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第二章 ドワーフの国
エドワルドとの別離
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そこで石動はウインチェスターM1912トレンチガンを再現しようと考えている。
ウインチェスターM1912はハンマー内蔵式であり、露出する機関部も少ないので泥や埃に強く、頑丈で確実なポンプアクション散弾銃だ。累計200万丁以上生産されたと言われている。
トレンチガンとしては第一次大戦からベトナム戦争までアメリカ軍に使用された実績の持主だ。
銃身の上に遮熱板のヒートシールドと銃剣の着剣装置が付いているのが特徴となる。
銃身の下に設えたチューブ弾倉に6発装填できるので頼もしい。
銃剣を着剣したM12を肩に掛けておけば、近距離での戦闘なら大概のことには対応できるだろう。
バックショットという散弾は、一発の中に32口径の拳銃弾ほどの大きさの鉛球が9個も入っている。前世界では鹿狩りなどで、一般的に使用されていた弾だ。
これを6発も続けざまに撃てば、その弾幕に耐えられる生物は少ないだろう。
それに散弾だけでなく一発玉弾も撃てるので、50メートルくらいの距離なら熊でも倒せるだけの精度と威力があるのだ。
対人戦を想定するなら、相手が剣や槍の間合い程度であれば、それは散弾銃にとって必殺の間合いだと言える。
石動は相手が4、5人くらいなら、散弾銃の圧倒的な火力で制圧できる自信がある。
「(それ以上の人数が相手なら、まぁ逃げるが勝ちだよね。一旦、距離をとって狙撃していくのが一番だろうな。そのために中距離から遠距離をカバーできるライフルが必要だ。セミオートマチックのライフルがあればいいんだけど、再現するにはまだスキルが足りないから、できるとしたら初期のボルトアクションライフルになるか・・・・・・)」
いずれにせよ、カプリュスの合金鋼を試してからでないと、いくら考えても絵に描いた餅だ。
石動は考えるのをやめ、時間まで真剣に火薬量や弾頭の重さを変えた50-110WCFを、何種類か試験用に造り続けた。
宿に帰ると、既にエドワルドが部屋に戻っていた。
ロサは石動がドワーフの研究室に入り浸るようになった頃に「私、暇だからサントアリオスのリーリウムの家に行っているからね」と言ってノークトゥアム商会の馬車に同乗して帰っていった。
石動の銃の製造が終われば、また合流する約束になっている。
エドワルドが、部屋に入ってきた石動を見ると、ソファーから立ち上がり歩み寄ってくる。
「ザミエル殿、長らくお世話になった。吾輩も次の予定ができたので明日、ここを引き払おうと思うのだ」
「そうですか。名残惜しいですね・・・・・・」
エドワルドを胡散臭く思っていた時期もあったが、ディアトリマに食われかけた時に命を懸けて助けてくれたのは事実だ。
エドワルドの狙いがなんであれ、石動の感謝の気持ちは変わらなかった。
「貴方は私の命の恩人だ。借りを返さぬままお別れするのは心苦しいが、またお会いすることがあればその時にお返ししよう」
「いやいや、もう素材やこの宿代などで返してもらったようなもんだしな。気にしないでくだされ。でもまあ、そう言っていただけるなら、次回お会いするときを楽しみにしておこう」
その夜は部屋に酒を運んでもらい、食事とともにふたりで飲んだ。
話し上手なエドワルドの話に石動も笑わされ、盛り上がる。大いに飲み食いした後、明日早くに出立するというエドワルドの言葉に、その場はお開きとなった。
石動はエドワルドと堅く握手を交わし旅の無事を祈る、と言い残し、酔ってフラフラしながら寝床に向かう。
エドワルドはテーブルに着いたまま、グラスをグイっと飲み干し、笑顔でその姿をみおくりながら呟く。
「まぁ、すぐにまた会うことになると思うけどな。ツトム殿」
酔っていた石動に、その呟きは聞こえることはなかった
ウインチェスターM1912はハンマー内蔵式であり、露出する機関部も少ないので泥や埃に強く、頑丈で確実なポンプアクション散弾銃だ。累計200万丁以上生産されたと言われている。
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銃身の上に遮熱板のヒートシールドと銃剣の着剣装置が付いているのが特徴となる。
銃身の下に設えたチューブ弾倉に6発装填できるので頼もしい。
銃剣を着剣したM12を肩に掛けておけば、近距離での戦闘なら大概のことには対応できるだろう。
バックショットという散弾は、一発の中に32口径の拳銃弾ほどの大きさの鉛球が9個も入っている。前世界では鹿狩りなどで、一般的に使用されていた弾だ。
これを6発も続けざまに撃てば、その弾幕に耐えられる生物は少ないだろう。
それに散弾だけでなく一発玉弾も撃てるので、50メートルくらいの距離なら熊でも倒せるだけの精度と威力があるのだ。
対人戦を想定するなら、相手が剣や槍の間合い程度であれば、それは散弾銃にとって必殺の間合いだと言える。
石動は相手が4、5人くらいなら、散弾銃の圧倒的な火力で制圧できる自信がある。
「(それ以上の人数が相手なら、まぁ逃げるが勝ちだよね。一旦、距離をとって狙撃していくのが一番だろうな。そのために中距離から遠距離をカバーできるライフルが必要だ。セミオートマチックのライフルがあればいいんだけど、再現するにはまだスキルが足りないから、できるとしたら初期のボルトアクションライフルになるか・・・・・・)」
いずれにせよ、カプリュスの合金鋼を試してからでないと、いくら考えても絵に描いた餅だ。
石動は考えるのをやめ、時間まで真剣に火薬量や弾頭の重さを変えた50-110WCFを、何種類か試験用に造り続けた。
宿に帰ると、既にエドワルドが部屋に戻っていた。
ロサは石動がドワーフの研究室に入り浸るようになった頃に「私、暇だからサントアリオスのリーリウムの家に行っているからね」と言ってノークトゥアム商会の馬車に同乗して帰っていった。
石動の銃の製造が終われば、また合流する約束になっている。
エドワルドが、部屋に入ってきた石動を見ると、ソファーから立ち上がり歩み寄ってくる。
「ザミエル殿、長らくお世話になった。吾輩も次の予定ができたので明日、ここを引き払おうと思うのだ」
「そうですか。名残惜しいですね・・・・・・」
エドワルドを胡散臭く思っていた時期もあったが、ディアトリマに食われかけた時に命を懸けて助けてくれたのは事実だ。
エドワルドの狙いがなんであれ、石動の感謝の気持ちは変わらなかった。
「貴方は私の命の恩人だ。借りを返さぬままお別れするのは心苦しいが、またお会いすることがあればその時にお返ししよう」
「いやいや、もう素材やこの宿代などで返してもらったようなもんだしな。気にしないでくだされ。でもまあ、そう言っていただけるなら、次回お会いするときを楽しみにしておこう」
その夜は部屋に酒を運んでもらい、食事とともにふたりで飲んだ。
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石動はエドワルドと堅く握手を交わし旅の無事を祈る、と言い残し、酔ってフラフラしながら寝床に向かう。
エドワルドはテーブルに着いたまま、グラスをグイっと飲み干し、笑顔でその姿をみおくりながら呟く。
「まぁ、すぐにまた会うことになると思うけどな。ツトム殿」
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