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12)巨乳おばさんの葛藤
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12)巨乳おばさんの葛藤
「 何で、急いで部屋を出て来たんだろう? 」
雄一とさなを残して風呂場に来てから、ゆうこは自分でも不思議だった。
食器洗いが終わったのだから、次に自分のする事は『入浴』で良いのだけれど、何となく焦っていた気もする。
今までは食事という目的があったし、その後も洗い物とかの用事があった。でも、それが終わってしまうと、何となく自分の中で気まずさが生まれていた気がする。
やっぱり、あんな事を… 「 おばさんに入れてもいいから 」と言った事を… 気にしない方が無理である。
今は、部屋にさなもいるとは言え、それでも雄一と同じ空間にいるのはすごく気になる… いや、はっきり言って、恥ずかしい。
そう考えながら、無意識で服を脱ぎ始める。
身に付けているのは、ムームー・ブラジャー・パンティ、の3点だけ。この島は、季節の割には暖かい。
ムームーは、簡単に足元から抜けていく。すると、目の前の鏡には、白いブラとパンティだけの、太いおばさんの身体が映っていた。
先ず、太ももの太さ。
別にパンツやジーパンがはけない程ではないけれど、若い頃に比べるとかなり太くなったと思う。ふくらはぎは、それ程ではないので、かえって気になっている。
そして、お腹の周り。
ここも、若い頃はすっきりしていて、モデルのプロフィールでは公称58センチだった。実測は確か60前後だった記憶があるので58は嘘とは言えない。それに比べると、本当にひどいと思う。このまましゃがむと、三段腹以上になるはずだ。
肩のラインは撫で肩で、二の腕も太くは無いが、全体の印象が『太もも』と『腹』で決められてしまっている。
おまけに、丸顔と大きな胸。この事も、「太い」印象を作っている。
ゆうこは、このまま鏡を見ていると自己嫌悪に陥りそうなので、急いで残りを脱いで浴室に入った。つい数時間前に、さながオナニーをしていて、その現場を見てしまった場所だ。さなの引き締まった、きれいな身体が思い出される。
でも、少し首を振ってその考えを頭から振り払うと、バスタブの蛇口を適温にセットしながら捻った。
そして、バスチェアに座ってシャワーでお湯を身体にかける。すると、またマイナスな感情が戻って来る。
少しうつむくだけで、大きな肉の固まりが2つ、並んで湯を弾いているのが見える。
モデルをしていた19歳の頃は『Eカップ』だった。今も、その頃と比べてもしぼんではいない。ただ、全体的に太ってきた事によって、ここにも脂肪が付いてしまいブラはFカップ用を使っている。
決して大きくなった訳では無くて、言うなれば胸が『太った』という事なので、喜べるものではない。しかも、胸の張りはまだあるのに『太った』事によって、そのFカップの角度が少し下向きになってしまった。
あと、何年したら垂れてくるんだろう…
ゆうこは正直、不安である。張りは有っても自立できなくなってきているという事は、見方によっては垂れてきている様にも見える。そして、やがて本当に垂れ下がって来る。そんな日はたぶん遠くない。
でも、その不安を取り除こうと、両手でその2つをつかむ。これは毎日している習慣だった。
まだまだ、しっかりとした手応えがある。少し手に力を入れると、最初に脂肪の むにゅっ とした軟らかさと、それに続いて ぐっ と中身を感じるだけの抵抗感… 弾力がある。見た目ほどは悪く無い。
そして少し ほっ とする。ここまでが定例行事だ。
でも、雄一くんみたいな若い子から見たら、こんな太った『Fカップ』なんて下品かなあ…
ゆうこは巨乳を、大きいというよりも『太い』と考えてしまう。それ程、雄一にどう見られるかが気になっているのだ。
だから そっ と手の平で持ち上げてみる。案外、ずっしりと重い。つい、若い頃を思い出して、手で形を整えながら、上向きに角度を決めてみる。
子どもを産んでいないからか、乳首はかなり小粒な方だと思うし、色もかなり薄めだ。そして、巨乳に合わせて乳暈は標準よりも広い。この辺りは少し白人の胸の特長に似ている。
あ~あ、この角度だったらいいのになあ…
そう思った途端に、自分のしている「痛い」行為に気が付いて思わず手を放すと、巨乳が弾んで下を向きながら揺れる。本当に自分が恥すかしい。
顔を上げると、目の前の壁には曇り止め対応のガラスが嵌まっていて、そこには自分の顔がこちらを見ている。
黒髪でミディアムとセミロングの間くらいのストレート。それを昼間は後ろでまとめて後頭部にピンで留めていた。今は脱衣所で外したので、さらっと流れている。
基本的にメイクは嫌いな方だったが、離婚してからは、ほとんど化粧をしたことが無い。肌自体はまだまだカサついてなかったし、もう見せる相手もいないと思っていたからだ。髪も若い頃から一度も染めたことは無い。最近は白髪が無いか鏡で調べる日課も出来ているが、まだ捜索に引っかかった物はいない。
あ~あ、この顔、やっぱりおばさんだよねえ…
他人からは今でも『10歳は若いね』と言われるけれど、自分ではどうしてもモデルをしていた頃が基準になってしまい、今の顔はとても見られたものではない。
有名ではなかったけれど、それでも一応モデルとして事務所に所属できた顔なので、20歳前後の頃は、それなりに可愛かったと思う。当時から丸顔で童顔だったので今でもその傾向はある様なのだが、それでも自分から見ると、やはり おばさん の顔でしかない。
ゆうこは自虐的な自分観察を中断して、髪を洗った。
考えてみたら、自分の身体で衰えていないのは、この『髪』だけかもしれない。だから、念入りにきれいにしようと思う。
後で、よく乾かさないと… 特に今日は…
そう思いながら、タオルで軽く髪の湯を拭いて、出しっぱなしにしていたバスタブの湯を止めてから、そこに全身を浸した。ある程度、寝ころべる形のバスタブなので、気を付けの格好で手足を伸ばす。
そして、今の自分の身体の内、少し気になる部分の事に気持ちが行く。
実は、3年前、さなの父親に出て行かれてから、全身に原因不明の湿疹が出来た事がある。
しばらくは軟膏を塗ったり海女地区の内科(女医)に行ったけれど、全くよくならなかったので、本土の皮膚科を紹介してもらった。
診察日は通院が一日仕事になるから大変ではあったが、そこも女医なので安心して通った。それでも、原因はやはり分からず、薬を替えながら様子を見る日々が続いた。
ある通院の時、このままでは蒸れてしまうからと全身脱毛を勧められた。医療脱毛と言うそうだが、それは病気になった人だけでは無くて、将来の病気や介護に備えて40代の女性なら受けるのは普通になりつつありますよ、との事だった。また欧米では、特に富裕層を中心に医療だけではなく美容外科の方でも脱毛は流行っているそうで、将来の病気に備えてだけではなく、日常の生理の処理に対しても衛生的だから、と説明を受けた。
そして、ゆうこの場合は、治療目的だから健康保険も使えるから費用も大したことないですよ、と言われて、思い切って脱毛処理を受ける事を決めた。
それは、実際にその時、湿疹と汗で不快だった事が大きな理由だったが、それ以外にも、もう男はこりごりだから、気にせずに下の毛も無くしちゃえ、という気持ちもあったのは確かだった。
施術は1年前後掛かるとも言われたし、少し痛いとも言われたが、一度決めたら心は変わらなかった。
それからも定期的に本土に通い施術を続けたが、幸い8か月で終了した事と、痛さも我慢できる程度だったので、あまり辛くは無かった。
それに、何よりも、脱毛処理が進むにつれて、湿疹自体が改善した事が大きかった。3か月が過ぎて、目に見えて少し毛が減ってきた、と感じ始めた頃から湿疹も軽くなってきて、そして、脱毛が終わる頃には、湿疹は跡形もなく消えていた。
先生も最初は驚いていたけれど、「 おそらく精神的なものだったんでしょうね。 この処理を通して、何かご自分でも吹っ切れたんじゃないでしょうか 」との説明は、自分の中でとても納得できるものだった。不思議な事だけど、脱毛が進むにつれて気持ちも軽くなっていったのは本当だったからだ。
そして今、もちろん湿疹の痕は全く無いし、肌は以前よりもきれいな程だが、首から下には全く毛が生えていない。
そう気が付くと、また少し不安になってくる。無意識に右手が股間に伸びると、すべすべした手触りが返ってくる。自分では「もう男はこりごり」という気持ちでこの処理をしたけれど、皮膚科の先生の腕前が良すぎて、まるで最初から生えてなかったみたいな出来栄えなのである。
「 雄一くんに気持ち悪がられないかなあ… 」
ゆうこはいつの間にか、声に出して呟いていた。
やがて、ゆうこはバスタブから出て、火照った身体を洗い始めた。つい、雄一の事を意識して、さなに言ったのと同じ様に、タオルを使わずに、手の平とスポンジだけで皮膚をこすっていく。
でも、もちろん、ゆうこは今はオナニーをしなかった。雄一の事が、これからどうなるかも分からないし、上手くいかない可能性の方が大きいのだから、それどころでは無かったのだ。
洗いながら、脱毛し終わった頃の事も思い出していた。
終了した頃から生理が来たり来なかったりする様になって、皮膚科の先生から知り合いの婦人科の女医さんを紹介してもらった。それから去年、閉経… 生理が上がったという診断をもらって、それが原因で性欲が増えている事も知った。
元夫からの離婚宣告 → 全身の湿疹 → (首から下の)全身の医療脱毛 → 湿疹の完治 → 生理不順 → 閉経 → 性欲の復活 …
この3年間、ゆうこの身体に起こったのは、本当に慌ただしい事の繰り返しだった。
幸い今は、心身ともに落ち着いている。問題は身体のレベルが下がっている事と、脱毛の事だけだ。でも本当は、それが問題なんだけど… と言う事も分かっていた。
身体を洗い終わっても、脱衣所で身体を拭いて髪を乾かしても、まだ、ゆうこの考えはまとまらなかった。
心は決まっている。雄一くんとセックスがしたくて堪らない。でも、どうやって誘ったらいいのか、考えがまとまらない。だって、断られるのが目に見えているし、それどころじゃなくて、この家から出て行かれる可能性も高いのだから。
考えている内に、肩より少し下まで伸びた黒髪も、すっかり乾いてしまった。身体も直ぐに冷え始めるだろう。早く部屋に戻らないといけない。
ゆうこはまとまらない考えのまま、バスタオルを腋の下で ぐるり と巻き付けて、胸から下を覆った。普段の生活は、さなと2人だけなので、いつも湯上りはそうしている事が多い。
そのバスタオルは上の方で、歳の割にはまだまだ張りがあって、更に脂肪で『太った』からブラのサイズがE→Fカップになってしまった巨乳に突き上げられている。そして、その分、下の端は股間が隠れるギリギリまで上に引っ張られて、脚は付け根から全て出ていたが、本人が「太い太い」と言う割には、ふっくらとしている程度で、バランスのとれている軟らかそうな脚だった。
また、タオルの丈は、もしも毛が生えていれば見えるか見えないかの長さなので、脱毛したおかげで何も見られなくて済みそうだ。
ゆうこは、鏡に映る自分のバスタオル1枚だけの身体を見て心を決めた。
雄一に対して上手く話す自信が全く無いのだから、いっその事、言葉の代わりに今の姿を見てもらおう、と。
上手く言えたとしても、いざ開始、となった時には身体を見られる訳だし、その時にダメになってしまうかも知れない。
それならば、この姿を見てもらったら、ダメなら関心を持ってくれないだろうし、もしも万一、少しでも性的な対象として見てもらえるなら、可能性が出てくるかもしれない。
バスタオルを突き上げている巨乳の存在感は、鏡の中でもかなりのアピールポイントになっている。
雄一が、もしも巨乳を好きならば… そこに賭けるしか無い。
また、見えそうで見えない股間の様子も気になるけれど、世の中には無毛のおまんこ… パイパンを好きな男性も、多くはないが少なからず居ると言う話も聞いた事がある。
もう、髪はすっかり乾いて さらっ と光っている。髪を下ろしたからだろうか、風呂に入る前よりも少し若く見える気もする。
ゆうこは勇気を出して、バスタオルだけの姿で、雄一とさなが居る部屋に入っていった。
「 何で、急いで部屋を出て来たんだろう? 」
雄一とさなを残して風呂場に来てから、ゆうこは自分でも不思議だった。
食器洗いが終わったのだから、次に自分のする事は『入浴』で良いのだけれど、何となく焦っていた気もする。
今までは食事という目的があったし、その後も洗い物とかの用事があった。でも、それが終わってしまうと、何となく自分の中で気まずさが生まれていた気がする。
やっぱり、あんな事を… 「 おばさんに入れてもいいから 」と言った事を… 気にしない方が無理である。
今は、部屋にさなもいるとは言え、それでも雄一と同じ空間にいるのはすごく気になる… いや、はっきり言って、恥ずかしい。
そう考えながら、無意識で服を脱ぎ始める。
身に付けているのは、ムームー・ブラジャー・パンティ、の3点だけ。この島は、季節の割には暖かい。
ムームーは、簡単に足元から抜けていく。すると、目の前の鏡には、白いブラとパンティだけの、太いおばさんの身体が映っていた。
先ず、太ももの太さ。
別にパンツやジーパンがはけない程ではないけれど、若い頃に比べるとかなり太くなったと思う。ふくらはぎは、それ程ではないので、かえって気になっている。
そして、お腹の周り。
ここも、若い頃はすっきりしていて、モデルのプロフィールでは公称58センチだった。実測は確か60前後だった記憶があるので58は嘘とは言えない。それに比べると、本当にひどいと思う。このまましゃがむと、三段腹以上になるはずだ。
肩のラインは撫で肩で、二の腕も太くは無いが、全体の印象が『太もも』と『腹』で決められてしまっている。
おまけに、丸顔と大きな胸。この事も、「太い」印象を作っている。
ゆうこは、このまま鏡を見ていると自己嫌悪に陥りそうなので、急いで残りを脱いで浴室に入った。つい数時間前に、さながオナニーをしていて、その現場を見てしまった場所だ。さなの引き締まった、きれいな身体が思い出される。
でも、少し首を振ってその考えを頭から振り払うと、バスタブの蛇口を適温にセットしながら捻った。
そして、バスチェアに座ってシャワーでお湯を身体にかける。すると、またマイナスな感情が戻って来る。
少しうつむくだけで、大きな肉の固まりが2つ、並んで湯を弾いているのが見える。
モデルをしていた19歳の頃は『Eカップ』だった。今も、その頃と比べてもしぼんではいない。ただ、全体的に太ってきた事によって、ここにも脂肪が付いてしまいブラはFカップ用を使っている。
決して大きくなった訳では無くて、言うなれば胸が『太った』という事なので、喜べるものではない。しかも、胸の張りはまだあるのに『太った』事によって、そのFカップの角度が少し下向きになってしまった。
あと、何年したら垂れてくるんだろう…
ゆうこは正直、不安である。張りは有っても自立できなくなってきているという事は、見方によっては垂れてきている様にも見える。そして、やがて本当に垂れ下がって来る。そんな日はたぶん遠くない。
でも、その不安を取り除こうと、両手でその2つをつかむ。これは毎日している習慣だった。
まだまだ、しっかりとした手応えがある。少し手に力を入れると、最初に脂肪の むにゅっ とした軟らかさと、それに続いて ぐっ と中身を感じるだけの抵抗感… 弾力がある。見た目ほどは悪く無い。
そして少し ほっ とする。ここまでが定例行事だ。
でも、雄一くんみたいな若い子から見たら、こんな太った『Fカップ』なんて下品かなあ…
ゆうこは巨乳を、大きいというよりも『太い』と考えてしまう。それ程、雄一にどう見られるかが気になっているのだ。
だから そっ と手の平で持ち上げてみる。案外、ずっしりと重い。つい、若い頃を思い出して、手で形を整えながら、上向きに角度を決めてみる。
子どもを産んでいないからか、乳首はかなり小粒な方だと思うし、色もかなり薄めだ。そして、巨乳に合わせて乳暈は標準よりも広い。この辺りは少し白人の胸の特長に似ている。
あ~あ、この角度だったらいいのになあ…
そう思った途端に、自分のしている「痛い」行為に気が付いて思わず手を放すと、巨乳が弾んで下を向きながら揺れる。本当に自分が恥すかしい。
顔を上げると、目の前の壁には曇り止め対応のガラスが嵌まっていて、そこには自分の顔がこちらを見ている。
黒髪でミディアムとセミロングの間くらいのストレート。それを昼間は後ろでまとめて後頭部にピンで留めていた。今は脱衣所で外したので、さらっと流れている。
基本的にメイクは嫌いな方だったが、離婚してからは、ほとんど化粧をしたことが無い。肌自体はまだまだカサついてなかったし、もう見せる相手もいないと思っていたからだ。髪も若い頃から一度も染めたことは無い。最近は白髪が無いか鏡で調べる日課も出来ているが、まだ捜索に引っかかった物はいない。
あ~あ、この顔、やっぱりおばさんだよねえ…
他人からは今でも『10歳は若いね』と言われるけれど、自分ではどうしてもモデルをしていた頃が基準になってしまい、今の顔はとても見られたものではない。
有名ではなかったけれど、それでも一応モデルとして事務所に所属できた顔なので、20歳前後の頃は、それなりに可愛かったと思う。当時から丸顔で童顔だったので今でもその傾向はある様なのだが、それでも自分から見ると、やはり おばさん の顔でしかない。
ゆうこは自虐的な自分観察を中断して、髪を洗った。
考えてみたら、自分の身体で衰えていないのは、この『髪』だけかもしれない。だから、念入りにきれいにしようと思う。
後で、よく乾かさないと… 特に今日は…
そう思いながら、タオルで軽く髪の湯を拭いて、出しっぱなしにしていたバスタブの湯を止めてから、そこに全身を浸した。ある程度、寝ころべる形のバスタブなので、気を付けの格好で手足を伸ばす。
そして、今の自分の身体の内、少し気になる部分の事に気持ちが行く。
実は、3年前、さなの父親に出て行かれてから、全身に原因不明の湿疹が出来た事がある。
しばらくは軟膏を塗ったり海女地区の内科(女医)に行ったけれど、全くよくならなかったので、本土の皮膚科を紹介してもらった。
診察日は通院が一日仕事になるから大変ではあったが、そこも女医なので安心して通った。それでも、原因はやはり分からず、薬を替えながら様子を見る日々が続いた。
ある通院の時、このままでは蒸れてしまうからと全身脱毛を勧められた。医療脱毛と言うそうだが、それは病気になった人だけでは無くて、将来の病気や介護に備えて40代の女性なら受けるのは普通になりつつありますよ、との事だった。また欧米では、特に富裕層を中心に医療だけではなく美容外科の方でも脱毛は流行っているそうで、将来の病気に備えてだけではなく、日常の生理の処理に対しても衛生的だから、と説明を受けた。
そして、ゆうこの場合は、治療目的だから健康保険も使えるから費用も大したことないですよ、と言われて、思い切って脱毛処理を受ける事を決めた。
それは、実際にその時、湿疹と汗で不快だった事が大きな理由だったが、それ以外にも、もう男はこりごりだから、気にせずに下の毛も無くしちゃえ、という気持ちもあったのは確かだった。
施術は1年前後掛かるとも言われたし、少し痛いとも言われたが、一度決めたら心は変わらなかった。
それからも定期的に本土に通い施術を続けたが、幸い8か月で終了した事と、痛さも我慢できる程度だったので、あまり辛くは無かった。
それに、何よりも、脱毛処理が進むにつれて、湿疹自体が改善した事が大きかった。3か月が過ぎて、目に見えて少し毛が減ってきた、と感じ始めた頃から湿疹も軽くなってきて、そして、脱毛が終わる頃には、湿疹は跡形もなく消えていた。
先生も最初は驚いていたけれど、「 おそらく精神的なものだったんでしょうね。 この処理を通して、何かご自分でも吹っ切れたんじゃないでしょうか 」との説明は、自分の中でとても納得できるものだった。不思議な事だけど、脱毛が進むにつれて気持ちも軽くなっていったのは本当だったからだ。
そして今、もちろん湿疹の痕は全く無いし、肌は以前よりもきれいな程だが、首から下には全く毛が生えていない。
そう気が付くと、また少し不安になってくる。無意識に右手が股間に伸びると、すべすべした手触りが返ってくる。自分では「もう男はこりごり」という気持ちでこの処理をしたけれど、皮膚科の先生の腕前が良すぎて、まるで最初から生えてなかったみたいな出来栄えなのである。
「 雄一くんに気持ち悪がられないかなあ… 」
ゆうこはいつの間にか、声に出して呟いていた。
やがて、ゆうこはバスタブから出て、火照った身体を洗い始めた。つい、雄一の事を意識して、さなに言ったのと同じ様に、タオルを使わずに、手の平とスポンジだけで皮膚をこすっていく。
でも、もちろん、ゆうこは今はオナニーをしなかった。雄一の事が、これからどうなるかも分からないし、上手くいかない可能性の方が大きいのだから、それどころでは無かったのだ。
洗いながら、脱毛し終わった頃の事も思い出していた。
終了した頃から生理が来たり来なかったりする様になって、皮膚科の先生から知り合いの婦人科の女医さんを紹介してもらった。それから去年、閉経… 生理が上がったという診断をもらって、それが原因で性欲が増えている事も知った。
元夫からの離婚宣告 → 全身の湿疹 → (首から下の)全身の医療脱毛 → 湿疹の完治 → 生理不順 → 閉経 → 性欲の復活 …
この3年間、ゆうこの身体に起こったのは、本当に慌ただしい事の繰り返しだった。
幸い今は、心身ともに落ち着いている。問題は身体のレベルが下がっている事と、脱毛の事だけだ。でも本当は、それが問題なんだけど… と言う事も分かっていた。
身体を洗い終わっても、脱衣所で身体を拭いて髪を乾かしても、まだ、ゆうこの考えはまとまらなかった。
心は決まっている。雄一くんとセックスがしたくて堪らない。でも、どうやって誘ったらいいのか、考えがまとまらない。だって、断られるのが目に見えているし、それどころじゃなくて、この家から出て行かれる可能性も高いのだから。
考えている内に、肩より少し下まで伸びた黒髪も、すっかり乾いてしまった。身体も直ぐに冷え始めるだろう。早く部屋に戻らないといけない。
ゆうこはまとまらない考えのまま、バスタオルを腋の下で ぐるり と巻き付けて、胸から下を覆った。普段の生活は、さなと2人だけなので、いつも湯上りはそうしている事が多い。
そのバスタオルは上の方で、歳の割にはまだまだ張りがあって、更に脂肪で『太った』からブラのサイズがE→Fカップになってしまった巨乳に突き上げられている。そして、その分、下の端は股間が隠れるギリギリまで上に引っ張られて、脚は付け根から全て出ていたが、本人が「太い太い」と言う割には、ふっくらとしている程度で、バランスのとれている軟らかそうな脚だった。
また、タオルの丈は、もしも毛が生えていれば見えるか見えないかの長さなので、脱毛したおかげで何も見られなくて済みそうだ。
ゆうこは、鏡に映る自分のバスタオル1枚だけの身体を見て心を決めた。
雄一に対して上手く話す自信が全く無いのだから、いっその事、言葉の代わりに今の姿を見てもらおう、と。
上手く言えたとしても、いざ開始、となった時には身体を見られる訳だし、その時にダメになってしまうかも知れない。
それならば、この姿を見てもらったら、ダメなら関心を持ってくれないだろうし、もしも万一、少しでも性的な対象として見てもらえるなら、可能性が出てくるかもしれない。
バスタオルを突き上げている巨乳の存在感は、鏡の中でもかなりのアピールポイントになっている。
雄一が、もしも巨乳を好きならば… そこに賭けるしか無い。
また、見えそうで見えない股間の様子も気になるけれど、世の中には無毛のおまんこ… パイパンを好きな男性も、多くはないが少なからず居ると言う話も聞いた事がある。
もう、髪はすっかり乾いて さらっ と光っている。髪を下ろしたからだろうか、風呂に入る前よりも少し若く見える気もする。
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