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子宝に恵まれる~なんて破廉恥な~
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「シャロンなにを言っているんだ?出ていくのは君のはずだ。
謝罪をする最後の機会を与えてやったにも関わらずその態度。明日と言わず今すぐに出ていきたまえ。」
さも当たり前かのように、私を蔑んだような顔で見ながらそんなことをおっしゃるダレン様。
「あら、どうして私が出ていくことになるのでしょうか?」
「そんなことは当たり前だろう!この侯爵家は私とミカリーナで後を継ぐことになっている。それなのに当主の妻を見下していた姉が同じ屋敷にいるなど妻の気持ちを慮ればできることではない。ましてミカリーナの腹には大事な跡継ぎがいる!安心する環境づくりをするのは当主として夫として当たり前のことだ!」
招待客の皆様の方から「まぁ!」「なんてこと…」という小さなつぶやきがあちらこちらから聞こえる。
この国では結婚式の夜に初めて体の関係を持つことが習わしとされている。婚約者であっても結婚式の前に身体の関係を持つことははしたない女性とされる。万が一、先に身ごもってしまった場合でもそれは伏しておくことが常識なのです。
それを堂々とこんな場で婚前の身体の関係を暴露するだなんて貴族の常識ではありえないこと。ご婦人方の冷たい視線に気づくことができないのかしら…
「そうなのですか。お腹にお子が...ではやはり早々に出発のご準備をし、そちらで落ち着かれる環境作りをなさってください」
「なにを言っている!出ていくのは貴様の方だと言っているだろう!!」
声を荒げるダレン様。女性に対して貴様という発言。ダレン様の近くにいらっしゃった招待客は少しずつ距離を空けているのです。
「ですから、私が出ていく事はございません。何もご存知ないようですので、少し貴族の相続についてご質問させていただきますが、先ほどダレン様は『侯爵家は私とミカリーナで後を継ぐことになっている』とおっしゃいました。それに伴う相続書類はお持ちでしょうか。」
この国では相続を行う際、それに際した書類を交わし、国へ提出。国から承認されなければならない。
「しょ、しょるい!?それはこれから義父と交わすことになっている」
「まぁ、そうですのね?では、お父様、その書類はきちんと保管されているのですか」
ダレン様たちの後ろでニヤニヤと笑っていた父の顔が、相続の書類と聞いた瞬間から明らかに変わりました。視線が泳ぎ、額に汗をかいております。
「書類。。それは屋敷で保管……している……はずだ」
「まぁ、そうなのですね。それではお父様はしっかりと前カシミール侯爵であられるお祖父様から相続の書類をお受け取りになっているのですね」
「あ、当たり前だ……」
弱弱しい声で私と視線を合わせることなくそう口にする。
「お父様、もう一度お聞きますね。しっかりと思い出してくださいまし。お祖父様からは相続の書類を受け取っているのですか?」
「な、あ、当たり前だと言っているだろう!!何度もそのような事を確認するな!!」
もう一度確認されたことに苛立った父はパーティー会場中に聞こえるような大声で叫びます。
そんな様子にまたため息が出てしまいますわ。
謝罪をする最後の機会を与えてやったにも関わらずその態度。明日と言わず今すぐに出ていきたまえ。」
さも当たり前かのように、私を蔑んだような顔で見ながらそんなことをおっしゃるダレン様。
「あら、どうして私が出ていくことになるのでしょうか?」
「そんなことは当たり前だろう!この侯爵家は私とミカリーナで後を継ぐことになっている。それなのに当主の妻を見下していた姉が同じ屋敷にいるなど妻の気持ちを慮ればできることではない。ましてミカリーナの腹には大事な跡継ぎがいる!安心する環境づくりをするのは当主として夫として当たり前のことだ!」
招待客の皆様の方から「まぁ!」「なんてこと…」という小さなつぶやきがあちらこちらから聞こえる。
この国では結婚式の夜に初めて体の関係を持つことが習わしとされている。婚約者であっても結婚式の前に身体の関係を持つことははしたない女性とされる。万が一、先に身ごもってしまった場合でもそれは伏しておくことが常識なのです。
それを堂々とこんな場で婚前の身体の関係を暴露するだなんて貴族の常識ではありえないこと。ご婦人方の冷たい視線に気づくことができないのかしら…
「そうなのですか。お腹にお子が...ではやはり早々に出発のご準備をし、そちらで落ち着かれる環境作りをなさってください」
「なにを言っている!出ていくのは貴様の方だと言っているだろう!!」
声を荒げるダレン様。女性に対して貴様という発言。ダレン様の近くにいらっしゃった招待客は少しずつ距離を空けているのです。
「ですから、私が出ていく事はございません。何もご存知ないようですので、少し貴族の相続についてご質問させていただきますが、先ほどダレン様は『侯爵家は私とミカリーナで後を継ぐことになっている』とおっしゃいました。それに伴う相続書類はお持ちでしょうか。」
この国では相続を行う際、それに際した書類を交わし、国へ提出。国から承認されなければならない。
「しょ、しょるい!?それはこれから義父と交わすことになっている」
「まぁ、そうですのね?では、お父様、その書類はきちんと保管されているのですか」
ダレン様たちの後ろでニヤニヤと笑っていた父の顔が、相続の書類と聞いた瞬間から明らかに変わりました。視線が泳ぎ、額に汗をかいております。
「書類。。それは屋敷で保管……している……はずだ」
「まぁ、そうなのですね。それではお父様はしっかりと前カシミール侯爵であられるお祖父様から相続の書類をお受け取りになっているのですね」
「あ、当たり前だ……」
弱弱しい声で私と視線を合わせることなくそう口にする。
「お父様、もう一度お聞きますね。しっかりと思い出してくださいまし。お祖父様からは相続の書類を受け取っているのですか?」
「な、あ、当たり前だと言っているだろう!!何度もそのような事を確認するな!!」
もう一度確認されたことに苛立った父はパーティー会場中に聞こえるような大声で叫びます。
そんな様子にまたため息が出てしまいますわ。
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