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3.親子の縁を切る

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「王子殿下、私の発言をお許しいただけますか?」

ナターシャに人差し指を向けたまま顔をゆがめた王子。その後ろに控えたナターシャの父が口を挟む。

「よい!発言せよ」

「はっ!この度は不肖の娘が国の皆様に大変な不安を与えてしまったこと、父としてお詫びのしようもございません。娘をこのまま貴族籍に置いておけば、きっとこれからも同じような不安を持たれる方も多いでしょう。よって、王子殿下との婚約を破棄された今日この時をもって、私シルビアノ公爵と娘ナターシャとの親子の縁を断ち切ることを宣言いたします」

まるで王子に誓いをたてるように片膝を地面につけて右手を左胸にあて、宣言している。

「よい!!わかった!!確かにこのような規律を乱すような娘、貴族には、特に公爵家の娘にはふさわしくはない!!その申し立て、第一王子の特権に置いて受理いたす!申立書に双方この場でサインを」

シルビアノ公爵と娘ナターシャは以前よりなにかが起こったときの為といい、申立書を用意していた。その申立書にその場で双方サインをする。
これで二人の親子の縁は完全に切られたのである。

2人がペンを置いたのを見届けると、王子が更に声をあげる。

「では、この時を持って、妖精が隠す愛し子であるシャーロットを侮辱し、罵倒した罪でナターシャを国外追放処分とする!

んんっ、しかしどうしてもと懇願するのなら妾に迎えてやらんこともない」

王子のその声を聞いた護衛兵たちが一斉にナターシャを取り囲む。

しかしナターシャは懇願などせずただただ王子を見つめた。その様子に王子はまた苛立ったように声を上げた。

「くそっ!もうよい!!連れて行け!!」

その中の一人の男が乱暴にナターシャを腕をとり、自分の方に引き寄せる。

「こいっ!お前のような者が心優しいシャーロット様を虐げていたとは腹立たしい!追放処分などどれほど優遇されているか、お優しいシャーロット様あってのことだとしっかりと理解しろ!行くぞ!!」

そう言って思い切り手をひかれるナターシャは痛さからだろう。
額にしわが寄っている。

どんな行いを行ったにせよ、女性に対する扱いではない。
会場にいる者の多くが心の中でそう思った。

「やめろ!それが女性に対する態度か?
トレアール国の騎士教育はこれほどまでに質が悪いのか。
今すぐ彼女の手を離せ!!」

キラキラと輝くほどに美しい金色の髪を持つ凛々しい男性の登場に会場の皆の視線が突如奪われる。
彼はナターシャの手を乱暴に掴んだ騎士の手をひねり上げると、ナターシャの手を離させ、彼女を自分の後ろに回した。

でもなぜ彼が。
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