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べた惚れとは?
しおりを挟む私はまだ学生のため、お休みの日だけたまに領地へ同行させて貰っています。なぜたまにかと言うと王妃様やクローディス公爵夫人、ベルジャン公爵夫人からお茶会へのお誘いを頂き、そちらにお邪魔しているからです。アイシャのお母様やデイヴのお母様にはパーティーで言われた通りドレスのご注文を頂きました。社交界の華と言われるお二人に着ていただくと王妃様とはまた違う着こなしに見惚れ、高位貴族がこぞってこのドレスを着ることになりました。
それから私のことをとても可愛がってくださいます。王妃様とはお二人共もともと仲がいいらしく、このお茶会に呼ばれるのは高位女性のステータスらしいのですが、最近はこの場に行けば私とも話せると言う特典があると噂されていました。
つい先日は王妃様とお二人でお茶をさせていただきました。王室からのお手紙が届くと宛名は私で、お茶会へのご招待だったのです。
何事かと思ったのですが、そろそろ私が卒業で、そのお祝いのお言葉をいただきました。
「サリーさん、そろそろ卒業ね。少し気が早いけれどおめでとう。それが終わったら遂に結婚ね。あなたが娘になってくれるのが待ち遠しかったわ」
今は公爵になったとはいえ、元は伯爵の娘。それでもとても温かく私を迎えてくれます。
「王妃様、お祝いのお言葉ありがとうございます。私も王妃様の義娘になれて嬉しく思います…」
「サリーさん、そろそろ母と呼んでくれてもいいんじゃなくて?ぜひそうして欲しいの」
前から母と呼んで欲しいとお願いされていたのですが結婚するまでは周りの目もあり、待って欲しいとお願いしておりました。
正直なところ、一度婚約破棄された身。もしこれがまた婚約破棄され、その女が王妃様のことを母などと呼んでいたなどの事実があれば、もう社交界のいい笑い者でしかありません…そう思うと怖い思いもあったのです。
でもフレッド様を見ていても、王妃様を見ていても、もうそんなことは起こらないと思います。
だから……
「はい…お義母様……これからもどうぞよろしくお願いします……」
なんだか照れ臭く、微笑みながらそう言います。
「あぁぁ…なんて可愛いのかしら…
こちらこそよろしくね。これはフレッドがベタ惚れだったのも頷けるわね」
うんうんとお義母様が頷いていらっしゃいますが……
ベタ惚れされた思い出はありません…
婚約の申し出も政略的な内容でした。その後も領地経営に勤しんでいらっしゃいます。
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