ゲームのシナリオライターは悪役令嬢になりましたので、シナリオを書き換えようと思います

暖夢 由

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どう?ぼく偉いでしょ!?

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「わかった。公爵、この内容で間違いはないか?」



「大まかには合っております。ただ子細に述べますと王子殿下は「このお菓子はナターシャが考え出した素晴らしい商品だ。それを真似て勝手に販売しているこの店は営業停止にすべきである。その命令の為に私が直々に来た」と男爵たちと店に来られました。そしてシア・スイーツ店の菓子を盗作であると。

酷似しているかという点は陛下に見て頂き、その目でご判断いただければと。また、評価についての詳細も申し上げますと、クレド侯爵、私たちサルゴレット侯爵夫妻は名前も見た目も異なり、なによりも味がまったく違う為、盗作にはあたらないと判断しました。王子殿下は見た目が似ている点があるため、その見た目に対する使用料を男爵に支払うようにと判断しました。男爵のみが慰謝料を請求しております。令嬢に至っては判断する能力がないと判断いたしました。」

「なんだそれは。それでは判断は出ているではないか。ジョン、なにをもって判断できないとしたか申せ」


お父様の話を聞き、陛下が不思議そうな顔をして、再度王子に尋ねますが、王子は変わりなく堂々と答えます。


「はい。こういうことは数が多いほうが勝ちではなく、その中身を吟味することが大切であると常々感じております。それに今回勇気をもって声を上げたのは男爵家です。男爵家は貴族の中では下位層にあたるため、数の論理ではなく、中身が大切であると考えたのです!」

陛下と王妃を見つめ、まるで小さい子が”どう?ぼく偉いでしょ!?”と言っているように胸をはっていますが、これが逆の立場ならばどうなっていたのでしょうか。公爵が盗作だと訴えた場合は数の論理で決まっているのでしょうか。言っていることがそもそも不平等だとはどうして気づかないのでしょうか。とても不思議でなりません……

私が一人でこんな事を考えていると陛下と王妃からはぁ…と重いため息が聞こえてきました。……なぜ王子にはこのため息が聞こえないのでしょう……

「もうよい!とりあえずその問題となっている菓子があるのだろう。そちらを用意せよ」

陛下のその声にあわせて、王宮勤めのメイド達が動き出します。男爵たちが用意したものと、お店で用意したものをそれぞれ分け、対になる商品がわかるように置かれていきます。

その商品を見た陛下と王妃様と宰相様の3人。なぜか固まっています

「…………ジョン、見た目が酷似していると言っていた商品はこれらのことか?」

「はい!そのように見た目がとてもよく似ているため、その見た目を使用するために使用料を払うべきであると私は判断いたしました!」

陛下も、その隣にいる王妃様も、そして宰相様も…王子の言葉を聞いて目をしばたかせています。
しばし固まっていたかと思うと、突如王妃様がマカロンが乗った2つの皿をくるくると左右で何度も入れ替え始めました。

「ジョン、どちらが男爵のお菓子?」

「母上、なにを遊んでいるのですか?こちらに決まっているではありませんか!」

男爵のナタロンが乗った皿を間違えることなく王子が指さします。。。

ほんとに馬鹿ですね……

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