選ばれたのは私ではなかった。ただそれだけ

暖夢 由

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79.事前連絡は大事

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その中でも1番この話題に反応したのは先日出会った侯爵令嬢マドレーヌ様。彼女は同じ侯爵家と言うことで幼い頃からエミリオ様と交流があったらしい。
初めて会った時にエミリオ様に一目ぼれし、今に至るそうだ。

幼いころから好き好きと伝え、何度も結婚しようと、幼いながらに迫っていたそう。
しかし1度もエミリオ様はそれに頷いたことがないのだとか。

ただそれに関しては幼い頃なら返していてもよかったのではないかなんて他人事ながら思ってしまう。子供同士の幼い頃の約束だけでもしていたなら、もしかしたらそれだけで気が澄んでいたかもしれない………なんて思ったりもしたけど、貴族同士の話はそれほど簡単な事ではないのだろう。

そんなこんなで彼女は最近よくダスカート家に訪問される。

訪問されるだけならいいのだが、そのやり方がいただけない。事前連絡も事前の約束もないままに何度も訪問されてしまうのでアミ様もエミリオ様もうんざりされてしまっている。

初めの2回はお2人とも驚きながらも一応対応されていたのに3回目からは執事に事前の約束がない面会はお断りすると伝えてお帰りいただくようになった。

貴族の訪問は基本的に約束を行ってから訪問するのが常識。
恋人や婚約者など、かなり親しい間柄なら突然の訪問でも喜ばれるだろうが、そうでない場合は基本的に約束無しの訪問はありえない。

そんなことが起こっている中、私はとあるお茶会に参加した。
それはあのパーティー以来何度かお茶を共にさせてもらった公爵令嬢主催のお茶会。
公爵令嬢が選んだ人のみ参加できるお茶会。

要するに公爵令嬢お気に入りの人もしくは付き合いが大事と思われている令嬢のみ参加が許されたお茶会。

そこにはもちろんあのマドレーヌ様も参加されていた。

マドレーヌ様がダスカート家に突撃するとき、私もダスカート家にいて鉢合わせしてしまったことがある。もちろんアミ様に教えて頂くために滞在していたのだけれど何を思ったのかマドレーヌ様はすごい顔でこちらを睨んでいた。
その時のマドレーヌ様の顔の怖い事と言ったら……

だからマドレーヌ様に苦手意識があるのは仕方がないと思う。
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