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しおりを挟む今日のパーティーはお祖父様とリアム叔父様、ジェシカ叔母様、ルイスお兄様と家族総出で出席してくれるのです。そして私のパートナーはザック。ザックは学園に入る少し前に知ったのですが、なんと公爵家のご長男だったのです。名前はアイザック。どうりで貴族名鑑にもザックという名前はいないわけです。
でも公爵家の長男であろうと、そうでなかろうとザックはザックです。
私の初恋の相手です。昔、皆でかくれんぼをしていた時、私が転んで足を擦り剝いてしまったのです。足が痛くて動けなかったのに、すぐにザックが気づいてくれ、私を背負って皆の元まで連れて帰ってくれたのです。今では大した距離ではありませんが、子どもの頃はとても遠い気がしました。その距離を同じくらいの背丈の子を背負って歩くなどどれだけ大変だったことでしょう。心細かった時傍にいてくれたザックは私にとってただ1人のヒーローなのです。
その彼が一度だけでも私のパートナーを務めてくれる。パートナーは務めないと断言してくれた婚約者には感謝しています。
パーティー会場に入るとそこには既に多くの方がいらっしゃいました。レオナルドとシンディの姿もあります。いつもと違ってすごく綺麗に着飾ったシンディはとても綺麗。その隣をかしこまりながらエスコートしているレオナルドはいつの間にか紳士になったようで、とてもお似合いです。
そんなことを考えていると会場がざわつきました。皆さんの視線の先を見るとどなたかが入場されたようです。
入り口を見ているとそこにはチカチカの赤のジャケットを着た私の婚約者と、同じく赤のドレスを着たナディアの姿があります。そして後ろには同じ素材なのかチカチカの緑のジャケットのお父様と、緑のドレスのお母様。その隣には同じくチカチカの金の服を着た夫婦がいらっしゃいますが、婚約者様のご両親ですね。
なんというか、あんなにチカチカのものを着ていて恥ずかしくはないのでしょうか。
ふとお祖父様達の方を見るととても険しい顔をして睨んでいるようです。
パーティー開始の宣言まであと少し、なのに婚約者様達が私たちの方に近寄ってきます。
「マリア・スターン!ここに貴様との婚約は破棄し、妹ナディアとの婚約を宣言する。
身体が弱いナディアをいじめ抜き、その健康さを自慢するような行動!私はこのような恥ずべき行為を見逃せない!姉としても人としても腐っている!よってこの婚約破棄は貴様のせいだ!しかし妹と婚約することで慰謝料の請求は許してやる!妹に感謝するんだな!!ふんっっ!」
……………
「お姉様?お姉様が羨ましいわ。健康な身体があって、勉強だって励む時間が十分にある。お友達だっていて、婚約者までいる。
私はお姉様とは違って、子どもの頃から元気に遊びまわることなんてできなかったし、そのおかげで友達も作ることができなかったわ。それに勉強をしようとすると苦しくなってしまうから十分にすることができなかった。
お姉様、お姉様には十分過ぎるほど幸せがあるんだから婚約者のスティーブ様は私に頂戴」
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