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85.あなたと共にいたい

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「迷惑だなんて、気にかけていただいて本当にありがたく思っています。
それに公爵家にもすぐに駆けつけてくれたと聞いています。本当にありがとうございました」

私はただの知人でしかない。
そんな人が倒れたと聞いてすぐに駆けつけてくれる。
本当にエミリオ様は侯爵家の方なのにちっとも偉そうにすることなく、付き合いを続けてくださるいい人。

「ナタリー、本当はもっともっと、もっと、時間をかけて伝えようと思っていたんだ。。
だけどあのお茶会でナタリーが倒れたと聞いて、僕は心が、頭が、どうにかなってしまいそうだった。それから1月も君が目を覚まさなくて………

もしもこのまま…

もしもこのままナタリーが……  そう思うと胸が張り裂けてしまいそうだった。

だから時間をかけてと言う計画は変更させてもらう。



ナタリア・マクレド嬢、心からあなたをお慕いしております。どんな時でもあなたの近くであなたを守れるようになりたい。あなたが目を覚まし時、一番に気づくのは僕でありたい。これから先の人生、あなたと共にいたい。


どうか私と結婚してくれませんか?」



エミリオ様が片膝をついて、花束を抱えて、私は見上げてそう言ってくれる。

その言葉に私は涙が溢れてしまう……

社交界で人気者のエミリオ様が、希望するものはすべて手に入れられるはずのエミリオ様が、私を希望してくれている。

それがどんなに嬉しいことか。


でも…………


「エミリオ様、お言葉大変嬉しく思います。
私なんかは望んでくださって。

でも………お断りさせていただきます。

私はエミリオ様には釣り合いません。

元子爵家の娘であり、悲劇の娘。
きっといつまで経っても私にはそんな言葉がついて回ります。

そんな女がこれからの人生、エミリオ様の隣を歩くのがふさわしいとは、とても思えません。

エミリオ様が優しいのは存じております。

でもそれでこれからの人生の伴侶を決めてしまうのは………

間違っていますよ……    」



私は止められない涙をこぼしながらエミリオ様にそう言った。
エミリオ様は何も言葉を口にするでもなく、そのまま立ち上がる。
そして静かに私に近づいてくる。
でも私にはそれがなんだか恐くて、一歩一歩と下がってしまう。

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