えと…婚約破棄?承りました。妹とのご婚約誠におめでとうございます。お二人が幸せになられますこと、心よりお祈りいたしております

暖夢 由

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「お姉様が羨ましいわ。健康な身体があって、勉強にだって励む時間が十分にある。お友達だっていて、婚約者までいる。

私はお姉様とは違って、子どもの頃から元気に遊びまわることなんてできなかったし、そのおかげで友達も作ることができなかったわ。それに勉強をしようとすると苦しくなってしまうから十分にできなかった。

お姉様、お姉様には十分過ぎるほど幸せがあるんだから婚約者のスティーブ様は私に頂戴」



私には5つ下の妹がおります。
妹は8歳になるまでくしゃみ、咳、鼻水に発熱、それだけでなく、腕に湿疹が出たり、呼吸が苦しくなっていました。外に出るとその症状が激しくなったりすることもありました。その症状は激しく、周りから大変心配され、大事に大事に育てられました。後にそれがアレルギー症状によるものだとわかり、薬を飲み始めると症状は改善したのですが、その時の事が忘れられず、両親と執事たちはそれからも妹、ナディアをそれは大切に育てました。

逆に私は妹が5歳になる頃には外で遊ぶことを好み、お友達も出来ていました。
よく遊ぶのは同じ伯爵家のレオナルドとレオナルドの友達のザック、そして侯爵家のシンディの3人です。

妹につきっきりの両親に代わって、私を色々なところへ連れ出してくれる叔父様。リアム叔父様に連れられて参加したお茶会で出会ったお友達なのです。家では遊ぶこともできず、ただただ本を読んでいた私を見かねて叔父様が連れて行ってくれたのが始まりですが、お茶会で話してからはレオナルドにレオと呼んでいいと言われ、それから家に行き来して遊ぶようになりました。でも私の家に呼ぶとナディアが遊べないのに姉の私だけが友達と遊びまわるなんてと両親から非難の目を向けられて、それからは呼べなくなったのです。

だから私は家でいる時は読書ばかりし、遊ぶときは友達の家などに行くようになりました。

それでも両親はなにが気に食わないのか、私に対してとても冷たいのです。
一度「どうしてナディアばかりが辛い思いをして、姉であるマリアは妹に対し、優しくもないし、この状況を慮ってやることすらできない子に育ってしまったのか」と言われた時には、あぁ、両親にとって子どもはナディアの一人だけなんだなとわかってしまいました。

伯爵家当主であるお祖父様がたまに我が家の様子を見に来て、私にも教師をつけてくださいました。素晴らしい先生で、難しい知識にマナーまで教えて下さったのです。

でもある日突然来なくなってしまわれたのです。

そして父に言われました。
「あまりにもお前の出来が悪いから、もうこれ以上教えるのは苦痛だということで辞職したよ」と。

先生にとても悪いことをしてしまったと反省いたしました。
私の出来が悪いばかりに先生に苦痛を与えてしまっていたのですね。
それからは一人でもこれ以上出来が悪くならないように、必死に本を読み勉強しました。
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