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お母様の背中をお父様が支えていると奥のほうからばたばたと騒がしい音が聴こえて、ロディ様の父、ドルマン侯爵と侯爵夫人が驚愕の顔をしながらあらわれた。

「ナシェルカ伯爵、これは...息子がなにかしましたでしょうか」

「おや、ドルマン侯爵。これはこれは...いえね、娘が侯爵御子息様とその浮気相手の下品な女性から婚約破棄を申し付けられましてね、了承したところだったのですよ。しかし、ご覧のように娘と妻が大変に衝撃を受けておりましてね。そろそろお暇させて頂こうと思っております。」

お父様...とても素敵な笑顔でとても怖いですわよ...

「婚約破棄!?まさか、そんなこと!何かの間違いです!…む、息子が大変失礼なことを申し上げました。しかし、そんなことこちらとしては望んではいないのです。ただいま応接間に案内させますのでどうか話を…させていただけませんか?」

ドルマン侯爵は婚約破棄の言葉を聞き、顔面蒼白になり、必死に挽回しようとしております。
しかしもう遅いのです。
口約束とは言え、こんなに人の目がある場所での婚約破棄、そして了承した行為は契約書にも匹敵する行為なのです。

「どうして御子息様にお話も聞かずにそのように言われるのかわかりませんが、こちらとしましては既に了承致しましたので撤回するつもりはございませんよ」

「そんな…

ロディ、どうなっているんだ。今すぐ誠心誠意謝罪し、婚約破棄の撤回をお願いしろ!」

婚約破棄の撤回などあり得ないと言っているのに侯爵様もなにをおっしゃっているのでしょう。みっともない…

「ち、父上、そ、そろそろはっきりすべきなのです。伯爵家が侯爵家に縁を求めたというのに、それに相応しくない態度……
ち、父上も、い、いつも言ってらっしゃるではありませんか。侯爵家である由緒正しき我が家がなぜ伯爵家などに遜らなければならないと。は、伯爵家ならば本来頭を下げねばならぬ相手なのにと。」

「ばっ、何を言う!そ、そんなこと思ってなど

「ち、父上は、い、いつも伯爵家の女など適当にあしらっても侯爵家には逆らうことさえできないとおっしゃっていました。な、なので、立場をわからせたのです!それを撤回など、、、、いたしません!」

「そうですわ、ロディ様。さすが侯爵家が御子息。素晴らしいですわ。」

と、ロシェンカ嬢がさらに腕に身体をすり寄せて褒め称えておりますわ。
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