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第二章 ドワーフの国
クレアシス王国
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盗賊たちの討伐が済んだ。
再度、出発の前に「グリフォンの剣」の団長たちは盗賊の死体の検分を行い、ダークエルフの商会員らは馬車や荷物の確認をしている。
急に手持無沙汰になった石動は、シャープスライフルの掃除でもしようかな、と考えていたところに、二人の団員が近づいてきた。
「ザミエルさん、今、いいですか?」
丁寧に呼びかけられて二人の顔を見ると、石動が馬車の屋根の上に居ることを揶揄ってきた団員の様だった。
「あの時は生意気なことを言って、すみませんでした!」
「すみませんでした!」
いきなり二人に頭を下げられて、石動は面食らう。
正直、なにも気にしていなかったからだ。
「いや~、凄かったっす! 」
「その魔道具で、どうやって盗賊たちをぶっ飛ばしてたんですか? 」
ゴツイ身体つきと見た目の男たちが、キラキラの眼で石動のライフルに興味を示してくれたことが嬉しくて、石動もつい笑顔になる。
「うん、これはシャープスライフルと言って50口径の単発ライフルなんだ、ライフルというのはね、この筒の様な銃身の中に溝を刻んで弾丸を回転させることで正確に飛ばす銃のことで、あっ、弾丸というのがこんな金属の礫でこれを火薬で発射するんだ、そうそうかやくというのは・・・・・・」
大好きな銃の話となると止まらない石動が捲し立て、余りの勢いと全く理解できない内容に二人の団員は固まってしまう。
その石動の一方的な銃談義は、可哀そうな二人の団員がデビット団長に「サボってないで早く(死体を)片付けろ!」と怒鳴りつけられて、石動から解放されるまでしばらく続いたのだった。
荷物のチェックが終わり、いくつかの盗賊の死体を積み、数珠つなぎに縛った生き残りの盗賊を連れると、商隊は再度出発した。
盗賊の死体は全部ではなく、捕虜から幹部だった者を聞き出し、賞金がかかっている者だけを積んでいく。後は使えそうな武器や装備を剝ぎ取ったら、一纏めにして岩場の影で油をかけて野焼きだ。
傭兵団の団員たちは、さすがにそういった処理に慣れていて手早い。
繋がれた盗賊たちは、衛兵に突き出されたら死罪になるので、足取りが重かった。
その後ろから傭兵団が怒鳴りつけ、小突いて早く歩かせる。
そんな具合で街道を進み、予定よりかなり遅れたが、日のあるうちにようやくクレアシス王国が見えるところまでやってきた。
クレアシス王国は、遠目からだとミルガルズ山脈に属する岩山に、無数の虫食い穴が開いているように見える。
その虫食い穴のあちこちから煙が立ち上り、よく見ると複雑なパイプや金属の箱のようなものが絡みついていて、 それを見た石動は前世界の工業地帯でよく見た複雑怪奇な感じに似ていると思った。
山のすそ野には商店や宿、居住区などが広がっており、その周りをぐるっと取り囲むように城砦が築かれている。
街道を進んでいくと、立派な城門が見えてきた。
ドワーフらしいがっちりした体形の門衛に、通行証を示しながら商隊の責任者は、早速盗賊たちのことを報告する。
頭目の死体や捕虜の盗賊たちを見た衛兵たちは、にわかに慌ただしくなり、応援を呼んだのかあちこちから続々と集まってきた。
責任者のダークエルフとデビット団長が、衛兵たちに事情聴取のため、衛兵官舎に連れていかれる。
商隊もあわせて衛兵官舎まで移動し、石動や他の者達は官舎前の広場で待つしかなかった。
再度、出発の前に「グリフォンの剣」の団長たちは盗賊の死体の検分を行い、ダークエルフの商会員らは馬車や荷物の確認をしている。
急に手持無沙汰になった石動は、シャープスライフルの掃除でもしようかな、と考えていたところに、二人の団員が近づいてきた。
「ザミエルさん、今、いいですか?」
丁寧に呼びかけられて二人の顔を見ると、石動が馬車の屋根の上に居ることを揶揄ってきた団員の様だった。
「あの時は生意気なことを言って、すみませんでした!」
「すみませんでした!」
いきなり二人に頭を下げられて、石動は面食らう。
正直、なにも気にしていなかったからだ。
「いや~、凄かったっす! 」
「その魔道具で、どうやって盗賊たちをぶっ飛ばしてたんですか? 」
ゴツイ身体つきと見た目の男たちが、キラキラの眼で石動のライフルに興味を示してくれたことが嬉しくて、石動もつい笑顔になる。
「うん、これはシャープスライフルと言って50口径の単発ライフルなんだ、ライフルというのはね、この筒の様な銃身の中に溝を刻んで弾丸を回転させることで正確に飛ばす銃のことで、あっ、弾丸というのがこんな金属の礫でこれを火薬で発射するんだ、そうそうかやくというのは・・・・・・」
大好きな銃の話となると止まらない石動が捲し立て、余りの勢いと全く理解できない内容に二人の団員は固まってしまう。
その石動の一方的な銃談義は、可哀そうな二人の団員がデビット団長に「サボってないで早く(死体を)片付けろ!」と怒鳴りつけられて、石動から解放されるまでしばらく続いたのだった。
荷物のチェックが終わり、いくつかの盗賊の死体を積み、数珠つなぎに縛った生き残りの盗賊を連れると、商隊は再度出発した。
盗賊の死体は全部ではなく、捕虜から幹部だった者を聞き出し、賞金がかかっている者だけを積んでいく。後は使えそうな武器や装備を剝ぎ取ったら、一纏めにして岩場の影で油をかけて野焼きだ。
傭兵団の団員たちは、さすがにそういった処理に慣れていて手早い。
繋がれた盗賊たちは、衛兵に突き出されたら死罪になるので、足取りが重かった。
その後ろから傭兵団が怒鳴りつけ、小突いて早く歩かせる。
そんな具合で街道を進み、予定よりかなり遅れたが、日のあるうちにようやくクレアシス王国が見えるところまでやってきた。
クレアシス王国は、遠目からだとミルガルズ山脈に属する岩山に、無数の虫食い穴が開いているように見える。
その虫食い穴のあちこちから煙が立ち上り、よく見ると複雑なパイプや金属の箱のようなものが絡みついていて、 それを見た石動は前世界の工業地帯でよく見た複雑怪奇な感じに似ていると思った。
山のすそ野には商店や宿、居住区などが広がっており、その周りをぐるっと取り囲むように城砦が築かれている。
街道を進んでいくと、立派な城門が見えてきた。
ドワーフらしいがっちりした体形の門衛に、通行証を示しながら商隊の責任者は、早速盗賊たちのことを報告する。
頭目の死体や捕虜の盗賊たちを見た衛兵たちは、にわかに慌ただしくなり、応援を呼んだのかあちこちから続々と集まってきた。
責任者のダークエルフとデビット団長が、衛兵たちに事情聴取のため、衛兵官舎に連れていかれる。
商隊もあわせて衛兵官舎まで移動し、石動や他の者達は官舎前の広場で待つしかなかった。
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