ゲームのシナリオライターは悪役令嬢になりましたので、シナリオを書き換えようと思います

暖夢 由

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父からの提案

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「陛下、ここで一つ私からよろしいでしょうか。

王子殿下とそこの令嬢の関係についてです。店でもこのように王子殿下の名前を呼び捨てで
呼んでおりました。公の場でです。そのような事が許されている関係と考えてしまうのも致し方ないことですよね。

その事実確認のためにもクレド侯爵夫妻にもお越しいただきましたが、この場でも同じように呼ばれたので事実確認は不要でしょう。

王子殿下の親である陛下たちの目の前でも隠し立てすることがない関係。これを正式な婚約者である我が娘は黙ってみていなければならないなど、なんと不憫なことか。

そこで王子殿下の為にも婚約を解消したらいかがかと提案致します。」

「「なっ!」」

あら、同じような反応をしたのは陛下と宰相様でしたわ。

王妃様は唖然としたような驚きの目をされていますわ。王子は少し嬉しそうですね。

ヒロインに関しては……令嬢らしからぬ、すごいニタり顔。その顔止めた方がいいと思います……

「ジョン!そこの令嬢とはどのような関係なんだ!!?」

陛下が王子に問いただすように聞きます。

「ナターシャは学校に入ったばかりでまだ学校にもなじめず、その可愛さからか周りからの妬みも多くいじめられることも多いのです。そのため、私の庇護下に置き、そういったことがないように守っております」

………………ほんと、救いようがないほど阿呆なんだな…

自分の親の前で、婚約者の前で、婚約者の親の前で、なによりも親という名の陛下と王妃様の前でこんな事を堂々と言えちゃう馬鹿さ。もういっそ清々しい。

ほら、陛下も王妃様も、宰相様までも手のひらで顔を覆ってらっしゃる。

「申し訳ないがシルヴィア嬢、わかることだけでいいから説明してもらえるか」

陛下が私に尋ねられますが、私もなにを言っていいのかがわかりません。そう思ってお父様とお母様の方を向くと、無言で頷かれてしまいました。これはなんでも言えと言うことでしょうか…

「畏まりました。

私もご令嬢とはクラスが違うため把握していることは少ないかと思いますが、わかることだけご説明いたします。

まず男爵令嬢は今年学校に編入してこられました。男爵に引き取られ、貴族になったということで廊下を走ったり、男性の身体に不必要に触れてみたりと貴族としての礼儀が身についていないようでした。そのため女生徒から注意を受けることもあるようです。そしてそれを殿下にいじめられていると報告しているようです。
「なっ!?「他の者は口を挟まないように!!」…」

そして物が捨てられているということもあったようですが、男子生徒の一人が「令嬢本人がゴミ箱に捨てているのを見た」ということで、そのごみ箱を探したら見つかったということもあったそうです。しかし、それもどういうわけか王子殿下には話がいったようで、令嬢のクラスまで王子殿下と側近の方々が連れ立っていき、「彼女をいじめているところを見つけた時は許さない」と怒鳴っていかれたということです。

また、なぜか私の前によく現れて下さり、お二人で手を握ったり、身体を寄せ合っている様を見せてくださいます。今思えばあの時も、婚約を解消なさりたいと考え、そのようにされていたのかもしれません。

残念ながら私が知っていることは以上になります」

私が知っていることは驚く程少ないのです……でも、今喋った感じでは結構知っている気もしました。こんな機会が来るなんて思ってもいませんでしたが、下準備って大事ですね!

私が話し終えて、王妃様のお顔はすでに全部が扇子に隠れてしまっており、のぞくことが出来ません。陛下と宰相様はまた手の平で顔を隠しております。

王子とヒロインに関しては私を睨んでおりますが、私は私が知っている事実を話しただけ。あなたたちが持っている事実は自分たちで話せばいいだけです。
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