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43.どうか再考を
しおりを挟む「裁判長、どうか再考くださいませんか。
この子は前妻のマリアとその娘ナタリアの被害者でしかないのです。そんなこの娘にそんな重すぎる罰は非道です。どうか、どうか再考を」
この母親にしてこの娘あり。蛙の子は蛙とはよく言ったものだ。
娘と同じように涙ながらに裁判長に訴えるその姿は先ほどまでのアルバにしか見えない。
「再考は行わない。再考が必要となるだけの証拠があれば、再考も検討するが、検討するだけの懸念もない。
そして私からの判決はまだ終わっていない。
先ほどの件、両件において、マルク・パレドス、ヨランダ・パレドス、共に共犯とみなし、マルク・パレドスは北の製鉄所にて30年間の無報酬労働を、ヨランダ・パレドスに関しては最北の修道院で、30年間の無報酬労働を言い渡す。
なお、ヨランダ・パレドスに関しては先ほどの発言により追加で5年間、最下層として働くことを言い渡す」
「なっ!!どうしてよ!!共犯ってどういうことよ!!どうして私まで無報酬労働だなんて!しかも最北ですって!!いやよ!撤回して!!いたっ!!!!いたい!!!!」
裁判長の言葉が響き渡ったと思えば、ギャーギャーとヨランダのけたたましい声が響いてくる。
しかし、兵士に腕を捻りあげられたことでその声はようやく収まった。
それにしても北の修道院だけでなく、最北の修道院だなんて……
修道院は王都の中にもあるが、そこは人々の心を清め、神からのお言葉を頂ける場所でもあり、シスターたちが望まれない子たちの世話をしてくれている場でもある。
私もこの1か月アミおば様と何度か足を運ばせてもらったけれど、とても幸せな空気漂う場所だった。貴族の娘でも3女などで嫁ぎ先が見つからない場合、寄付金を出して、そこでお世話になることもある。
そこにあまり厳しい規則などはなく、わりとゆったりと暮らしているのだそう。
しかし、北の修道院といえばその様子は一変する。重罪を犯した人や、再起の見込みなしと考えられた人たちが送られる場所。そこに行くには馬車で10日走った挙句、途中で馬車をおり、歩いて2日かけて到着するのだそう。雪に囲まれた土地にあるそこは、馬車などが行き交う場所でもないため、逃げ出すこともできない。人の往来がない場所だから道もできず、途中からは歩いていくしかないのだそう。しかし、真実か嘘か、2日の道のりが越えられず亡くなる方もいるという。
そしてそこよりも過酷と言われる最北の修道院。それは北の修道院と同じ雪に囲まれた場所。だが、一つ違うのは雪だけでなく海に中にある山の上にあるということ。
そこは灯台の働きも担っている場所で人が行き来することはほとんどない。荷物の運搬さえ3ヶ月に1度という。
しかも重罪を犯したものを収監する場所でもあるため扱いは酷いと聞く。
看守は肉体派で、手をあげることは日常であり、その他凌辱も行われているという噂さえある。
なぜ噂かと言えば、そこから帰ってきた者が誰もいないからである。
そんな場所に35年…想像しただけでも恐ろしい……
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