私は素早く手を合わせると「いただきます!」と、いつもより元気な声で挨拶し、まずはサラダに手を付けた。
おいしい。
かかっているドレッシングは私の大好きなゴマベースのドレッシングで、ごまの香りがきちんと感じられる。
さらに野菜そのものの味が濃い。
青臭いわけではなく、野菜の美味しさをダイレクトに感じることができる。
無意識に箸のスピードが上がる。
夢中で食べる私の姿が面白いのか、栗栖がしてやったりの顔で見ている。
そんな栗栖を横目に、スープをひとくちすする。
濃厚なのにしつこくない複雑な味のスープは、口に含んだ瞬間に香りが口の中いっぱいにひろがる。
飲み込むのがもったいない。
思わず目をつむり、口にふくんだスープの味と香りをしっかり堪能する。
感動しながらサラダとスープを食べ終わったタイミングで、メイン料理が運ばれてきた。
アツアツの鉄板の上に分厚いステーキが乗っていて、ジュージューと音を立てている。
それを栗栖が受け取り、華麗に切り分けてお皿に盛り付けサーブしてくれる。
鉄板のままでもいいけど、何と言うか栗栖の所作があまりにも美しく優雅で、あの生意気な口の聞き方なんてどうでもいいと思える。もちろん、盛られた皿も丁寧にソースがかけられ、一流レストランで出て来そうな仕上がりだ。
今すぐスマホを取り出して、写真撮影したくなる。
「すごく芸術的な盛り付けで食べるのがもったいない!これ、写真に撮ってもいい?」
「ダメだ!写真撮影したらネットに上げるだろ?この店はそういうの、許可していない。すぐ食べないと味が落ちるからすぐに食え!さあ、早く食え!今すぐ食え!!無言で食え!!!」
前言撤回。
やっぱりどんなに美しい容姿でも、この言葉遣いは幻滅してしまう。
一部のショタコン(?)のお姉さま方には人気が出そうだけれども、感動を返してほしいと思ってしまう。
写真を撮るのは諦めて、目の前に出された肉を口に入れる。
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