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35.プロポーズは幻聴!?

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ずっと嫌味をかけてくる男であっても、離縁したあんな男よりもずっとずっと優しくて、私のことを気にかけてくれているのは知っている。

今日だって、戸惑うことばかりだけど、あんな男といた時よりもずっとずっと楽しめている。

「それで?今日のこれはなんなの?
いい加減教えてくれない?」

私が問いかけると、その顔は険しくなり、皺を寄せた。

「あー、、その………次の所で話す」

それだけを言って話しを変えた男。

まぁ、なんだかんだ言って楽しいからいっか。

そして話題の紅茶を味を変えて2杯、甘いお菓子と一緒に飲んだ後、店を出た私たち。

当たり前のようにつながれる手。
でもその手は先ほどまでの子どもと手をつなぐようなつなぎ方でなく、指と指を絡めるようなつなぎ方。

最近若い子たちは恋人とこの濃厚な手のつなぎ方をするんだと聞いたことがある。

だからそれだとわかったとき、手を離すように力を入れて抗議してみたのに、その手を離してくれることはなく、そのまま庭園についた。

ここは昔から恋人たちの定番のデートコースと言われている。
そしてある一つのジンクスがある場所でもある。

それは………

「キュリール・タンゼット嬢、私と結婚してください」

池の前で愛を誓うと生涯愛し愛され、幸せに暮らせるというもの。

…………

………………………

私たちが今いるのはそんなジンクスがある池の前。
水はとても澄んでいて、ピンクの砂のおかげでピンク色の池になっている。
その中をカラフルな魚が泳いでいるとても幻想的な場所。

だからこそジンクスができたのだろう。

「………リール?………キュリール?………おいっ!!キュリールって!!!」

「あっ、ごめんなさい。
私自分でもわからないくらい疲れているみたい。幻聴が聞こえるの。そろそろ帰りましょう」

これは本格的によくない。
そう思った私はすぐにでも帰ることに決めた。

だって幻聴だけじゃない。目の前の男が片足を地面につき、私に見せるようにリングの箱を開けているように見える。

その姿がまるで絵本の中の王子様に見えるだなんて。

あるはずがない!!
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