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16.貴族がきた
しおりを挟むそして予想通り3日目の夕方、ルドファがやってきた。
「ルドファ様、3日間とても寂しかったですわ。
でも3日間、ルドファ様のおかげでとても心穏やかに過ごすことができました。
今日はどこに……あら?そちらは?」
リボンはルドファしか見ていなかったが、ルドファの後を追うようにラミーが連れてきた男。
その男は端正な顔立ちで黒色の髪の毛をもつが、少し身長が低い男だった。
しかし、服の生地は高級そうである。
「リボン、3日間も放っておいてすまないね。
詫びと言ってはなんだが、こちらの方を紹介するしよう。こちらはクロード子爵だ。私の仕事のよき理解者で、支援者でもあるんだ。リボンのことを話したら是非にでも会いたいということでね、お連れしたんだよ」
「まぁ、そうなのですか?それは光栄ですわ」
そう言ってリボンは手の甲をクロード子爵の前に差し出した。
この国の貴族間では女性の手の甲に口づけをすることを許されることは名誉なことであるという考え方がある。
だから貴族で挨拶をするとき、好意を持たれている男性に、口づけを許してあげるという意味で手の甲を差し出す習慣があるのだ。
だからリボンもその行動をクロード子爵に対して行ったのだ。
それを見たクロード子爵はぷはッっと笑った。
「さすがルドファだな。こんな女性をどこで見つけてきたんだ?
リボン嬢、初めてお目にかかります。グラファイ・クロードと申します。こんなに美しい女性とこのようなところでお目にかかれるとは私は本当に運がいいようです。これからもどうぞよろしくお願いします」
そう言ってリボンの手の甲に口づけを落とした。
その瞬間リボンはゾクゾクとした快感が背中を走った。
そう、これよ、これ!私に男たちがかしずくのよ。男なんてその為にいるんだもの。
ルドファも捨てがたいけど、やはり貴族という身分は大事。貴族っていうだけで貴族と会う機会は格段に多いんだもの。
それならば、この男が私に夢中になって、私をここから連れ出すように仕向ければいいのよ。そうすればルドファだって文句は言えないわ。
それまでは私は2人に愛されて、2人に貢がれておけばいいだけ。
私はそうされるだけの価値がある。それほどまでに魅力的なんだから仕方ないわ。
「ルドファ、僕は彼女ともっと話しがしたいな。いいかな?」
リボンにとっては願ってもない申し出。
でもまだそうするには早すぎるんじゃないだろうか。だってルドファに会うのも3日ぶり。それなのにまだあまり話しもしていない。きっとルドファも自分を離したくないに決まっている。
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