10 / 104
冷たい瞳
しおりを挟む
「アステル!いるのか!」
突然の怒鳴り声に二人は驚き、声を潜めて居留守を使おうとするが、先ほどよりも力強く扉を叩かれた。
「叫び声がしたが何があった!いるなら返事をしてくれ!ドアを壊すぞ!」
「ま、待って!大丈夫よ!」
アステルは慌ててそう言うと近くにあったタオルで足に付いたシリウスの精子を拭き取ってから玄関へと向かう。一方シリウスは淡々と床の後処理を済ませてから奥の部屋へと姿を消した。
家の扉が開かれ、中へと入ってきたのはエルフの道具屋の男、ロディだった。彼はアステルの姿を見るなり彼女に近寄る。
「何かあったのか?」
「心配かけてごめんなさい。でも本当に何もなかったの、ちょっと足を滑らせて転んでしまっただけだから」
アステルが平静を装いながら答えるとロディは怪しむような目でアステルを見つめてくる。
「本当か?それならばいいが……」
「それより、どうしたの?薬に何か問題でもあった?」
届けた薬に何か不備があったのではないかと不安になり、アステルは尋ねる。しかし彼の答えは予想とは違ったものだった。
「いや、話があるんだ。中に入れてもらうぞ」
「え、ちょっと!?」
アステルが止める間もなく、強引に家の中に入られてしまい、アステルは困った表情を浮かべる。もしもシリウスの存在が知られてしまえば大変な事になるからだ。
「ん?なんか変な臭いがするな……」
「今、薬を作っていたの。だからそのせいだと思う」
アステルは窓を開けて部屋の空気を換気をしながら咄嵯に誤魔化した。この臭いは先程まで自分とシリウスが交わっていた証拠である。それを知られるわけにはいかない。冷や汗を流し、羞恥心に体が熱くなるのを感じながらもアステルは必死に耐えるしかなかった。
(やだ……シリウスが出したのが……)
股の間から漏れ出たシリウスの精液が流れ出ている感覚に気づき、アステルは慌ててロディを椅子に座らせて自分も向かい合うようにして座り、話をする事にした。そしてロディは机の上で手を組んで真剣な表情を浮かべると口を開いた。
「それで、どんな用件なの?」
「ああ……実は……お前、俺と結婚しないか?」
「……え!?」
予想外の言葉にアステルは思わず素頓狂な声を上げてしまう。
「貴方はもう結婚しているじゃない」
ロディは三年ほど前から既に同じ集落のエルフの女性と結婚をしている。そんな彼がなぜ自分に求婚してきたのだろうかとアステルは戸惑いと疑問を抱いた。するとロディは神妙な顔で首を横に振って苦しそうに言った。
「俺は……子供が欲しい。だが、妻は子供が嫌いで欲しがらないんだ。避妊をしての行為が嫌になってきた。それにあいつも俺の事をもう愛してはいない。ただ義務感で一緒にいるだけなんだ……もう限界なんだよ……」
あのたまに頼まれる避妊薬はロディ達が必要としていたものだと知り、アステルは納得した。仕入れる量は少量なのに定期的に持ってきてほしいと頼まれていたため、不思議に思っていたのだがそういう事情があったのだ。
「でもどうして私なの……他にも未婚の女の人はいくらでもいるはずでしょ……」
「俺が求めているのは子供が好きで子供を産める健康な女だ。アステルは子供が好きだろ?」
確かにアステルは子供が好きだ。子供は偏見が染まる前は純粋で可愛らしく、無邪気に笑う姿はとても癒される。たまに怪我をしている子供にこっそり傷薬を塗ってあげたり、お菓子をあげたりすることもある。バレていないと思っていたが、どうやら彼に見抜かれていたらしい。
「それに薬師のお前と商人の俺が夫婦になればお互いに利益になるはずだ。悪い話ではない」
ロディの言葉にアステルは俯いて考え込む。シリウスと一緒に暮らす今の生活が一番楽しい。彼とずっと一緒なら幸せだ。何より、シリウス以外の男と性行為をするなんて考えたくもなかった。
だが、もしシリウスの存在を知られてしまえば彼はここを出ていかなければならない。今の暮らしを続けられない恐怖もあった。
(その時は私も一緒に)
アステルは覚悟を決めるとロディの顔を見てはっきりと答えた。シリウスと離れたくないという気持ちを込めて。
「ごめんなさい、その気持ちには答えられないの……」
「そうか……」
断られることを想定していなかったのか、ロディはショックを受けたように肩を落とす。エルフの集落で浮いてしまっているアステルはここでは貰い手がいなかったからプロポーズを受け取ってくれるとでも考えていたようだ。
「それにしても家ではそんな格好をしていたのか」
突然、話題を変えてきたことにアステルは戸惑う。
「いや、いつもは上になんか着ているしスカートも長いだろう?それが今は露出が高くて驚いただけだ」
「あっ……」
そういえばそうだったと思い出し、アステルは顔を真っ赤にする。今までは大きな胸を隠すためにケープを羽織って、ロングスカートで外出をしていたため、肌の露出は抑えられていたが、今は裸の上に直接服を着ただけで下着すらつけておらず、太ももを大胆に露わにしている。突然の訪問に急いで出たため、こんな姿を晒してしまったのだ。
「なあ、アステル……もう少し考えてみてくれないか?俺達はきっとうまくやっていけると……」
急にロディは席を立つとアステルの隣へと移動し、彼女の肩に手を回して抱き寄せてくる。
「ちょ、ちょっと」
いきなりの行動に驚き、アステルは抵抗しようとするが、彼は力強く抱きしめてくると耳元に囁いてくる。
「大丈夫、優しくするからさ……多少肉付けが良くても別に俺は気にしない……」
ロディの手がゆっくりとアステルの体に触れ、撫でるように触ってくる。その手つきにアステルは嫌悪感を抱き、鳥肌が立った。
しかし、ここで騒ぎを起こしてしまえばシリウスが彼女を助ける為にやってきてしまうかもしれない。そうなれば彼の存在がロディに知られてしまう。それだけは避けたかった。アステルは必死に我慢するが、ロディの手は止まらず、とうとう太ももにまで伸びていく。
「もう妻を愛していないんだ……だから俺の事を受け入れてくれるよな?」
ロディの囁きにアステルは母がいながら人間の女と恋をして、家を出た父のことを思い出してしまい、吐き気が込み上げてきてしまった。
「貴方も……私のお父さんと同じなのね……」
ロディの動きが止まり、恐る恐る顔を上げる。そこには軽蔑のまなざしを向けるアステルの姿があった。普段は大人しく、素直で優しい彼女が初めて見せる冷たい表情にロディは動揺をした。
「一度でも愛を誓ったならちゃんと奥さんと向き合うべきだと思う」
「う……すまなかった……」
ロディはアステルから離れ、項垂れながら謝罪を口にするとそのまま家から出ていった。一人残された彼女は安堵のため息をつくと、先程のことを思い出した。
触れられた所が不快で仕方がなかった。この不快感はロディに対してなのか、それとも別の何かが原因なのかわからない。
だが、アステルにとってロディの求婚を断ったのは正解であったことには間違いない。まだ離婚をしていない状態で何かあれば問題が起こっていたはずだ。それにアステルの頭の中にはシリウス以外の男に抱かれるという考えなど微塵も浮かんではこず、これからもずっと彼と共に生きていきたいという思いだけが強くなっていた。
突然の怒鳴り声に二人は驚き、声を潜めて居留守を使おうとするが、先ほどよりも力強く扉を叩かれた。
「叫び声がしたが何があった!いるなら返事をしてくれ!ドアを壊すぞ!」
「ま、待って!大丈夫よ!」
アステルは慌ててそう言うと近くにあったタオルで足に付いたシリウスの精子を拭き取ってから玄関へと向かう。一方シリウスは淡々と床の後処理を済ませてから奥の部屋へと姿を消した。
家の扉が開かれ、中へと入ってきたのはエルフの道具屋の男、ロディだった。彼はアステルの姿を見るなり彼女に近寄る。
「何かあったのか?」
「心配かけてごめんなさい。でも本当に何もなかったの、ちょっと足を滑らせて転んでしまっただけだから」
アステルが平静を装いながら答えるとロディは怪しむような目でアステルを見つめてくる。
「本当か?それならばいいが……」
「それより、どうしたの?薬に何か問題でもあった?」
届けた薬に何か不備があったのではないかと不安になり、アステルは尋ねる。しかし彼の答えは予想とは違ったものだった。
「いや、話があるんだ。中に入れてもらうぞ」
「え、ちょっと!?」
アステルが止める間もなく、強引に家の中に入られてしまい、アステルは困った表情を浮かべる。もしもシリウスの存在が知られてしまえば大変な事になるからだ。
「ん?なんか変な臭いがするな……」
「今、薬を作っていたの。だからそのせいだと思う」
アステルは窓を開けて部屋の空気を換気をしながら咄嵯に誤魔化した。この臭いは先程まで自分とシリウスが交わっていた証拠である。それを知られるわけにはいかない。冷や汗を流し、羞恥心に体が熱くなるのを感じながらもアステルは必死に耐えるしかなかった。
(やだ……シリウスが出したのが……)
股の間から漏れ出たシリウスの精液が流れ出ている感覚に気づき、アステルは慌ててロディを椅子に座らせて自分も向かい合うようにして座り、話をする事にした。そしてロディは机の上で手を組んで真剣な表情を浮かべると口を開いた。
「それで、どんな用件なの?」
「ああ……実は……お前、俺と結婚しないか?」
「……え!?」
予想外の言葉にアステルは思わず素頓狂な声を上げてしまう。
「貴方はもう結婚しているじゃない」
ロディは三年ほど前から既に同じ集落のエルフの女性と結婚をしている。そんな彼がなぜ自分に求婚してきたのだろうかとアステルは戸惑いと疑問を抱いた。するとロディは神妙な顔で首を横に振って苦しそうに言った。
「俺は……子供が欲しい。だが、妻は子供が嫌いで欲しがらないんだ。避妊をしての行為が嫌になってきた。それにあいつも俺の事をもう愛してはいない。ただ義務感で一緒にいるだけなんだ……もう限界なんだよ……」
あのたまに頼まれる避妊薬はロディ達が必要としていたものだと知り、アステルは納得した。仕入れる量は少量なのに定期的に持ってきてほしいと頼まれていたため、不思議に思っていたのだがそういう事情があったのだ。
「でもどうして私なの……他にも未婚の女の人はいくらでもいるはずでしょ……」
「俺が求めているのは子供が好きで子供を産める健康な女だ。アステルは子供が好きだろ?」
確かにアステルは子供が好きだ。子供は偏見が染まる前は純粋で可愛らしく、無邪気に笑う姿はとても癒される。たまに怪我をしている子供にこっそり傷薬を塗ってあげたり、お菓子をあげたりすることもある。バレていないと思っていたが、どうやら彼に見抜かれていたらしい。
「それに薬師のお前と商人の俺が夫婦になればお互いに利益になるはずだ。悪い話ではない」
ロディの言葉にアステルは俯いて考え込む。シリウスと一緒に暮らす今の生活が一番楽しい。彼とずっと一緒なら幸せだ。何より、シリウス以外の男と性行為をするなんて考えたくもなかった。
だが、もしシリウスの存在を知られてしまえば彼はここを出ていかなければならない。今の暮らしを続けられない恐怖もあった。
(その時は私も一緒に)
アステルは覚悟を決めるとロディの顔を見てはっきりと答えた。シリウスと離れたくないという気持ちを込めて。
「ごめんなさい、その気持ちには答えられないの……」
「そうか……」
断られることを想定していなかったのか、ロディはショックを受けたように肩を落とす。エルフの集落で浮いてしまっているアステルはここでは貰い手がいなかったからプロポーズを受け取ってくれるとでも考えていたようだ。
「それにしても家ではそんな格好をしていたのか」
突然、話題を変えてきたことにアステルは戸惑う。
「いや、いつもは上になんか着ているしスカートも長いだろう?それが今は露出が高くて驚いただけだ」
「あっ……」
そういえばそうだったと思い出し、アステルは顔を真っ赤にする。今までは大きな胸を隠すためにケープを羽織って、ロングスカートで外出をしていたため、肌の露出は抑えられていたが、今は裸の上に直接服を着ただけで下着すらつけておらず、太ももを大胆に露わにしている。突然の訪問に急いで出たため、こんな姿を晒してしまったのだ。
「なあ、アステル……もう少し考えてみてくれないか?俺達はきっとうまくやっていけると……」
急にロディは席を立つとアステルの隣へと移動し、彼女の肩に手を回して抱き寄せてくる。
「ちょ、ちょっと」
いきなりの行動に驚き、アステルは抵抗しようとするが、彼は力強く抱きしめてくると耳元に囁いてくる。
「大丈夫、優しくするからさ……多少肉付けが良くても別に俺は気にしない……」
ロディの手がゆっくりとアステルの体に触れ、撫でるように触ってくる。その手つきにアステルは嫌悪感を抱き、鳥肌が立った。
しかし、ここで騒ぎを起こしてしまえばシリウスが彼女を助ける為にやってきてしまうかもしれない。そうなれば彼の存在がロディに知られてしまう。それだけは避けたかった。アステルは必死に我慢するが、ロディの手は止まらず、とうとう太ももにまで伸びていく。
「もう妻を愛していないんだ……だから俺の事を受け入れてくれるよな?」
ロディの囁きにアステルは母がいながら人間の女と恋をして、家を出た父のことを思い出してしまい、吐き気が込み上げてきてしまった。
「貴方も……私のお父さんと同じなのね……」
ロディの動きが止まり、恐る恐る顔を上げる。そこには軽蔑のまなざしを向けるアステルの姿があった。普段は大人しく、素直で優しい彼女が初めて見せる冷たい表情にロディは動揺をした。
「一度でも愛を誓ったならちゃんと奥さんと向き合うべきだと思う」
「う……すまなかった……」
ロディはアステルから離れ、項垂れながら謝罪を口にするとそのまま家から出ていった。一人残された彼女は安堵のため息をつくと、先程のことを思い出した。
触れられた所が不快で仕方がなかった。この不快感はロディに対してなのか、それとも別の何かが原因なのかわからない。
だが、アステルにとってロディの求婚を断ったのは正解であったことには間違いない。まだ離婚をしていない状態で何かあれば問題が起こっていたはずだ。それにアステルの頭の中にはシリウス以外の男に抱かれるという考えなど微塵も浮かんではこず、これからもずっと彼と共に生きていきたいという思いだけが強くなっていた。
51
お気に入りに追加
495
あなたにおすすめの小説
【完結】番(つがい)でした ~美しき竜人の王様の元を去った番の私が、再び彼に囚われるまでのお話~
tea
恋愛
かつて私を妻として番として乞い願ってくれたのは、宝石の様に美しい青い目をし冒険者に扮した、美しき竜人の王様でした。
番に選ばれたものの、一度は辛くて彼の元を去ったレーアが、番であるエーヴェルトラーシュと再び結ばれるまでのお話です。
ヒーローは普段穏やかですが、スイッチ入るとややドS。
そして安定のヤンデレさん☆
ちょっぴり切ない、でもちょっとした剣と魔法の冒険ありの(私とヒロイン的には)ハッピーエンド(執着心むき出しのヒーローに囚われてしまったので、見ようによってはメリバ?)のお話です。
別サイトに公開済の小説を編集し直して掲載しています。
5年も苦しんだのだから、もうスッキリ幸せになってもいいですよね?
gacchi
恋愛
13歳の学園入学時から5年、第一王子と婚約しているミレーヌは王子妃教育に疲れていた。好きでもない王子のために苦労する意味ってあるんでしょうか。
そんなミレーヌに王子は新しい恋人を連れて
「婚約解消してくれる?優しいミレーヌなら許してくれるよね?」
もう私、こんな婚約者忘れてスッキリ幸せになってもいいですよね?
3/5 1章完結しました。おまけの後、2章になります。
4/4 完結しました。奨励賞受賞ありがとうございました。
1章が書籍になりました。
稀代の悪女として処刑されたはずの私は、なぜか幼女になって公爵様に溺愛されています
水谷繭
ファンタジー
グレースは皆に悪女と罵られながら処刑された。しかし、確かに死んだはずが目を覚ますと森の中だった。その上、なぜか元の姿とは似ても似つかない幼女の姿になっている。
森を彷徨っていたグレースは、公爵様に見つかりお屋敷に引き取られることに。初めは戸惑っていたグレースだが、都合がいいので、かわい子ぶって公爵家の力を利用することに決める。
公爵様にシャーリーと名付けられ、溺愛されながら過ごすグレース。そんなある日、前世で自分を陥れたシスターと出くわす。公爵様に好意を持っているそのシスターは、シャーリーを世話するという口実で公爵に近づこうとする。シスターの目的を察したグレースは、彼女に復讐することを思いつき……。
◇画像はGirly Drop様からお借りしました
◆エール送ってくれた方ありがとうございます!
【完結】もう…我慢しなくても良いですよね?
アノマロカリス
ファンタジー
マーテルリア・フローレンス公爵令嬢は、幼い頃から自国の第一王子との婚約が決まっていて幼少の頃から厳しい教育を施されていた。
泣き言は許されず、笑みを浮かべる事も許されず、お茶会にすら参加させて貰えずに常に完璧な淑女を求められて教育をされて来た。
16歳の成人の義を過ぎてから王子との婚約発表の場で、事あろうことか王子は聖女に選ばれたという男爵令嬢を連れて来て私との婚約を破棄して、男爵令嬢と婚約する事を選んだ。
マーテルリアの幼少からの血の滲むような努力は、一瞬で崩壊してしまった。
あぁ、今迄の苦労は一体なんの為に…
もう…我慢しなくても良いですよね?
この物語は、「虐げられる生活を曽祖母の秘術でざまぁして差し上げますわ!」の続編です。
前作の登場人物達も多数登場する予定です。
マーテルリアのイラストを変更致しました。
【掌編集】今までお世話になりました旦那様もお元気で〜妻の残していった離婚受理証明書を握りしめイケメン公爵は涙と鼻水を垂らす
まほりろ
恋愛
新婚初夜に「君を愛してないし、これからも愛するつもりはない」と言ってしまった公爵。
彼は今まで、天才、美男子、完璧な貴公子、ポーカーフェイスが似合う氷の公爵などと言われもてはやされてきた。
しかし新婚初夜に暴言を吐いた女性が、初恋の人で、命の恩人で、伝説の聖女で、妖精の愛し子であったことを知り意気消沈している。
彼の手には元妻が置いていった「離婚受理証明書」が握られていた……。
他掌編七作品収録。
※無断転載を禁止します。
※朗読動画の無断配信も禁止します
「Copyright(C)2023-まほりろ/若松咲良」
某小説サイトに投稿した掌編八作品をこちらに転載しました。
【収録作品】
①「今までお世話になりました旦那様もお元気で〜ポーカーフェイスの似合う天才貴公子と称された公爵は、妻の残していった離婚受理証明書を握りしめ涙と鼻水を垂らす」
②「何をされてもやり返せない臆病な公爵令嬢は、王太子に竜の生贄にされ壊れる。能ある鷹と天才美少女は爪を隠す」
③「運命的な出会いからの即日プロポーズ。婚約破棄された天才錬金術師は新しい恋に生きる!」
④「4月1日10時30分喫茶店ルナ、婚約者は遅れてやってきた〜新聞は星座占いを見る為だけにある訳ではない」
⑤「『お姉様はズルい!』が口癖の双子の弟が現世の婚約者! 前世では弟を立てる事を親に強要され馬鹿の振りをしていましたが、現世では奴とは他人なので天才として実力を充分に発揮したいと思います!」
⑥「婚約破棄をしたいと彼は言った。契約書とおふだにご用心」
⑦「伯爵家に半世紀仕えた老メイドは伯爵親子の罠にハマり無一文で追放される。老メイドを助けたのはポーカーフェイスの美女でした」
⑧「お客様の中に褒め褒めの感想を書ける方はいらっしゃいませんか? 天才美文感想書きVS普通の少女がえんぴつで書いた感想!」
どうやら夫に疎まれているようなので、私はいなくなることにします
文野多咲
恋愛
秘めやかな空気が、寝台を囲う帳の内側に立ち込めていた。
夫であるゲルハルトがエレーヌを見下ろしている。
エレーヌの髪は乱れ、目はうるみ、体の奥は甘い熱で満ちている。エレーヌもまた、想いを込めて夫を見つめた。
「ゲルハルトさま、愛しています」
ゲルハルトはエレーヌをさも大切そうに撫でる。その手つきとは裏腹に、ぞっとするようなことを囁いてきた。
「エレーヌ、俺はあなたが憎い」
エレーヌは凍り付いた。

娼館で元夫と再会しました
無味無臭(不定期更新)
恋愛
公爵家に嫁いですぐ、寡黙な夫と厳格な義父母との関係に悩みホームシックにもなった私は、ついに耐えきれず離縁状を机に置いて嫁ぎ先から逃げ出した。
しかし実家に帰っても、そこに私の居場所はない。
連れ戻されてしまうと危惧した私は、自らの体を売って生計を立てることにした。
「シーク様…」
どうして貴方がここに?
元夫と娼館で再会してしまうなんて、なんという不運なの!

ずっと好きだった獣人のあなたに別れを告げて
木佐木りの
恋愛
女性騎士イヴリンは、騎士団団長で黒豹の獣人アーサーに密かに想いを寄せてきた。しかし獣人には番という運命の相手がいることを知る彼女は想いを伝えることなく、自身の除隊と実家から届いた縁談の話をきっかけに、アーサーとの別れを決意する。
前半は回想多めです。恋愛っぽい話が出てくるのは後半の方です。よくある話&書きたいことだけ詰まっているので設定も話もゆるゆるです(-人-)
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる