53 / 87
エドとリーシャさん
しおりを挟むついに待ちに待ったパーティー当日。
今日は皆さんいつもと違う雰囲気です。パーティー用のドレスを着て、着飾っているので、いつもとは感じが違うのです。
学園長の今学期を労う言葉などの挨拶が終わり、各々が好きな人と好きなように話をします。このパーティーも将来を見据え、パーティーに慣れるためのものです。婚約者がいる女性たちはエスコートされ、飲み物を手に取り色々な方とお話をされます。このつながりも、将来きっと必要になってくるのです。
ふと目をやるとエドとリーシャさんが目に入ったのでご挨拶に行きましょう。
「リーシャさん、ごきげんよう。エドが自然にエスコートできているようで安心したわ。あれから困っていることはないかしら?」
「シルヴィア様、ごきげんよう。困っていることなんて。あのお茶会以来エド様は色々な場所へ連れて行って下さり、とても優しくしてくださいます。つい先日もこのペンダントを頂き、その、とても似合っていると褒めて下さったんです…今日も私が緊張しているとそのままの君で素敵だからだなんて……その……」
ペンダントを私に見せるように触りながら頬をピンクに染めてそんな事をいいます。
あぁぁ、なんて可愛らしい……イラストレーター、グッジョブです!!
そしてそれを見ている優しそうなエドの目。このスチール欲しかった!!
「そう、うまくいっているようで安心したわ。それにあまり大きな声では言えないけど、お店のお菓子の箱も素敵なデザインを作ってくれてありがとう。とても上品な箱でお土産にも最適って評判がいいのよ。」
エドとリーシャさんでお土産用の箱を用意してくれたのですが、リーシャさんがとてもデザインセンスがあったようで、箱に入った土産品も大人気なのです。まだ全種類の箱があるわけではありませんが、これからもまたお願いすることになると思うのでエドと一緒にぜひ頑張ってほしいですわ。
「あれはエド様がこんな感じがいいと言ってくださったのでそれを基に私はちょっとデザインしただけなので、あれはエド様がすごいのです」
「そんなことないよ。あれはリーシャのデザイン力が素晴らしいからこそ素晴らしい箱になったんだ。あれはリーシャの力だよ。………姉さん、その顔で見るのはやめてください…」
あら、私ったら顔に出てました?
だって、だって、、いいじゃないですか。人前でもイチャイチャラブラブが出来るなんて。それもきっと無意識ですわよ。
数か月前では考えられない光景でしたわ。へっぽこエドでは考えられませんでしたわ。
あーー、幸せ!
「あら、これは失礼。とても仲睦まじい様子で安心しましたわ。リーシャさん、またわが家でお茶会でもしましょうね。その時はエドの内緒話もぜひ聞かせてほしいわ。じゃあ私はまだ挨拶をしてない方のところへ行ってくるわね」
せっかくのラブラブな婚約者たちをこれ以上邪魔してはいけません。
そう切り上げて振り向き、歩き出そうとした瞬間、カツカツカツとなかなかなスピードで足音が近づいてきて、ピンクが目に入りました。
あっ、やばい!瞬間的にそう思ったんです。思ったんですが、踏み出した足は止まらなかった。一歩足を踏み出してしまったら、身体がピンクの髪の方に近くなってしまったのです
。それでもぐっと身体に力を入れた結果、ピンクの髪が私の鼻先にあたりました。
「きゃっ!!」
ぶつかれば、そんな声も出てしまいますよね。
でもこれは私の声ではありません。ピンク様のお声です。さぁ、嫌な予感しかしません。
「「「「ナターシャ!!!!」」」」
ほらね。桃太郎劇団のお出まし……………
さぁ、劇団による公演がまもなく始まります。
12
お気に入りに追加
2,570
あなたにおすすめの小説
記憶喪失になった嫌われ悪女は心を入れ替える事にした
結城芙由奈@2/28コミカライズ発売
ファンタジー
池で溺れて死にかけた私は意識を取り戻した時、全ての記憶を失っていた。それと同時に自分が周囲の人々から陰で悪女と呼ばれ、嫌われている事を知る。どうせ記憶喪失になったなら今から心を入れ替えて生きていこう。そして私はさらに衝撃の事実を知る事になる―。
悪役令嬢ですが、ヒロインの恋を応援していたら婚約者に執着されています
窓辺ミナミ
ファンタジー
悪役令嬢の リディア・メイトランド に転生した私。
シナリオ通りなら、死ぬ運命。
だけど、ヒロインと騎士のストーリーが神エピソード! そのスチルを生で見たい!
騎士エンドを見学するべく、ヒロインの恋を応援します!
というわけで、私、悪役やりません!
来たるその日の為に、シナリオを改変し努力を重ねる日々。
あれれ、婚約者が何故か甘く見つめてきます……!
気付けば婚約者の王太子から溺愛されて……。
悪役令嬢だったはずのリディアと、彼女を愛してやまない執着系王子クリストファーの甘い恋物語。はじまりはじまり!
平和的に婚約破棄したい悪役令嬢 vs 絶対に婚約破棄したくない攻略対象王子
深見アキ
恋愛
乙女ゲームの悪役令嬢・シェリルに転生した主人公は平和的に婚約破棄しようと目論むものの、何故かお相手の王子はすんなり婚約破棄してくれそうになくて……?
タイトルそのままのお話。
(4/1おまけSS追加しました)
※小説家になろうにも掲載してます。
※表紙素材お借りしてます。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
やり直し令嬢の備忘録
西藤島 みや
ファンタジー
レイノルズの悪魔、アイリス・マリアンナ・レイノルズは、皇太子クロードの婚約者レミを拐かし、暴漢に襲わせた罪で塔に幽閉され、呪詛を吐いて死んだ……しかし、その呪詛が余りに強かったのか、10年前へと再び蘇ってしまう。
これを好機に、今度こそレミを追い落とそうと誓うアイリスだが、前とはずいぶん違ってしまい……
王道悪役令嬢もの、どこかで見たようなテンプレ展開です。ちょこちょこ過去アイリスの残酷描写があります。
また、外伝は、ざまあされたレミ嬢視点となりますので、お好みにならないかたは、ご注意のほど、お願いします。
森に捨てられた令嬢、本当の幸せを見つけました。
玖保ひかる
恋愛
[完結]
北の大国ナバランドの貴族、ヴァンダーウォール伯爵家の令嬢アリステルは、継母に冷遇され一人別棟で生活していた。
ある日、継母から仲直りをしたいとお茶会に誘われ、勧められたお茶を口にしたところ意識を失ってしまう。
アリステルが目を覚ましたのは、魔の森と人々が恐れる深い森の中。
森に捨てられてしまったのだ。
南の隣国を目指して歩き出したアリステル。腕利きの冒険者レオンと出会い、新天地での新しい人生を始めるのだが…。
苦難を乗り越えて、愛する人と本当の幸せを見つける物語。
※小説家になろうで公開した作品を改編した物です。
※完結しました。
母と妹が出来て婚約者が義理の家族になった伯爵令嬢は・・
結城芙由奈@2/28コミカライズ発売
恋愛
全てを失った伯爵令嬢の再生と逆転劇の物語
母を早くに亡くした19歳の美しく、心優しい伯爵令嬢スカーレットには2歳年上の婚約者がいた。2人は間もなく結婚するはずだったが、ある日突然単身赴任中だった父から再婚の知らせが届いた。やがて屋敷にやって来たのは義理の母と2歳年下の義理の妹。肝心の父は旅の途中で不慮の死を遂げていた。そして始まるスカーレットの受難の日々。持っているものを全て奪われ、ついには婚約者と屋敷まで奪われ、住む場所を失ったスカーレットの行く末は・・・?
※ カクヨム、小説家になろうにも投稿しています
乙女ゲームの世界だと、いつから思い込んでいた?
シナココ
ファンタジー
母親違いの妹をいじめたというふわふわした冤罪で婚約破棄された上に、最北の辺境地に流された公爵令嬢ハイデマリー。勝ち誇る妹・ゲルダは転生者。この世界のヒロインだと豪語し、王太子妃に成り上がる。乙女ゲームのハッピーエンドの確定だ。
……乙女ゲームが終わったら、戦争ストラテジーゲームが始まるのだ。
悪役令嬢エリザベート物語
kirara
ファンタジー
私の名前はエリザベート・ノイズ
公爵令嬢である。
前世の名前は横川禮子。大学を卒業して入った企業でOLをしていたが、ある日の帰宅時に赤信号を無視してスクランブル交差点に飛び込んできた大型トラックとぶつかりそうになって。それからどうなったのだろう。気が付いた時には私は別の世界に転生していた。
ここは乙女ゲームの世界だ。そして私は悪役令嬢に生まれかわった。そのことを5歳の誕生パーティーの夜に知るのだった。
父はアフレイド・ノイズ公爵。
ノイズ公爵家の家長であり王国の重鎮。
魔法騎士団の総団長でもある。
母はマーガレット。
隣国アミルダ王国の第2王女。隣国の聖女の娘でもある。
兄の名前はリアム。
前世の記憶にある「乙女ゲーム」の中のエリザベート・ノイズは、王都学園の卒業パーティで、ウィリアム王太子殿下に真実の愛を見つけたと婚約を破棄され、身に覚えのない罪をきせられて国外に追放される。
そして、国境の手前で何者かに事故にみせかけて殺害されてしまうのだ。
王太子と婚約なんてするものか。
国外追放になどなるものか。
乙女ゲームの中では一人ぼっちだったエリザベート。
私は人生をあきらめない。
エリザベート・ノイズの二回目の人生が始まった。
⭐️第16回 ファンタジー小説大賞参加中です。応援してくれると嬉しいです
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる