えと…婚約破棄?承りました。妹とのご婚約誠におめでとうございます。お二人が幸せになられますこと、心よりお祈りいたしております

暖夢 由

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スティーブ・レイズ視点②

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でも実際ナディアは苦しんでいる。だから伝えたのに、マリアは気にするような様子もなく、それどころか俺にまったく興味がない様子だった。なんだ!!俺は婚約者だぞ!もっと俺を敬い、一緒にいるべきだろう!

それなのに、マリアからは一度も俺に会いに来ることはなかった。

それに反するように父がスターン家に行くことは増え、だから俺がナディアに会う機会も増えていった。俺に興味も持っていないようなマリアに腹を立てながら、ナディアの話を聞くとなぜか気持ちも晴れる気がした。そんな女だから俺に興味を持たないんだ。俺がちゃんといってやらなければならない。そう思うと、気持ちが軽くなるんだ。

そんなある日、両親の前でナディアが言った。俺の婚約者がマリアなのが羨ましいと。その日からまた何かが変わった。マリアが俺の婚約者なのに、スターン家ではまるでナディアの婚約者のような話しぶりになっていった。そして、いつの間にかそれは父も同じように変わっていった。

俺は別にマリアと婚約をやめたいわけではない。俺が婚約者であるマリアを変えてやるとは
思っていたが別に婚約者であるのはかまわないのに。それなのに、婚約者の交代はだんだんと現実味を帯びてきた。

でもこれでマリアも俺に興味をもって接するかもしれない。もしも婚約破棄だなんて言ったら泣いてすがってくるかもしれない。やめてくれって言うかもしれない……そうか。その時はもう一度考えればいいんだ!

だから俺はパーティーでマリアに婚約破棄を告げた。

返ってきた言葉は

「婚約破棄、承りました。

そして、妹とのご婚約、誠におめでとうございます。

……お二人が幸せになられますこと、心よりお祈りいたしております」

なっ!なぜお前が幸せを祈るんだ!!!これでは本当に婚約破棄になるんだぞ!!妹の婚約者になるんだぞ!!!

それなのに次の瞬間、アイザック・トレントに婚約を申し込まれて、それを承諾した。

なんだこれは………

マリアは俺の婚約者だったんだぞ………なぜ他の男に婚約を申し込まれて、承諾しているんだ?目の前に俺がいるのに…………

唖然としてそのやり取りを見ていると、色々な事が起こっていった。

ナディアが今マリアに婚約を申し込んだ男に対して自分を抱きしめろと手を広げている……なんだ?なにをしているんだ?

だが、一応皆の前で婚約すると宣言したんだ。俺が守ってやらなければ…そしたらきっとマリアだって……

だからアイザック・トレントに失礼だと謝罪を要求したのに、謝罪を要求されたのは俺で、ナディアの父は廃籍?貴族でいられないと言うことか?それならナディアも?

なんだ?なにが起こっている?
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