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学校では遠巻きに噂されているのが分かります。
それはそうだ。私も仲良くなければ直接は聞けない。

「男爵家のご令嬢に婚約破棄されたって本当?」なんて…

朝の授業が終わり、いつものようにアイシャと食堂に向かっていると
伯爵位なのにかなり栄えている我が家を面白く思わず、何かにつけてお小言をこぼしてくるキャロル・ジョルダン公爵令嬢に出くわしてしまいました。

「あら、サリー様ご機嫌いかがかしら。なんだか大変なことがあったと知り合いから聞きまして心配致しておりましたのよ。
やはり家柄が釣り合わない婚約というのはうまくいかないものなのかしらね」

はぁ、また始まった。
会うたびにこんなことを言ってくる彼女に会いたくなくてできるだけ時間を外しているのに、結構な頻度で会ってしまう厄介な相手です。


「キャロル様、ごきげんよう。お心配りを頂きありがとうございます。
本当に、家柄が素晴らしい方は人格者であるべきなのに、そうでない方もいらっしゃるのだと実感いたしましたわ。」

「なっ!」

私の言葉にキャロル様が詰まってしまっています。
私はロディ様のことを言ったつもりなのにお心当たりがあるのかしらね。

「そんな可愛げのないことばかり言っているから婚約破棄などされてしまうのです!」

婚約破棄は女性にとって不名誉なことである。傷物と評される女性には次の婚約は格下の方や問題ありの方を勧められることもあるという。
でも私にとっては婚約継続のほうが不名誉なことでした。

だからされたわけではない

「そうですね。婚約破棄して頂き、大変光栄に思っておりますわ。
家柄がいい方にはこちらからはなかなか申し立て出来ませんのでその貴重な機会を与えて頂いたと思っておりますの」

そう!私からの婚約破棄は立場的にも難しかった。
あの夜母は婚約破棄すると言ってくれていたけど、強引に事を進めていたら周りからはあまりいい顔はされなかったと思う。
ただでさえ爵位に合わないほど栄えていると目をつけられているのに。
だから本当にいい機会をもらったのです。

「なっ!」
「サリー嬢、アイシャ嬢、ごきげんよう」


もうそろそろご飯を食べに行きたいと考えていたら、デイヴィッド・ベルジャン公爵令息が現れます。
次から次に……

「「ごきげんようデイヴィッド様」」
「ごきげんよう、デイヴィッド様!」

私たちが挨拶するのに、それを遮るようにキャロル様が挨拶をしています。

デイヴィッド様もキャロル様も同じ公爵家ではありますが、現陛下の弟君を当主に持つベルジャン公爵とは格が違う。

それにデイヴィッド様は見た目も王子様。
女性陣の憧れの人、その人にどうにかお近づきになろうとしている人たちがいる。その先陣に立っているのがキャロル様なのです。
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