旦那の真実の愛の相手がやってきた。今まで邪魔をしてしまっていた妻はお祝いにリボンもおつけします

暖夢 由

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23.金を受け取ったカダール

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一方金を受け取ったカダール。
伯爵家で暮らしていたカダールにとって、喜ばしいほどの金額ではなかったが、それでも今は一文無し。金がないことには始まらない。

金を受け取ったカダールは今後の為を考え、賭けに出た。

比喩ではない。

本当にその金額を賭けたのだ。

賭博場へ行き、食事をしながらゲームをした。

こうなっても自分は運がよく、この金で人生は上向いていくと信じて疑わないのだから一度に賭けた額は手元にあった金の半分。そしてたった2回の賭け事でカダールは今ある資金をすべて失った。

たった2回でリボンの価値はなくなってしまったのだ。

だがそんなカダールに助け舟をだした男がいた。
賭博場のオーナーがカタールの賭けっぷりに惚れ込み、金を貸してやると申し出たのだ。掛け金はリボンを売った金の3倍。今夜返せれば利子は無し。ただし負ければ1分ごとに利子が5%毎増えていくというもの。上限金額を超えたらその身を拘束するという。

常識的に考えて分毎に利子が増えていくなどありえない。
俗に言うぼったくりだ。しかしカダールには他に道はない。

何よりカダールはこの男が本気で自分の才能に惚れたと思ったのだ。その申し出を受けないはずがない。

そうして借りた金で賭け事に興じたカダール。
カダールの予想通り、1回、2回とかけるたびに金は増えていった。
勝ち続け、手元にある金は借りた金の倍になっていた。

これだけあれば、ひと花咲かせられる。事業をしたっていい。3年やり過ごしてキュリールにプレゼントでも買って謝りに言ってもいい。そしたら今まで通り伯爵家に戻れる。
どちらにしてもきっとこれからの人生バラ色だ。

だが、もうちょっと……もうちょっとだけ…………

これを全部賭けたら今の3倍にはなる。

今までずっと勝っているんだ。
次で負けるはずがない。

そうだ。もう一回、もう一回だけやったらもうやめよう。

そう思って、今手元にある金額全てを賭けた。
これでやめる、そう心に決めて。

結果は…………負け。

たった1回のゲームで借りた金も、これまでの勝ち分も、すべてなくなってしまった………
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