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しおりを挟むそして判決の日。
場所は前回の裁判所でなく、平民も集まることのできる大広場。その中に裁判官の席、被告人の席、関係者席を作られており、そのほかは立っての傍聴になります。今回は異例の形式の為、立ち見での傍聴が嫌な方は来ないとの選択肢があったのですが、その傍聴数はとても多いです。
コンコン!!!
「これより元スターン伯爵令息家族、並びにレイズ伯爵家族の判決を言い渡す。
その前に皆の協力に感謝する。投票箱には多くの意見が入れられていた。内容などを詳細に語ることは控えるが、一番多い意見は”死ぬよりつらい罰と労働を”というものだった。子どもも巻き込まれた内容もあった。楽に死ねるなど許せないと。
今回の判決では斬首、火あぶり、両足の切断なども考えられていた。しかし、皆の意見も踏まえて出した刑だと理解してほしい。被害者にも寄り添える内容となっていることを願っている。
それでは被告人はその場に立つように。
少し罪が多いため、簡略的に述べていくことを許してほしい。
まず元レイズ伯爵と、元スターン伯爵令息は禁止薬物の栽培・製造を行っており、これを隣国へ輸出しようとしていた。これらはどれも重罪である。
そしてスターン子爵領での税の横領。子爵領をトーマス・スターンが管理した途端税金が上がり、その使途は不明のまま国には報告が上がっていない。これを調査したところ、その使途不明の金は両家に流れていた事がわかっている。なお、子爵領の税に関しては住民に対しスターン伯爵が立て替えていたので問題はないとのこと。しかし、伯爵が立て替えていなければ住民にとって過大な要求であったことはわかりきっていること。これもまた重罪である。
そして元スターン伯爵令息夫婦に関しては教育法違反も適用される。こちらに関しては単独の違反ならば罰金刑や親権剥奪となるが、まぁ、そのほかの罪の方が重罪なので、そちらに勘案されるものとする。
まず、ここまでの罪に関して。
これらに関しては夫人らの共犯関係が認められている為、同様の刑を執行するものとする。
なによりも重罪なのは禁止薬物の栽培・製造、隣国へ輸出である。今後の人生すら奪う可能性のある薬物を売りさばくことなどあってはならないこと。
よって、始めにレイズ伯爵をお取り潰しと、罰金支払い、横領金の返済、栽培地である子爵領の整備の為、資産は没収する!そして4名に関しては、鞭打ち刑と合わせて糞尿処理施設での労働を命じる。鞭打ちに関しては主導した二人には朝、昼、夜の5回ずつの約20年分、10万回とする。そして共犯関係が認められる夫人たちには約10年分、5万回とする。どちらも糞尿処理施設での労働は20年とする」
被告人席からひぃぃっと声が上がっています。
我が国の刑罰用の鞭は馬を走らせるような先が少し平べったい形の物で、平べったい部分には無数の棘がつけられていると聞きます。目を凝らしてみなければ見えにくいほど小さい棘だそうですが、だからこそ身体の中にまで入り込み痛いのだそう。1度で失神してしまう人もいるようです。しかし、失神しても水をかけて起こされるのだそうです。その時に起きなければ、後での数に加算されるのだそう。
それを毎日15回、10年もだなんて……
考えただけでも気が遠くなります。
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