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妖精が逃げた
しおりを挟む「ほら!大丈夫だからちょっとだけ来いって」
「いや、離して!人間とは話しちゃダメって言われてるの知らないの?見える人間には近寄っちゃダメなの!」
まぁぁぁ!!!!!!
この子はとても可愛いお声の妖精様です!!
でもその妖精様は近づくとわかるほど震えています。
「こんにちは。急に捕まえたりしたら驚いてしまいますよね。驚かせてしまってごめんなさい。ほら、ぴょん吉、あなた手を離してあげてください。震えていますよ!」
「だって離すとこいつ逃げ出しそうで」
「そんなこと言うと私たちが彼女を捕まえようとしていると勘違いしてしまうでしょう?ただでさえ怖がっているのに怖がらせないで下さい!
でも、もしよければあなたの名前を教えてくれない?あなたが嫌ならば追いかけたりもしないわ。できれば少しだけ話したいのだけれど、嫌ならば無理にとは言わない」
私がこういうと、すごく渋々ぴょん吉が手を離します。
するとぴゅーッ!!!っとどこかへ妖精さんは飛んで行ってしまいました。
「あっ!!!!ほらっ!!せっかくいたのに飛んで行っちゃったじゃん!やっと見つけたのに!!」
そう、この市場にゆっくり訪れている一番の理由は妖精の仲間探しです。ルイス様達が帰る2週間でなにかを見つけられればぴょん吉も一緒に帰れるかもしれないと探しているのです。そして、そう言えば以前市場でフルーツがキラキラしてたことがあると言ったところ、行ってみることになったのです。
でも妖精さんが嫌がっているのに無理やり捕まえたりはできません。
「仕方ないじゃない。なにかとても怖がっていたわ。それなのに捕まえておくなんて無理よ。ぴょん吉がせっかく見つけてくれたのに申し訳ないけれどまた違う子を探しましょう」
ぴょん吉はとても気落ちしていましたが、それからも少しだけ散策して私たちは帰りました。
とりあえず今日は他の妖精さんには会えませんでしたが、この国にもいるという事をわかったことは収穫です!
そして帰りつき、私たちは一旦それぞれの部屋で休み1時間後にお父様たちも含め全員でお茶をすることにしました。
本当は部屋でゆっくりとしたいところですが、気になることはある!!
私は10分ほど部屋で休むと、アンが滞在している部屋のドアをノックします。
中からはアンが顔を出し、部屋へ招き入れてくれます。
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