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そんなことより私が今一番気がかりなのは2週間後の王宮での王誕祭。
国王陛下のお誕生日をお祝いするこのパーティは1年で一番大きな催し物。
基本的に女性は婚約者にエスコートされて、出席します。
でも私はめでたく今回婚約破棄をされてしまったからそのお相手がいない。そして身近にエスコートを勤めてくれる親戚男性もいない。そのことに日夜頭を悩ませているのです。
あんな婚約者にエスコートしてほしかったわけではないけど、相手がいないのも困ってしまいます。さてどうしたものか。
でも実は婚約者がいないこと自体は私たちの年代ではあまり珍しくないこと。私によくお小言をこぼしてくるキャロル様もアイシャも実は婚約者がいない。
私たちの3歳上に第2王子殿下がいらっしゃる。その第2王子殿下の婚約者がまだ見つかっていないため爵位が高ければ高い家の娘程、その座に収まろうと婚約者を見つけられていないのだそう。
伯爵位程度の私にはあまり関係がないことなので、私には10歳の時に婚約者が出来ていたのだけど。
アイシャにもどうするのか聞いたところ、特に決めてないけど最悪兄に頼むわと言っていました。
そうか…兄がいない私はどうしよう…
そう思ってアイシャと一緒に食堂に向かっていると、歩いていく先でなにか人だまりが出来ていますわ。聞き覚えのある甲高い声に耳をすましてみると
「デイヴィッド様、次のパーティのお相手はお決まりのなのですか?もしまだでしたら、私のエスコートをお願いできませんこと?」
そう聞こえてくる。
キャロル様がデイヴをお誘いしてる!
…その声に驚き、横を見ると同じような顔をしたアイシャと目が合った。
この国では基本的に男性からお誘いをする。しかし、逆の場合は心に決めた人がいない場合、お断りはしないのが暗黙のルール。
でも明らかに今のデイヴは困り顔で…でも私たちが出ていくのもおかしな話しで。でもこのままではデイヴはお断りできないかもしれなくて…
そう思っていると、はたとデイヴと目が合った気がした。
そしてデイヴがふっと笑った…気がした。
こちらへ歩いてくると私たちの目の前で跪いて…
「急なお誘いで申し訳ない。私に次のパーティのエスコートをさせて頂けませんか?アイシャ嬢」
…………………
きったぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!
ようやく!ようやく言いました!!
実はアイシャもデイヴも明らかに両想いでしたの。
でもお互い公爵家ということもあり、それを口に出すことは憚られていました。現陛下の弟君を当主として持つベルジャン公爵とクルーディス公爵。この両家が結びつくとその勢力は計り知れない。その政治的思惑もあって、くっつくことが出来なかったのです。
でもこうして周りがいる前でエスコートを申し込むということは準備が整ったということ!
隣では頬を真っ赤に染めたアイシャがデイヴを見つめてその手に手を重ねています。
「はい……よろしくお願いいたします。」
やったぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!
私が一人で歓喜の雄たけびを心の中であげていると、立ち上がったデイヴがくるりと後ろを振り向き
「キャロル嬢、お誘いは大変光栄だがこういうことなので申し訳ない」
そう頭を下げましたの。
国王陛下のお誕生日をお祝いするこのパーティは1年で一番大きな催し物。
基本的に女性は婚約者にエスコートされて、出席します。
でも私はめでたく今回婚約破棄をされてしまったからそのお相手がいない。そして身近にエスコートを勤めてくれる親戚男性もいない。そのことに日夜頭を悩ませているのです。
あんな婚約者にエスコートしてほしかったわけではないけど、相手がいないのも困ってしまいます。さてどうしたものか。
でも実は婚約者がいないこと自体は私たちの年代ではあまり珍しくないこと。私によくお小言をこぼしてくるキャロル様もアイシャも実は婚約者がいない。
私たちの3歳上に第2王子殿下がいらっしゃる。その第2王子殿下の婚約者がまだ見つかっていないため爵位が高ければ高い家の娘程、その座に収まろうと婚約者を見つけられていないのだそう。
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アイシャにもどうするのか聞いたところ、特に決めてないけど最悪兄に頼むわと言っていました。
そうか…兄がいない私はどうしよう…
そう思ってアイシャと一緒に食堂に向かっていると、歩いていく先でなにか人だまりが出来ていますわ。聞き覚えのある甲高い声に耳をすましてみると
「デイヴィッド様、次のパーティのお相手はお決まりのなのですか?もしまだでしたら、私のエスコートをお願いできませんこと?」
そう聞こえてくる。
キャロル様がデイヴをお誘いしてる!
…その声に驚き、横を見ると同じような顔をしたアイシャと目が合った。
この国では基本的に男性からお誘いをする。しかし、逆の場合は心に決めた人がいない場合、お断りはしないのが暗黙のルール。
でも明らかに今のデイヴは困り顔で…でも私たちが出ていくのもおかしな話しで。でもこのままではデイヴはお断りできないかもしれなくて…
そう思っていると、はたとデイヴと目が合った気がした。
そしてデイヴがふっと笑った…気がした。
こちらへ歩いてくると私たちの目の前で跪いて…
「急なお誘いで申し訳ない。私に次のパーティのエスコートをさせて頂けませんか?アイシャ嬢」
…………………
きったぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!
ようやく!ようやく言いました!!
実はアイシャもデイヴも明らかに両想いでしたの。
でもお互い公爵家ということもあり、それを口に出すことは憚られていました。現陛下の弟君を当主として持つベルジャン公爵とクルーディス公爵。この両家が結びつくとその勢力は計り知れない。その政治的思惑もあって、くっつくことが出来なかったのです。
でもこうして周りがいる前でエスコートを申し込むということは準備が整ったということ!
隣では頬を真っ赤に染めたアイシャがデイヴを見つめてその手に手を重ねています。
「はい……よろしくお願いいたします。」
やったぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!
私が一人で歓喜の雄たけびを心の中であげていると、立ち上がったデイヴがくるりと後ろを振り向き
「キャロル嬢、お誘いは大変光栄だがこういうことなので申し訳ない」
そう頭を下げましたの。
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