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侯爵夫妻の評価
しおりを挟む「男爵、私からも質問をよろしいでしょうか。こちらは既に商品として販売されていると言うことでよろしいのですか」
侯爵夫人が控えめに手を挙げ、男爵に質問をします。
「はい。ただ、まだ店頭での販売をはじめているわけではなく、お茶会などの土産品などでご注文を頂いた方のみに販売しております。そのため、今回の騒動は商品作りに関わるもの全員が憤っております」
「あぁ、これ。…お答え頂きありがとうございます」
“あぁ、これ。”とはどういうことなんでしょうね。
「他に質問のある方はいらっしゃいませんか?」
お父様が皆さんの顔を見ながら質問されますが、誰も反応はされないようです。
ちょっと意外ですね。ヒロインや男爵は質問をしてくるかと思っていました。それに王子もなにも言わないなんて、どのような判断をされるのでしょう。
「それでは皆さん召し上がられたようなので、評価を聞いていきたいと思います。まずはクレド侯爵よろしいですかな」
「はい。では私の評価をお話いたします。まず結論から言うのならば、これらは盗作には当たらないと言うことですね。
見た目は確かに似ている点もありますが、男爵家のお菓子に対し、シア・スイーツ店のマカロンには顔が描いてあり、とても可愛らしい。ババロアに関してもその器のタイプもまったく違う。大福に関しては似てなくもないが、店の物はとても均一の丸であるのに対して男爵家のはいびつであり、先ほど見せてもらった店の大福は様々な色の種類もあった。これらは誰が見ても間違いようはありません。
そしてなによりもお菓子という点においてもっとも大切なのは味だと考えます。その味が全く違う。そして名前も違う。逆に何を持って男爵がこれらを盗作にあたると言っているのか聞いてみたいほどです。私からは以上です」
そうです。私たちは男爵側からどのような難癖をつけられるのかわからなかったため、その見た目も工夫しました。
マカロンにはアイシングで可愛らしい絵を描き、ババロアのカップは業者に特注でちょっとおしゃれな見た目のカップを作ってもらいました。
しかし、大福だけはなんとなくその見た目のまま提供したかったので、いろいろな種類を作ることにしました。普通の大福、よもぎ大福、苺大福など。
そのため、似ている点はありますが、横に並べてどちらの商品かわからないということはありえないのです。
「侯爵ありがとうございます。それでは続いて侯爵夫人お願いいたします」
「はい。それでは僭越ながら、私も主人と同様、こちらは盗作にはあたらないと思います。男爵がご準備されたものと、こちらのお店のものでは見た目も味も全く異なります。
最近お茶会などのお茶菓子でとてもお勧めできないものが一部で販売されており困っていると聞いたことがありましたが、どういうことなのかわかった気がします。
こちらのお店のお菓子は見た目も味もとても素晴らしいですわ。大変失礼ですが、どちらかというと男爵の方が盗作なのではないかと考えてしまいます。私からは以上でございます」
侯爵夫人、やはりお茶会のことをご存知でしたね。だから先ほどの“あぁ、これ。”だったのですね。
それに男爵家が盗作という話まで出てきてしまいました。これは王子の評価が気になるところですね。
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