ゲームのシナリオライターは悪役令嬢になりましたので、シナリオを書き換えようと思います

暖夢 由

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ヒロインの言い分

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「はい。それではとりあえず男爵令嬢の評価を聞いてみましょう。どうぞ」

黙ってしまった男爵を確認し、お父様がそれ以上追求せずにヒロインの評価を求めます。
これ以上聞いてもきっと平行線でしかありません。それならば先に全員の評価を聞くべきであると判断したのでしょう。

「あの、その前にこれを作った方を教えていただけますか?」

ヒロインがお父様に質問します。
ヒロインにとってはそこが気になるところですよね。そして相手が誰であるかによって使い方、すり寄り方が変わってくる。きっと私であるならばわかった時点で攻撃が始まるでしょう。ですが、

「それはできかねますね。これを作った人は名前を公表しないことを条件に店に商品を並べることを承諾したと聞いています。
そしてなによりもそれは今回の評価には何ら関係がない。さぁ、評価をどうぞ」

お父様のこの態度が気に入らなかったのか、ヒロインは攻め方を変えようと思ったのか…

「こんな……こんなのってただの意地悪ですわ…私が男爵令嬢だからって私が考えた商品なんて盗ってもいいと思ってるんですわ…ひどい…こんな理不尽がまかり通ってしまうなんて、なんてひどいのかしら……ジョン、あなたなら私を信じてくれるでしょう?こんなひどいことってないわ…」

さっきまで怒鳴っていたのに、急に目をうるうるとさせ王子を見つめている。その様子に唖然としていたのに、、、

それだけでなく、王子を”ジョン”と名前で呼び捨てにしましたわ……公の場で名前で呼ぶだけでも親しい中であると公言しているような物なのに、呼び捨てなど。公の場でしてしまえば婚約者と同様の扱いの女性であると認めているにも等しい行為。

裏で見つめる私でさえ、唖然としてしまいます……

「殿下、この女性に名前呼びをお許しになられているのですか?これは場合によっては王家と公爵家での話し合いが必要となりますが、明確なお答えをお願い致します」

お父様が険しい顔をして王子に詰め寄ります。
王子も少しはまずいと思っているのか答えに迷っているようです。

「やめてください!ジョンはいじめられている私がこれ以上傷つくことがないように守ってくれているんです。そんな心優しいジョンをいじめるなんて…自分のことなら我慢できますが、そんなこと許せません!」


…………先ほどご自分のことでも我慢できずに王子に訴えていたように思いますが、それはさておき、公爵当主に対等に話、まさかこのように抗議するなんて……

隣の男爵ですら固まってしまっています。
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