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弟子と母親編
夜明けの朗報
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朝日が昇る頃、アステルが無事に治療を終えて帰ってきた。彼女の疲れた表情に安堵の気持ちが広がる。
「患者は大丈夫でしたか?」
「ええ、キャロラインが一緒に来てくれたからお陰ですぐに原因がわかったの。ケルヴィンも本当にありがとう」
ケルヴィンが出迎えるとアステルは持ち運び用の薬箱を棚に置き、微笑みながらも少し疲れた様子を見せた。キャロラインに今日はゆっくり休んでほしいと、彼女を家まで送っていったのだ。
「家で何か無かった?ステラが迷惑をかけたとか」
「いえ……でも、一度シリウスさんがここに来ました。すぐに遠征の準備に戻ったみたいですけど」
アステルが心配そうに訊ねるとケルヴィンは首を横に振った。
「そうだったの?……それは、ごめんなさい」
アステルは驚いた表情を浮かべた。ケルヴィンはダークエルフが嫌いなのにシリウスが家に戻ることを予測できず、焦っていた状況とはいえ、鉢合わせさせてしまったことを申し訳なく思った。
「いえ、むしろ話し合いの場を作ってくれたことに感謝しています」
「シリウスが何か言っていたの?」
ケルヴィンは一瞬言葉を詰まらせたが、すぐに何事も無かったように首を振る。
「……ただ『俺が帰ってくるまで、ステラを守って欲しい』って」
「そんなことを?」
アステルは驚きつつも、どこか納得した様子だった。机の上に置いていったであろう護身用のナイフを手に取り、嬉しそうに微笑む。
「人に頼るのが苦手なのに」
その時、部屋の中からステラが飛び出してきて、アステルに抱きついた。
「お母さんお帰り!あ!お父さんのナイフ!お父さん帰った来たの!?」
「夜中に帰ってきたけど、もう……」
「あ、ケルヴィン待って!」
ケルヴィンが説明しようとすると、アステルの腕から離れたステラがそのままケルヴィンの方へ走ってきた。
「なんで起こしてくれなかったの!お父さんに会いたかったのに!」
そして彼の腕を摑んで不満をぶつける。
「寝てたから……」
「そんなの知らない!」
ケルヴィンが困惑していると、ステラは頬を大きく膨らませと反発した。
それを見たアステルは「やめなさい」と言ってステラをケルヴィンから引き離し、注意をする。
「ケルヴィンは夜遅くまでステラの面倒を見てくれたのよ?ごめんなさいして」
「あ、うう、ごめん、なさい」
アステルに強く言われたステラはしぶしぶケルヴィンに謝る。
「いいよ……次からお父さんが帰って来たら起こすようにするから」
「次?」
アステルが不思議そうに首をかしげる。
「また誰も居ないようでしたら、僕が留守を預かります」
「いいの?」
アステルは心配そうに尋ねた。今回の緊急事態は理解しているが、また留守を預かってもらうとなると申し訳なく感じていた。
「大丈夫です。ステラさんも誰もいないと寂しいでしょうし」
ケルヴィンは真剣な眼差しで応じるとアステルはその言葉に少し心が温まったようで、彼を見つめながら柔らかな笑みを浮かべた。
「ありがとう、ケルヴィン。あなたの気持ち、とても嬉しいわ」
ケルヴィンはぎこちない微笑みを浮かべた。その微笑みは長い間心の中でもがき続けた少年が、ようやく一歩踏み出したことを示している。アステルはその変化を感じ取ることができた。
「じゃあ、その時が来たらまたお願いするわね。ステラもきっと喜んで」
「なんで?ヴァンがいるから寂しくないよ?」
ステラがそう言うとヴァンはケルヴィンの細い肩に止まり、穏やかに鳴いている。その瞳には、無邪気な少女を守り続けてきた誇りが宿っていた。
彼女からしてみればヴァンはケルヴィンよりも、シリウスよりも、信頼を寄せる存在だ。
アステルもヴァンがいなければケルヴィンにステラの子守りを任せることはなかっただろう。
綺麗にまとまりそうだった雰囲気を一瞬で崩したのは意外にもステラの無邪気な一言だった。まるで晴れた空に突如として現れた雷鳴のように響き渡った。
ケルヴィンは気まずそうな顔をし、アステルは思わず苦笑を漏らす。だが、ステラはその場の微妙な空気を読み取れない様子で、首を傾げている。
◆
エルフの薬師はいつも通り、静かな工房で薬を作り続けていた。その傍らでケルヴィンは日々の生活の中で少しずつ心の傷を癒しながら通い続けている。
最近、彼は以前喧嘩をした相手と和解を果たしたと聞いた。心から許したわけではないが、上辺だけでも謝罪をし、互いに納得したらしい。
彼はこの国で生きていくなら、わだかまりを持たない方がいいと判断したのだ。
「アステルさん、お昼ご飯が出来ましたよ」
明るい声が工房に響く。振り向くと、キャロラインが微笑みながら呼びに来ていた。
「ありがとう」とアステルは返事をし、ふとケルヴィンの方を見た。
「ケルヴィンもよかったら一緒に食べる?」
前は遠慮されていたが、今日はどうだろうか?
「じゃあ……いただきます」
「はい!すぐにケルヴィンさんの席を用意しますね!」
ケルヴィンが遠慮がちに答えると兎耳をピンと立ててキャロラインは嬉しそうに笑い、アステルもその笑顔に心が和む。
切りの良いところで作業を止め、工房を後にしてダイニングに向かった。そこにはキャロラインが手間暇かけて用意した料理が並んでいる。
ニンジンのスープは黄金色に輝き、ほうれん草のパンはふわりとした焼き立ての香りを漂わせ、ナッツがたっぷり入ったサラダは色とりどりの野菜が美しく盛り付けられていた。
「……施設のよりも美味しい」
ケルヴィンは口に運んだスープを飲みながら呟いた。優しい甘さが口の中に広がり、ニンジンの自然な風味が感じられる。肉を好まないエルフにとってこの食事は食べやすいご馳走だった。
「よかったぁ。おかわり、いりますか?」
「いえ、そんなに食べれません」
キャロラインがおかわりを進めるとケルヴィンは少し困ったように首を振る。彼の頬はほんのり赤く、少し恥ずかしそうだ。
「遠慮しないで、食べ盛りでしょ?」
アステルはシリウスが同じ年頃だった時のことを思い出しながら言った。若さと食欲が溢れていたあの頃を懐かしむ。
しかし、ケルヴィンは本当に困った表情で断った。果たしてこれは個人差なのか、あるいはダークエルフとエルフの違いなのか。アステルはそう考えつつ、自分の食事を進めた。
スープの温かさが心地よく、ほうれん草のパンはそのままでも、少しバターを塗っても美味しい。ナッツが入ったサラダは歯ごたえがよく、彩り豊かな野菜が目にも楽しい。アステルは一口一口、味わいながら、今日の昼食の豊かさを噛みしめていた。
◆
そうして夕方の時刻が近づくと、玄関のドアが開く音がした。ステラが帰ってきたのかと思い、キャロラインが出迎えに向かう。
しかし、そこに立っていたのは疲れた顔をしたシリウスだった。遠征から帰ったばかりの彼にはまだ汚れが残っている。
「ケルヴィンも呼んできてくれ」とシリウスが頼むとキャロラインはびっくりしながらも素直に頷き、急いで工房へ向かう。
工房からケルヴィンを連れて戻ったアステルはシリウスの体を見て驚いた。腕や足には包帯が巻かれ、頬には青痣があった。
アステルは慌てて薬箱から塗り薬を取り出し、手慣れた様子で古い包帯を外していく。
「薬が足りなかったの?たくさん持っていったのに」
「足りなくなった……保護した者に優先して使っていたんだ」
アステルが不思議そうに尋ねるとシリウスは淡々と答える。肩や足を回し、問題がないことを確認した後、彼は黙って立っているケルヴィンに向かって言った。
「その中にケルヴィンの両親がいた」
「え……」
突然の言葉に、ケルヴィンは目を見開いた。死んだと思っていた両親が生きている。彼にとって、それは衝撃的な事実だ。
村を焼かれて行方不明になったエルフの大半は奴隷商人に捕まっていた。半年かけてようやく見つけたが、奴隷は人質扱いされていて簡単には攻め込めなかったという。
そして予想以上の敵の数と戦力に戦況は厳しく、大量の薬や治療魔法が必要な状態だった。シリウスはそれを少しでも早く伝えるため、自分の治療を後回しにしてここに来たのだった。
「衰弱してるが、なんとか一命は取り留めた」
「生きてた……」
ケルヴィンは震える声で呟き、涙が溢れてくる。ずっと見つからなかった両親、諦めていた両親が生きていたのだ。
アステルはその様子を見て、自分のことのように胸をなで下ろした。
「シリウスさん……ありがとうございます」
涙ぐんで感謝の言葉を伝えるケルヴィンにシリウスは小さく頷いて返した。命を懸けてまで彼の両親を探し出したシリウスに対し、ケルヴィンはもう昔のような嫌悪や怯えを抱かず、心の底から彼を尊敬したいと思った。
「患者は大丈夫でしたか?」
「ええ、キャロラインが一緒に来てくれたからお陰ですぐに原因がわかったの。ケルヴィンも本当にありがとう」
ケルヴィンが出迎えるとアステルは持ち運び用の薬箱を棚に置き、微笑みながらも少し疲れた様子を見せた。キャロラインに今日はゆっくり休んでほしいと、彼女を家まで送っていったのだ。
「家で何か無かった?ステラが迷惑をかけたとか」
「いえ……でも、一度シリウスさんがここに来ました。すぐに遠征の準備に戻ったみたいですけど」
アステルが心配そうに訊ねるとケルヴィンは首を横に振った。
「そうだったの?……それは、ごめんなさい」
アステルは驚いた表情を浮かべた。ケルヴィンはダークエルフが嫌いなのにシリウスが家に戻ることを予測できず、焦っていた状況とはいえ、鉢合わせさせてしまったことを申し訳なく思った。
「いえ、むしろ話し合いの場を作ってくれたことに感謝しています」
「シリウスが何か言っていたの?」
ケルヴィンは一瞬言葉を詰まらせたが、すぐに何事も無かったように首を振る。
「……ただ『俺が帰ってくるまで、ステラを守って欲しい』って」
「そんなことを?」
アステルは驚きつつも、どこか納得した様子だった。机の上に置いていったであろう護身用のナイフを手に取り、嬉しそうに微笑む。
「人に頼るのが苦手なのに」
その時、部屋の中からステラが飛び出してきて、アステルに抱きついた。
「お母さんお帰り!あ!お父さんのナイフ!お父さん帰った来たの!?」
「夜中に帰ってきたけど、もう……」
「あ、ケルヴィン待って!」
ケルヴィンが説明しようとすると、アステルの腕から離れたステラがそのままケルヴィンの方へ走ってきた。
「なんで起こしてくれなかったの!お父さんに会いたかったのに!」
そして彼の腕を摑んで不満をぶつける。
「寝てたから……」
「そんなの知らない!」
ケルヴィンが困惑していると、ステラは頬を大きく膨らませと反発した。
それを見たアステルは「やめなさい」と言ってステラをケルヴィンから引き離し、注意をする。
「ケルヴィンは夜遅くまでステラの面倒を見てくれたのよ?ごめんなさいして」
「あ、うう、ごめん、なさい」
アステルに強く言われたステラはしぶしぶケルヴィンに謝る。
「いいよ……次からお父さんが帰って来たら起こすようにするから」
「次?」
アステルが不思議そうに首をかしげる。
「また誰も居ないようでしたら、僕が留守を預かります」
「いいの?」
アステルは心配そうに尋ねた。今回の緊急事態は理解しているが、また留守を預かってもらうとなると申し訳なく感じていた。
「大丈夫です。ステラさんも誰もいないと寂しいでしょうし」
ケルヴィンは真剣な眼差しで応じるとアステルはその言葉に少し心が温まったようで、彼を見つめながら柔らかな笑みを浮かべた。
「ありがとう、ケルヴィン。あなたの気持ち、とても嬉しいわ」
ケルヴィンはぎこちない微笑みを浮かべた。その微笑みは長い間心の中でもがき続けた少年が、ようやく一歩踏み出したことを示している。アステルはその変化を感じ取ることができた。
「じゃあ、その時が来たらまたお願いするわね。ステラもきっと喜んで」
「なんで?ヴァンがいるから寂しくないよ?」
ステラがそう言うとヴァンはケルヴィンの細い肩に止まり、穏やかに鳴いている。その瞳には、無邪気な少女を守り続けてきた誇りが宿っていた。
彼女からしてみればヴァンはケルヴィンよりも、シリウスよりも、信頼を寄せる存在だ。
アステルもヴァンがいなければケルヴィンにステラの子守りを任せることはなかっただろう。
綺麗にまとまりそうだった雰囲気を一瞬で崩したのは意外にもステラの無邪気な一言だった。まるで晴れた空に突如として現れた雷鳴のように響き渡った。
ケルヴィンは気まずそうな顔をし、アステルは思わず苦笑を漏らす。だが、ステラはその場の微妙な空気を読み取れない様子で、首を傾げている。
◆
エルフの薬師はいつも通り、静かな工房で薬を作り続けていた。その傍らでケルヴィンは日々の生活の中で少しずつ心の傷を癒しながら通い続けている。
最近、彼は以前喧嘩をした相手と和解を果たしたと聞いた。心から許したわけではないが、上辺だけでも謝罪をし、互いに納得したらしい。
彼はこの国で生きていくなら、わだかまりを持たない方がいいと判断したのだ。
「アステルさん、お昼ご飯が出来ましたよ」
明るい声が工房に響く。振り向くと、キャロラインが微笑みながら呼びに来ていた。
「ありがとう」とアステルは返事をし、ふとケルヴィンの方を見た。
「ケルヴィンもよかったら一緒に食べる?」
前は遠慮されていたが、今日はどうだろうか?
「じゃあ……いただきます」
「はい!すぐにケルヴィンさんの席を用意しますね!」
ケルヴィンが遠慮がちに答えると兎耳をピンと立ててキャロラインは嬉しそうに笑い、アステルもその笑顔に心が和む。
切りの良いところで作業を止め、工房を後にしてダイニングに向かった。そこにはキャロラインが手間暇かけて用意した料理が並んでいる。
ニンジンのスープは黄金色に輝き、ほうれん草のパンはふわりとした焼き立ての香りを漂わせ、ナッツがたっぷり入ったサラダは色とりどりの野菜が美しく盛り付けられていた。
「……施設のよりも美味しい」
ケルヴィンは口に運んだスープを飲みながら呟いた。優しい甘さが口の中に広がり、ニンジンの自然な風味が感じられる。肉を好まないエルフにとってこの食事は食べやすいご馳走だった。
「よかったぁ。おかわり、いりますか?」
「いえ、そんなに食べれません」
キャロラインがおかわりを進めるとケルヴィンは少し困ったように首を振る。彼の頬はほんのり赤く、少し恥ずかしそうだ。
「遠慮しないで、食べ盛りでしょ?」
アステルはシリウスが同じ年頃だった時のことを思い出しながら言った。若さと食欲が溢れていたあの頃を懐かしむ。
しかし、ケルヴィンは本当に困った表情で断った。果たしてこれは個人差なのか、あるいはダークエルフとエルフの違いなのか。アステルはそう考えつつ、自分の食事を進めた。
スープの温かさが心地よく、ほうれん草のパンはそのままでも、少しバターを塗っても美味しい。ナッツが入ったサラダは歯ごたえがよく、彩り豊かな野菜が目にも楽しい。アステルは一口一口、味わいながら、今日の昼食の豊かさを噛みしめていた。
◆
そうして夕方の時刻が近づくと、玄関のドアが開く音がした。ステラが帰ってきたのかと思い、キャロラインが出迎えに向かう。
しかし、そこに立っていたのは疲れた顔をしたシリウスだった。遠征から帰ったばかりの彼にはまだ汚れが残っている。
「ケルヴィンも呼んできてくれ」とシリウスが頼むとキャロラインはびっくりしながらも素直に頷き、急いで工房へ向かう。
工房からケルヴィンを連れて戻ったアステルはシリウスの体を見て驚いた。腕や足には包帯が巻かれ、頬には青痣があった。
アステルは慌てて薬箱から塗り薬を取り出し、手慣れた様子で古い包帯を外していく。
「薬が足りなかったの?たくさん持っていったのに」
「足りなくなった……保護した者に優先して使っていたんだ」
アステルが不思議そうに尋ねるとシリウスは淡々と答える。肩や足を回し、問題がないことを確認した後、彼は黙って立っているケルヴィンに向かって言った。
「その中にケルヴィンの両親がいた」
「え……」
突然の言葉に、ケルヴィンは目を見開いた。死んだと思っていた両親が生きている。彼にとって、それは衝撃的な事実だ。
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そして予想以上の敵の数と戦力に戦況は厳しく、大量の薬や治療魔法が必要な状態だった。シリウスはそれを少しでも早く伝えるため、自分の治療を後回しにしてここに来たのだった。
「衰弱してるが、なんとか一命は取り留めた」
「生きてた……」
ケルヴィンは震える声で呟き、涙が溢れてくる。ずっと見つからなかった両親、諦めていた両親が生きていたのだ。
アステルはその様子を見て、自分のことのように胸をなで下ろした。
「シリウスさん……ありがとうございます」
涙ぐんで感謝の言葉を伝えるケルヴィンにシリウスは小さく頷いて返した。命を懸けてまで彼の両親を探し出したシリウスに対し、ケルヴィンはもう昔のような嫌悪や怯えを抱かず、心の底から彼を尊敬したいと思った。
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