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73.パーティー会場へ

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なんとか冷静を装い、馬車に乗り込むとそこにはエミリオ様の母であり、私の先生でもあるアミおば様と、臨時裁判長を務めてくれたアミおば様の旦那様、シュレイダンおじ様がいた。

アミおば様はニヤニヤとしながら楽しそうにエミリオ様を見ていた。

馬車の中ではさすがに、先ほどのような甘いセリフをエミリオ様から聞く事はなかったからどうにか心は冷静さを取り戻していった。
しばらく走ると、そこはとても豪華な門の豪邸。さすが公爵家……

私がただ黙ってその家を見ているとエミリオ様が私をエスコートしながら馬車をおりて言った。


「ナタリーはこれくらい豪華な家がいい?」

思わず私は首を大きく横に振った。

あっ、今日は感情をあまり見せない訓練でもあるのに、のっけからこの行動はきっといただけないだろう。

「私にはこのような豪華な家は過ぎた望みですわ。
自分の身の丈にあった家で、家族で幸せに過ごすことが私の夢なんです」

私のその言葉にエミリオ様は優しそうに頬を緩め、微笑んでくれた。

きっとエミリオ様はいい夫になるだろう。
こんな風に他愛のない会話でもしっかりと耳を傾けてくれる。

それがどんなに素晴らしい事なのか、当たり前ではないのだと私は知っているから。

私たちは主催の公爵家の皆様に挨拶に向かった。
ダスカート家と主催のポレード家は付き合いが深いらしく、だからアミおば様も失敗しても大丈夫なんて言ってくれた。

それでも私にとっては本来雲の上の存在のようなもの。
失敗だなんて考えただけでも身体が震えてしまう。

でも隣で私が手を添えている人は、心配しないでいいと目で語ってくれる。それだけで安心してしまうのはいつの間にか彼が私の中で大きくなっているからだろう。


「ダスカート家の皆さま、本日は当家のパーティーに参加くださいましてありがとうございます。
美味しい料理も飲み物も取り揃えておりますのでどうぞお楽しみください」

公爵様がいう言葉に私たちは頭を下げ、シュレイダンおじ様がお礼の言葉を伝えている。

親しい中にも礼儀ありということで、パーティーなど公式の場ではまず最初にこうした挨拶を必ず行っているそうだ。
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