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エルフとダークエルフの狭間の子

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 アステルとステラが家に戻るとシリウスが家の中を掃除しつつ、荷造りをしていた。家の中が荒らされてしまったので持っていける物はほとんどなかったが、必要なものだけでも新居に運ぶ、そして次にこの家に住む人の為に綺麗にしておくとシリウスが自ら買って出てくれたのだ。

 シリウスは二人の姿を見ると荷物を一旦置き、近寄ると母の後ろに隠れている幼いステラに目線を合わせて膝をつく。今のステラはエルフ特有の金髪に青い瞳、白い肌でアステルと同じ色だ。そんなステラはつぶらな青い瞳でシリウスをじっと見つめている。

「この人がステラのお父さんなの」

 アステルが同じように膝をつき、目線を合わせて娘の肩を抱きながら、そう告げるとステラは目を丸くして見つめたまま固まってしまった。ステラはシリウスのことを母からの話でしか知らない。だが本能的に何かを感じ取ったようで言葉が出ないようであった。
 シリウスはステラの反応に少し寂しさを感じたが無理もないことだと思った。ステラにとって自分は赤の他人でしかない。

「お父さん……死んだって……」
「ごめんね。もう会えないと思っていたから……」

 アステルが申し訳なさそうに謝るとステラは不安気に彼を見る。

「ずっと会えなくてすまなかった。今からでも許してくれるなら俺を父親として受け入れてくれるか?」

 シリウスはステラの目を見据えて真剣に問いかけた。

「え……やだ……」

 するとステラはアステルの胸元に顔を埋めて拒絶する。覚悟はしていたがシリウスはショックを受けていた。今までの行いを振り返れば仕方がないことだと思いながらも、やはり辛かった。

「そうか……それなら二人を守ることだけは許してくれないか?」
「それなら……いいよ」

 シリウスの問いに対して母にしがみついたまま頷くステラを見てアステルはホッとしたような表情を見せる。シリウスもアステルと同じように安堵した様子を見せるとステラに微笑みかけた。

「ありがとう……これからよろしく頼む」
「うん……」

 ステラは照れくさそうな表情を見せるとアステルの服を握る手に力を込めた。シリウスはステラを怖がらせないように気をつけなければと思いつつ、立ち上がると頭上から羽ばたく音が聞こえた。

 空を見る前にヴァンが肩に止まり、喉を鳴らせて甘えるように擦り寄ってきたのだ。

 シリウスは頭を撫でてやると嬉しそうにまた喉を鳴らす。その様子を見てアステルはステラを抱きしめたまま幸せを噛みしめるように笑っていた。
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