えと…婚約破棄?承りました。妹とのご婚約誠におめでとうございます。お二人が幸せになられますこと、心よりお祈りいたしております

暖夢 由

文字の大きさ
上 下
14 / 46

12

しおりを挟む
ナディアも私とよく似た症状で、お祖父様たちはすぐに病院へ連れていくようにと言いました。ですが両親は、妹は姉とは違う症状だと言い張り、頑なに病院へ行くことを拒んだのです。そして、自分たちが信頼する先生に来てもらうと言い、連れてきたのはまるで占術師のような格好でした。その方はナディアをみて「この子は今暗い闇にいて、両親の愛を求めている。その闇から救い出すにはこの聖水で毎日清めてやり、両親が傍にいることだ」なんて言ったのです。なんの水だかわからない水を毎日肌につけられ、アレルギーの薬も飲まない状況はとても苦しいのではないかと思いました。でも私たちの言うことなど聞きはしない両親。

その方が別の方に売りつけた石が元で逮捕され、会えなくなってからようやく病院の先生にナディアを見せ、アレルギーの薬を飲み始めたのです。でも苦いアレルギーの薬をナディアが嫌がり、8歳になるまで完治できなかったのです。

今考えると両親の罪はとても重い気がします。きっと症状が出始めてすぐに先生に見てもらえれば、もっと早くに治っていたのではないかと思います。

そしたらもしかしたら今のような性格にはならなかったかもしれません。

「そ、そんなの嘘よ!!両親がいつも私だけを愛してくれることを羨んでそんな嘘をおじい様に吹き込んだんだわ!!いっつも元気に外で遊んでいたくせにそんなことをいうなんて、お姉様は嘘つきで最低な人間だわ!!」

「ルーク様、お話し中失礼いたします。
先ほどトーマス殿は廃籍にするとおっしゃいました。ということはこの娘は平民ですよね?先ほどから平民が随分と、未来の公爵夫人に対して無礼な物言いをしているようで、私は我慢ができなくなってきました。
この娘は明らかな不敬罪です。私が告発いたします。衛兵に引き渡してもよろしいでしょうか」

「アイザック殿、そうだな。致し方ない。そのようにいたしましょう。
衛兵!平民がここに紛れ込んでいる。加えて伯爵令嬢であり、公爵令息の婚約者への侮辱罪でここに告発する!平民牢への連行をお願いする!」

お祖父様の言葉を受けて衛兵が集まってきます。そしてナディアだけでなく、お父様とお母様を取り囲みます。

「なっ!どうしてよ!私は伯爵令嬢よ!平民なんかじゃないわ!!スティーブ様!助けて。おじい様は私のことが可愛くないんだわ!」

「あっ、ああ………だが、ナディア、君は平民になってしまったんだろう。流石に俺としても平民とは結婚できないよ。伯爵令嬢であるなら身体が弱くても、ちょっと頭が弱くても守ってあげられるけど、さすがに平民は無理。だから婚約の話も無しだし、これからは俺の名前を呼ぶのは控えてくれ」

「なっ!どうしてよ!!私はスティーブ様の婚約者でしょう!それなのに守ってくれないなんて最低よ!!」

「ああ、婚約者になろうとしていたよ。でもさっき君が言った通り、まだ正式な婚約も書面も交わしていない。だから正式な婚約者ではないんだ。」

「っっ!!」

しおりを挟む
感想 199

あなたにおすすめの小説

私はどうしようもない凡才なので、天才の妹に婚約者の王太子を譲ることにしました

克全
恋愛
「アルファポリス」「カクヨム」「小説家になろう」に同時投稿しています。 フレイザー公爵家の長女フローラは、自ら婚約者のウィリアム王太子に婚約解消を申し入れた。幼馴染でもあるウィリアム王太子は自分の事を嫌い、妹のエレノアの方が婚約者に相応しいと社交界で言いふらしていたからだ。寝食を忘れ、血の滲むほどの努力を重ねても、天才の妹に何一つ敵わないフローラは絶望していたのだ。一日でも早く他国に逃げ出したかったのだ。

押し付けられた仕事は致しません。

章槻雅希
ファンタジー
婚約者に自分の仕事を押し付けて遊びまくる王太子。王太子の婚約破棄茶番によって新たな婚約者となった大公令嬢はそれをきっぱり拒否する。『わたくしの仕事ではありませんので、お断りいたします』と。 書きたいことを書いたら、まとまりのない文章になってしまいました。勿体ない精神で投稿します。 『小説家になろう』『Pixiv』(敬称略)に重複投稿、自サイトにも掲載しています。

双子の妹を選んだ婚約者様、貴方に選ばれなかった事に感謝の言葉を送ります

すもも
恋愛
学園の卒業パーティ 人々の中心にいる婚約者ユーリは私を見つけて微笑んだ。 傍らに、私とよく似た顔、背丈、スタイルをした双子の妹エリスを抱き寄せながら。 「セレナ、お前の婚約者と言う立場は今、この瞬間、終わりを迎える」 私セレナが、ユーリの婚約者として過ごした7年間が否定された瞬間だった。

妹と婚約者が結婚したけど、縁を切ったから知りません

編端みどり
恋愛
妹は何でもわたくしの物を欲しがりますわ。両親、使用人、ドレス、アクセサリー、部屋、食事まで。 最後に取ったのは婚約者でした。 ありがとう妹。初めて貴方に取られてうれしいと思ったわ。

公爵令嬢エイプリルは嘘がお嫌い〜断罪を告げてきた王太子様の嘘を暴いて差し上げましょう〜

星里有乃
恋愛
「公爵令嬢エイプリル・カコクセナイト、今日をもって婚約は破棄、魔女裁判の刑に処す!」 「ふっ……わたくし、嘘は嫌いですの。虚言症の馬鹿な異母妹と、婚約者のクズに振り回される毎日で気が狂いそうだったのは事実ですが。それも今日でおしまい、エイプリル・フールの嘘は午前中まで……」  公爵令嬢エイプリル・カコセクナイトは、新年度の初日に行われたパーティーで婚約者のフェナス王太子から断罪を言い渡される。迫り来る魔女裁判に恐怖で震えているのかと思われていたエイプリルだったが、フェナス王太子こそが嘘をついているとパーティー会場で告発し始めた。 * エイプリルフールを題材にした作品です。更新期間は2023年04月01日・02日の二日間を予定しております。 * この作品は小説家になろうさんとアルファポリスさんに投稿しております。

見知らぬ子息に婚約破棄してくれと言われ、腹の立つ言葉を投げつけられましたが、どうやら必要ない我慢をしてしまうようです

珠宮さくら
恋愛
両親のいいとこ取りをした出来の良い兄を持ったジェンシーナ・ペデルセン。そんな兄に似ずとも、母親の家系に似ていれば、それだけでもだいぶ恵まれたことになったのだが、残念ながらジェンシーナは似ることができなかった。 だからといって家族は、それでジェンシーナを蔑ろにすることはなかったが、比べたがる人はどこにでもいるようだ。 それだけでなく、ジェンシーナは何気に厄介な人間に巻き込まれてしまうが、我慢する必要もないことに気づくのが、いつも遅いようで……。

【完結】どうやら私は婚約破棄されるそうです。その前に舞台から消えたいと思います

りまり
恋愛
 私の名前はアリスと言います。  伯爵家の娘ですが、今度妹ができるそうです。  母を亡くしてはや五年私も十歳になりましたし、いい加減お父様にもと思った時に後妻さんがいらっしゃったのです。  その方にも九歳になる娘がいるのですがとてもかわいいのです。  でもその方たちの名前を聞いた時ショックでした。  毎日見る夢に出てくる方だったのです。

何故、わたくしだけが貴方の事を特別視していると思われるのですか?

ラララキヲ
ファンタジー
王家主催の夜会で婚約者以外の令嬢をエスコートした侯爵令息は、突然自分の婚約者である伯爵令嬢に婚約破棄を宣言した。 それを受けて婚約者の伯爵令嬢は自分の婚約者に聞き返す。 「返事……ですか?わたくしは何を言えばいいのでしょうか?」 侯爵令息の胸に抱かれる子爵令嬢も一緒になって婚約破棄を告げられた令嬢を責め立てる。しかし伯爵令嬢は首を傾げて問返す。 「何故わたくしが嫉妬すると思われるのですか?」 ※この世界の貴族は『完全なピラミッド型』だと思って下さい…… ◇テンプレ婚約破棄モノ。 ◇ふんわり世界観。ゆるふわ設定。 ◇なろうにも上げています。

処理中です...