28 / 39
元ドルマン侯爵のその後…
しおりを挟む今日は仕事なんてしたくない。ヤギの世話なんて休みもないじゃないか!?毎日毎日ヤギの声で目が覚め、ヤギの世話をする。世話してやっているのに尻を噛みつかれる。なんなんだ!?
だから今日は仕事はしない!
一日放っておいたって死ぬわけじゃあるまい。
そう思いうるさい声にも耐え、家にいたのに。
次の日家の外に出たら至る所に糞尿があり、匂いがすごい…臭すぎて頭が痛くなる。一日世話をしないとこんなことになってしまうのか…
餌をやってないことが気に食わないのかいつもより尻を噛む力が強い。
おい、痛いぞ!!
なんで私がこんなことをしなければならない!!私は侯爵だぞ!
領地経営がうまくいかず行き詰まっていると、同級の伯爵家の経営が状況が良く、伯爵のままでいるには支障が出ると言われるほどだった。あいつは頭もよく要領も良く戦略家だった。伯爵家なのにいつもあいつが成績の上位に入っていた。このままいけば侯爵にもすぐなることだろう。
くそ面白くない。ならば学生の頃から情に脆いあいつに頭を下げて頼み込んでやろう。きっと断ることなく言われる分だけ支援してくれるはずだ。そうだ。そうすればもう経営なんかに頭を悩ませずとも良い。そうと決まれば早速伯爵家に行こう!!
そう思ってからはまさに勝ち組だった。伯爵の娘との婚約を勝ち取り、支援も得られた。これならばもう何があっても金の心配をする必要はない。黙っていても伯爵家が稼いでくれる。
由緒正しき侯爵家当主が伯爵家なんぞに頭を下げてやってるんだ。しっかりと稼いでくれ。
そう思っていたのに!!
ロディの奴が勝手に婚約破棄など言い渡した。
あいつにはいつも伯爵家が侯爵家に縁を求めて来たから婚約をしてやったと言っていた。それなのに礼儀がしっかりとできている私が頭を下げてやっていると。本来であれば伯爵家こそが由緒正しき我が家に頭を下げなければならないのだと言っていた。それに娘だって侯爵家に逆らうことはできないはずと言っていた。
だが、あんなことをしでかすなんて!
あの馬鹿のせいでなにもかもめちゃくちゃだ!
伯爵家に謝りに言っても冷たい目をした執事に家にさえ入れてもらえず、話しさえできない。もう支援をしてもらえないと悟り、他家へ支援を頼んでもあのパーティの出来事を知らないものなどいない。誰からも相手にさえしてもらえない。
どうしたら………明日はもう約束の3か月の日なのに。
そう思っていたらルドルフが家にやってきた。なんだ!支援をしに来たのかと思ったら今日から自分が当主だという。
違う!!侯爵当主は私だ!!
それなのに議会での決定であり、覆ることはないという。
そんな……そんな………
でもそれならば援助金の返済と慰謝料は私ではなくルドルフの責となると思ったのに、それは半分はドルマン侯爵家から支払うが、半分は私たちの借金だという。
そんな……そんな……
そして領地の山の中に連れてこられ、ヤギの世話が仕事だと言われた。このヤギは食料にもなるし、乳も売り物になるという。
こんな仕事で借金なんていつ返せるんだ…
いやだ…いやだ……
それなのにこの山にはほかに人はおらず、自分たちで世話をするしかない。
今日休むと明日は寝る時間も休む時間もなく世話しなくてはいけなくなる。
自分で稼ぐことがこんなに大変なんて知らなかったんだ…
もう許してくれ……
33
お気に入りに追加
6,011
あなたにおすすめの小説
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
幸せをもたらしてくれた貴方
Ruhuna
恋愛
公爵令嬢で王太子の婚約者のリオノーラ・フェルディーンは帝国からの使者であるセザール・エヴァーツから「俺の恋人になってくれないか?」と突然の告白をされる。
しかし、リオノーラの婚約者である王太子アーロン・グリアーソンは横暴でリオノーラに男性が近づくのを極端に嫌う男だった。
日々、押しつぶされながら生きてきたリオノーラに幸せを運んでくれたのは…
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
婚約者から妾になれと言われた私は、婚約を破棄することにしました
天宮有
恋愛
公爵令嬢の私エミリーは、婚約者のアシェル王子に「妾になれ」と言われてしまう。
アシェルは子爵令嬢のキアラを好きになったようで、妾になる原因を私のせいにしたいようだ。
もうアシェルと関わりたくない私は、妾にならず婚約破棄しようと決意していた。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
真実の愛がどうなろうと関係ありません。
希猫 ゆうみ
恋愛
伯爵令息サディアスはメイドのリディと恋に落ちた。
婚約者であった伯爵令嬢フェルネは無残にも婚約を解消されてしまう。
「僕はリディと真実の愛を貫く。誰にも邪魔はさせない!」
サディアスの両親エヴァンズ伯爵夫妻は激怒し、息子を勘当、追放する。
それもそのはずで、フェルネは王家の血を引く名門貴族パートランド伯爵家の一人娘だった。
サディアスからの一方的な婚約解消は決して許されない裏切りだったのだ。
一ヶ月後、愛を信じないフェルネに新たな求婚者が現れる。
若きバラクロフ侯爵レジナルド。
「あら、あなたも真実の愛を実らせようって仰いますの?」
フェルネの曾祖母シャーリンとレジナルドの祖父アルフォンス卿には悲恋の歴史がある。
「子孫の我々が結婚しようと関係ない。聡明な妻が欲しいだけだ」
互いに塩対応だったはずが、気づくとクーデレ夫婦になっていたフェルネとレジナルド。
その頃、真実の愛を貫いたはずのサディアスは……
(予定より長くなってしまった為、完結に伴い短編→長編に変更しました)
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
【完結】婚約破棄? 正気ですか?
ハリネズミ
恋愛
「すまない。ヘレンの事を好きになってしまったんだ。」
「お姉様ならわかってくれますよね?」
侯爵令嬢、イザベル=ステュアートは家族で参加したパーティで突如婚約者の王子に告げられた婚約破棄の言葉に絶句した。
甘やかされて育った妹とは対称的に幼い頃から王子に相応しい淑女に、と厳しい教育を施され、母親の思うように動かなければ罵倒され、手をあげられるような生活にもきっと家族のために、と耐えてきた。
いつの間にか表情を失って、『氷結令嬢』と呼ばれるようになっても。
それなのに、平然と婚約者を奪う妹とそれをさも当然のように扱う家族、悪びれない王子にイザベルは怒りを通り越して呆れてしまった。
「婚約破棄? 正気ですか?」
そんな言葉も虚しく、家族はイザベルの言葉を気にかけない。
しかも、家族は勝手に代わりの縁談まで用意したという。それも『氷の公爵』と呼ばれ、社交の場にも顔を出さないような相手と。
「は? なんでそんな相手と? お飾りの婚約者でいい? そうですかわかりました。もう知りませんからね」
もう家族のことなんか気にしない! 私は好きに幸せに生きるんだ!
って……あれ? 氷の公爵の様子が……?
※ゆるふわ設定です。主人公は吹っ切れたので婚約解消以降は背景の割にポジティブです。
※元婚約者と家族の元から離れて主人公が新しい婚約者と幸せに暮らすお話です!
※一旦完結しました! これからはちょこちょこ番外編をあげていきます!
※ホットランキング94位ありがとうございます!
※ホットランキング15位ありがとうございます!
※第二章完結致しました! 番外編数話を投稿した後、本当にお終いにしようと思ってます!
※感想でご指摘頂いたため、ネタバレ防止の観点から登場人物紹介を1番最後にしました!
※完結致しました!
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
【完結】いつも私をバカにしてくる彼女が恋をしたようです。〜お相手は私の旦那様のようですが間違いはございませんでしょうか?〜
珊瑚
恋愛
「ねぇセシル。私、好きな人が出来たの。」
「……え?」
幼い頃から何かにつけてセシリアを馬鹿にしていたモニカ。そんな彼女が一目惚れをしたようだ。
うっとりと相手について語るモニカ。
でもちょっと待って、それって私の旦那様じゃない……?
ざまぁというか、微ざまぁくらいかもしれないです
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
最愛の婚約者に婚約破棄されたある侯爵令嬢はその想いを大切にするために自主的に修道院へ入ります。
ひよこ麺
恋愛
ある国で、あるひとりの侯爵令嬢ヨハンナが婚約破棄された。
ヨハンナは他の誰よりも婚約者のパーシヴァルを愛していた。だから彼女はその想いを抱えたまま修道院へ入ってしまうが、元婚約者を誑かした女は悲惨な末路を辿り、元婚約者も……
※この作品には残酷な表現とホラーっぽい遠回しなヤンデレが多分に含まれます。苦手な方はご注意ください。
また、一応転生者も出ます。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
婚約破棄にはなりました。が、それはあなたの「ため」じゃなく、あなたの「せい」です。
百谷シカ
恋愛
「君がふしだらなせいだろう。当然、この婚約は破棄させてもらう」
私はシェルヴェン伯爵令嬢ルート・ユングクヴィスト。
この通りリンドホルム伯爵エドガー・メシュヴィツに婚約破棄された。
でも、決して私はふしだらなんかじゃない。
濡れ衣だ。
私はある人物につきまとわれている。
イスフェルト侯爵令息フィリップ・ビルト。
彼は私に一方的な好意を寄せ、この半年、あらゆる接触をしてきた。
「君と出会い、恋に落ちた。これは運命だ! 君もそう思うよね?」
「おやめください。私には婚約者がいます……!」
「関係ない! その男じゃなく、僕こそが君の愛すべき人だよ!」
愛していると、彼は言う。
これは運命なんだと、彼は言う。
そして運命は、私の未来を破壊した。
「さあ! 今こそ結婚しよう!!」
「いや……っ!!」
誰も助けてくれない。
父と兄はフィリップ卿から逃れるため、私を修道院に入れると決めた。
そんなある日。
思いがけない求婚が舞い込んでくる。
「便宜上の結婚だ。私の妻となれば、奴も手出しできないだろう」
ランデル公爵ゴトフリート閣下。
彼は愛情も跡継ぎも求めず、ただ人助けのために私を妻にした。
これは形だけの結婚に、ゆっくりと愛が育まれていく物語。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる