上 下
22 / 46

20

しおりを挟む


そして判決の日。
場所は前回の裁判所でなく、平民も集まることのできる大広場。その中に裁判官の席、被告人の席、関係者席を作られており、そのほかは立っての傍聴になります。今回は異例の形式の為、立ち見での傍聴が嫌な方は来ないとの選択肢があったのですが、その傍聴数はとても多いです。


コンコン!!!


「これより元スターン伯爵令息家族、並びにレイズ伯爵家族の判決を言い渡す。

その前に皆の協力に感謝する。投票箱には多くの意見が入れられていた。内容などを詳細に語ることは控えるが、一番多い意見は”死ぬよりつらい罰と労働を”というものだった。子どもも巻き込まれた内容もあった。楽に死ねるなど許せないと。

今回の判決では斬首、火あぶり、両足の切断なども考えられていた。しかし、皆の意見も踏まえて出した刑だと理解してほしい。被害者にも寄り添える内容となっていることを願っている。

それでは被告人はその場に立つように。

少し罪が多いため、簡略的に述べていくことを許してほしい。

まず元レイズ伯爵と、元スターン伯爵令息は禁止薬物の栽培・製造を行っており、これを隣国へ輸出しようとしていた。これらはどれも重罪である。
そしてスターン子爵領での税の横領。子爵領をトーマス・スターンが管理した途端税金が上がり、その使途は不明のまま国には報告が上がっていない。これを調査したところ、その使途不明の金は両家に流れていた事がわかっている。なお、子爵領の税に関しては住民に対しスターン伯爵が立て替えていたので問題はないとのこと。しかし、伯爵が立て替えていなければ住民にとって過大な要求であったことはわかりきっていること。これもまた重罪である。
そして元スターン伯爵令息夫婦に関しては教育法違反も適用される。こちらに関しては単独の違反ならば罰金刑や親権剥奪となるが、まぁ、そのほかの罪の方が重罪なので、そちらに勘案されるものとする。

まず、ここまでの罪に関して。
これらに関しては夫人らの共犯関係が認められている為、同様の刑を執行するものとする。
なによりも重罪なのは禁止薬物の栽培・製造、隣国へ輸出である。今後の人生すら奪う可能性のある薬物を売りさばくことなどあってはならないこと。

よって、始めにレイズ伯爵をお取り潰しと、罰金支払い、横領金の返済、栽培地である子爵領の整備の為、資産は没収する!そして4名に関しては、鞭打ち刑と合わせて糞尿処理施設での労働を命じる。鞭打ちに関しては主導した二人には朝、昼、夜の5回ずつの約20年分、10万回とする。そして共犯関係が認められる夫人たちには約10年分、5万回とする。どちらも糞尿処理施設での労働は20年とする」

被告人席からひぃぃっと声が上がっています。

我が国の刑罰用の鞭は馬を走らせるような先が少し平べったい形の物で、平べったい部分には無数の棘がつけられていると聞きます。目を凝らしてみなければ見えにくいほど小さい棘だそうですが、だからこそ身体の中にまで入り込み痛いのだそう。1度で失神してしまう人もいるようです。しかし、失神しても水をかけて起こされるのだそうです。その時に起きなければ、後での数に加算されるのだそう。
それを毎日15回、10年もだなんて……

考えただけでも気が遠くなります。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

《勘違い》で婚約破棄された令嬢は失意のうちに自殺しました。

友坂 悠
ファンタジー
「婚約を考え直そう」 貴族院の卒業パーティーの会場で、婚約者フリードよりそう告げられたエルザ。 「それは、婚約を破棄されるとそういうことなのでしょうか?」 耳を疑いそう聞き返すも、 「君も、その方が良いのだろう?」 苦虫を噛み潰すように、そう吐き出すフリードに。 全てに絶望し、失意のうちに自死を選ぶエルザ。 絶景と評判の観光地でありながら、自殺の名所としても知られる断崖絶壁から飛び降りた彼女。 だったのですが。

そちらから縁を切ったのですから、今更頼らないでください。

木山楽斗
恋愛
伯爵家の令嬢であるアルシエラは、高慢な妹とそんな妹ばかり溺愛する両親に嫌気が差していた。 ある時、彼女は父親から縁を切ることを言い渡される。アルシエラのとある行動が気に食わなかった妹が、父親にそう進言したのだ。 不安はあったが、アルシエラはそれを受け入れた。 ある程度の年齢に達した時から、彼女は実家に見切りをつけるべきだと思っていた。丁度いい機会だったので、それを実行することにしたのだ。 伯爵家を追い出された彼女は、商人としての生活を送っていた。 偶然にも人脈に恵まれた彼女は、着々と力を付けていき、見事成功を収めたのである。 そんな彼女の元に、実家から申し出があった。 事情があって窮地に立たされた伯爵家が、支援を求めてきたのだ。 しかしながら、そんな義理がある訳がなかった。 アルシエラは、両親や妹からの申し出をきっぱりと断ったのである。 ※8話からの登場人物の名前を変更しました。1話の登場人物とは別人です。(バーキントン→ラナキンス)

溺愛を作ることはできないけれど……~自称病弱な妹に婚約者を寝取られた伯爵令嬢は、イケメン幼馴染と浮気防止の魔道具を開発する仕事に生きる~

弓はあと
恋愛
「センティア、君との婚約は破棄させてもらう。病弱な妹を苛めるような酷い女とは結婚できない」 ……病弱な妹? はて……誰の事でしょう?? 今目の前で私に婚約破棄を告げたジラーニ様は、男ふたり兄弟の次男ですし。 私に妹は、元気な義妹がひとりしかいないけれど。 そう、貴方の腕に胸を押しつけるようにして腕を絡ませているアムエッタ、ただひとりです。 ※現実世界とは違う異世界のお話です。 ※全体的に浮気がテーマの話なので、念のためR15にしています。詳細な性描写はありません。 ※設定ゆるめ、ご都合主義です。 ※感想欄はネタバレ配慮しておりません。

【完結】私と婚約破棄して恋人と結婚する? ならば即刻我が家から出ていって頂きます

水月 潮
恋愛
ソフィア・リシャール侯爵令嬢にはビクター・ダリオ子爵令息という婚約者がいる。 ビクターは両親が亡くなっており、ダリオ子爵家は早々にビクターの叔父に乗っ取られていた。 ソフィアの母とビクターの母は友人で、彼女が生前書いた”ビクターのことを託す”手紙が届き、亡き友人の願いによりソフィアの母はビクターを引き取り、ソフィアの婚約者にすることにした。 しかし、ソフィアとビクターの結婚式の三ヶ月前、ビクターはブリジット・サルー男爵令嬢をリシャール侯爵邸に連れてきて、彼女と結婚するからソフィアと婚約破棄すると告げる。 ※設定は緩いです。物語としてお楽しみ頂けたらと思います。 *HOTランキング1位到達(2021.8.17) ありがとうございます(*≧∀≦*)

二度とお姉様と呼ばないで〜婚約破棄される前にそちらの浮気現場を公開させていただきます〜

雑煮
恋愛
白魔法の侯爵家に生まれながら、火属性として生まれてしまったリビア。不義の子と疑われ不遇な人生を歩んだ末に、婚約者から婚約破棄をされ更には反乱を疑われて処刑されてしまう。だが、その死の直後、五年前の世界に戻っていた。 リビアは死を一度経験し、家族を信じることを止め妹と対立する道を選ぶ。 だが、何故か前の人生と違う出来事が起こり、不可解なことが続いていく。そして、王族をも巻き込みリビアは自身の回帰の謎を解いていく。

私は何もしていない!〜勝手に悪者扱いしないでください〜

四季
恋愛
「この方が私のことをいつも虐めてくるのです!」 晩餐会の最中、アリア・フルーレはリリーナから突然そんなことを言われる。 だがそれは、アリアの婚約者である王子を奪うための作戦であった。 結果的に婚約破棄されることとなってしまったアリア。しかし、王子とリリーナがこっそり関係を持っていることを知っていたので、婚約破棄自体にはそれほど驚かなかった……。

【完結】愛に裏切られた私と、愛を諦めなかった元夫

紫崎 藍華
恋愛
政略結婚だったにも関わらず、スティーヴンはイルマに浮気し、妻のミシェルを捨てた。 スティーヴンは政略結婚の重要性を理解できていなかった。 そのような男の愛が許されるはずないのだが、彼は愛を貫いた。 捨てられたミシェルも貴族という立場に翻弄されつつも、一つの答えを見出した。

そんなに優しいメイドが恋しいなら、どうぞ彼女の元に行ってください。私は、弟達と幸せに暮らしますので。

木山楽斗
恋愛
アルムナ・メルスードは、レバデイン王国に暮らす公爵令嬢である。 彼女は、王国の第三王子であるスルーガと婚約していた。しかし、彼は自身に仕えているメイドに思いを寄せていた。 スルーガは、ことあるごとにメイドと比較して、アルムナを罵倒してくる。そんな日々に耐えられなくなったアルムナは、彼と婚約破棄することにした。 婚約破棄したアルムナは、義弟達の誰かと婚約することになった。新しい婚約者が見つからなかったため、身内と結ばれることになったのである。 父親の計らいで、選択権はアルムナに与えられた。こうして、アルムナは弟の内誰と婚約するか、悩むことになるのだった。 ※下記の関連作品を読むと、より楽しめると思います。

処理中です...