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33.ナタリーの名を語る偽物

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そう話すアルバの隣でグレン様とあの男は下を向いてガタガタと震えている。しかしいくら見ても私に気づかないアルバとヨルダンは何が起こっているんだと言うような不思議そうな顔をしている。本当に頭が悪いと言われても仕方がない。

「ははっ、この子を見ても何も気づかんと言うことか。どうやらそこにいる男2人はことの重大さに気づいているようだな」

そう言われると顔をうつむかせている2人は震えたまま黙っている。

その様子に多少は不安になったのかアルバに加え、ヨルダンまでもが声を上げる。

「何よ?何なのよ!????」

私がそろそろ自己紹介をと思っているとイザベラ祖母様がまっすぐ私を見てきた。

「ナタリー?もしかしてあなたナタリーなの?」

顔を見ただけで自分だとわかってくれた。それだけでも本当に気にかけてくれていたのだとわかる。

「はい。イサベル祖母様、ご無沙汰しております。ナタリー・パレドスでございます。お祖母様とお呼びしても?」

私がそう言うと祖母は私のところに近寄ってきてくれ、私の手をぎゅっと握る。

「ナタリー、あなたなの?

もちろんよ、もちろん祖母様と呼んでほしいわ。顔をよく見せてちょうだい。ああ小さい頃同様、本当にあなたの瞳は透き通っていて綺麗ね。マリアさんと一緒。それにマリアさん譲りのきれいな髪の毛だわ。

あぁ、とても会いたかったわ」

イサベル祖母様の身を案じてずっと肩を抱いてついてきたフランク祖父様はそんな様子を見て、あの男たちのほうを振り返った。

「これはどういうことだ?

どうして本物のナタリーがいるのにお前たちのところにはナタリーの名を語る偽物がいるんだ?」

その言葉にあの男の体の震えはさらに大きくなった。

だがその言葉を制したのは他でもないアルバだった。

「ちょっと!どうしてその人が本物のナタリアということになるの?

父親であるお父様が私が娘だって言ってくれてるんだから私は娘で決まってるでしょ」

「そうよ!
うちの可愛いナタリーちゃんを、そんなどこの骨ともわからないような女を連れてきて名を語るだなんて侮辱しているにもほどがあるわ。こちらには子爵家当主である主人がいるのよ。

お義母様も自分の息子を信じないだなんて「お黙りなさい!!あなたに母と呼ぶことを許した事はありません!」」

その言葉に義母の顔はぐしゃりと歪む。
イサベル祖母様が言うように、義母と呼ぶことを許されていないと言うことならば、嫁と認められていないと言うことになる。

それどころか今のやりとりでは家族とすら認められていないようだ。
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