上 下
1 / 87

目覚め…

しおりを挟む
『婚約式、本編では語られないけどここから第1王子と公爵令嬢の話しが始まるのよね』

頭の中にそんな声が響いた。
そして、色とりどりの絵が頭の中を駆け巡っていった。

次に気が付いたのはベットの上だった。

えと……たしか今日はジョン・スコラッシュ王子殿下との婚約式だった。
王子殿下と一緒に教会に入り、厳かな婚約式を行って、帰ろうとしていたはず……

あれ?私どうしたんだっけ?

前日徹夜で仕事してて、疲れてたけど今日は家に帰ろうって思って…電車に乗りたくて走ってて……

ん?電車?仕事?

あれ?これなんだっけ?

私は……冴木美加。27歳。仕事はゲームのシナリオライター。元々携帯でラノベを書いてて、小説デビューするもあまり売れ行きが伸びず、担当者さんからゲームのシナリオを書いてみないかと誘われた。だからシナリオを書いてみたらこれがヒットして、すでに10本以上のゲーム担当になっていた。その中でも個人的に好きだったのが『王子さまは男爵令嬢の虜~真実の愛に捧ぐ~』だ。
タイトルそのまま王子様が男爵令嬢と恋に堕ちて、結婚するという内容なんだけど、私はこのゲームの悪役令嬢が好きだった。自分で書いといてなんだけど、王子様が最悪で、いけ好かないやつ。それと真実の愛だなんて騒ぐ男爵令嬢もどうも好きになれなかった。シナリオを書いて、スタッフと試行錯誤しながらエンディングまで持っていったけど、最後には私は悪役令嬢の幸せを願っていた。だって女の嫉妬なんていつの時代もあるもので、人の婚約者に手を出してる男爵令嬢が悪いのに!婚約者がいるのに真実の愛だなんて訳の分かんない逃げ文句で浮気した王子が悪いのに!悪役令嬢は修道院に送られてしまった。家族にさえ見放されてしまって、一人で修道院へ。
ゲームが出来上がって、プレイして、修道院へ行くのを見送るたびに悲しいという思いよりもクッションを投げつけてやりたいほどに怒っていた。悪役令嬢が幸せになるストーリーも提案したのに需要がないと断られた。そしてその日も徹夜明けで疲れて家に帰って、小説で悪役令嬢のその後を書いてやろうと思ってたのに……



………思ってたのに?

あれ?なんでこんなこと思うんだろう…

私はシルヴィア・サルゴレット公爵令嬢なのに……
ゲームなんてこの世界にはないのに、ゲームを知ってる。電車もこの世界にはない。それなのに……

あれ?シルヴィア・サルゴレット公爵令嬢って………ゲームの中の悪役令嬢じゃない?
あれ?婚約した私の相手ってジョン・スコラッシュ第1王子。真実の愛だなんて言って、男爵令嬢と恋に堕ちるお馬鹿王子だ……

え?ここってゲームの世界?

……………いわゆる転生ってやつ?

そんなことってほんとにあるの?

いやあるとしか思えない現状だけど……

………よし!!いったん寝て、目が覚めても悪役令嬢ならその時考えよう。
おやすみなさい!

しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

転生したらついてましたァァァァァ!!!

夢追子
ファンタジー
「女子力なんてくそ喰らえ・・・・・。」 あざと女に恋人を奪われた沢崎直は、交通事故に遭い異世界へと転生を果たす。 だけど、ちょっと待って⁉何か、変なんですけど・・・・・。何かついてるんですけど⁉ 消息不明となっていた辺境伯の三男坊として転生した会社員(♀)二十五歳。モブ女。 イケメンになって人生イージーモードかと思いきや苦難の連続にあっぷあっぷの日々。 そんな中、訪れる運命の出会い。 あれ?女性に食指が動かないって、これって最終的にBL!? 予測不能な異世界転生逆転ファンタジーラブコメディ。 「とりあえずがんばってはみます」

【完結】悪役令嬢に転生したけど、王太子妃にならない方が幸せじゃない?

みちこ
ファンタジー
12歳の時に前世の記憶を思い出し、自分が悪役令嬢なのに気が付いた主人公。 ずっと王太子に片思いしていて、将来は王太子妃になることしか頭になかった主人公だけど、前世の記憶を思い出したことで、王太子の何が良かったのか疑問に思うようになる 色々としがらみがある王太子妃になるより、このまま公爵家の娘として暮らす方が幸せだと気が付く

不機嫌な悪役令嬢〜王子は最強の悪役令嬢を溺愛する?〜

晴行
恋愛
 乙女ゲームの貴族令嬢リリアーナに転生したわたしは、大きな屋敷の小さな部屋の中で窓のそばに腰掛けてため息ばかり。  見目麗しく深窓の令嬢なんて噂されるほどには容姿が優れているらしいけど、わたしは知っている。  これは主人公であるアリシアの物語。  わたしはその当て馬にされるだけの、悪役令嬢リリアーナでしかない。  窓の外を眺めて、次の転生は鳥になりたいと真剣に考えているの。 「つまらないわ」  わたしはいつも不機嫌。  どんなに努力しても運命が変えられないのなら、わたしがこの世界に転生した意味がない。  あーあ、もうやめた。  なにか他のことをしよう。お料理とか、お裁縫とか、魔法がある世界だからそれを勉強してもいいわ。  このお屋敷にはなんでも揃っていますし、わたしには才能がありますもの。  仕方がないので、ゲームのストーリーが始まるまで悪役令嬢らしく不機嫌に日々を過ごしましょう。  __それもカイル王子に裏切られて婚約を破棄され、大きな屋敷も貴族の称号もすべてを失い終わりなのだけど。  頑張ったことが全部無駄になるなんて、ほんとうにつまらないわ。  の、はずだったのだけれど。  アリシアが現れても、王子は彼女に興味がない様子。  ストーリーがなかなか始まらない。  これじゃ二人の仲を引き裂く悪役令嬢になれないわ。  カイル王子、間違ってます。わたしはアリシアではないですよ。いつもツンとしている?  それは当たり前です。貴方こそなぜわたしの家にやってくるのですか?  わたしの料理が食べたい? そんなのアリシアに作らせればいいでしょう?  毎日つくれ? ふざけるな。  ……カイル王子、そろそろ帰ってくれません?

皇太子の子を妊娠した悪役令嬢は逃げることにした

葉柚
恋愛
皇太子の子を妊娠した悪役令嬢のレイチェルは幸せいっぱいに暮らしていました。 でも、妊娠を切っ掛けに前世の記憶がよみがえり、悪役令嬢だということに気づいたレイチェルは皇太子の前から逃げ出すことにしました。 本編完結済みです。時々番外編を追加します。

[完]本好き元地味令嬢〜婚約破棄に浮かれていたら王太子妃になりました〜

桐生桜月姫
恋愛
 シャーロット侯爵令嬢は地味で大人しいが、勉強・魔法がパーフェクトでいつも1番、それが婚約破棄されるまでの彼女の周りからの評価だった。  だが、婚約破棄されて現れた本来の彼女は輝かんばかりの銀髪にアメジストの瞳を持つ超絶美人な行動過激派だった⁉︎  本が大好きな彼女は婚約破棄後に国立図書館の司書になるがそこで待っていたのは幼馴染である王太子からの溺愛⁉︎ 〜これはシャーロットの婚約破棄から始まる波瀾万丈の人生を綴った物語である〜 夕方6時に毎日予約更新です。 1話あたり超短いです。 毎日ちょこちょこ読みたい人向けです。

断罪されて婚約破棄される予定のラスボス公爵令嬢ですけど、先手必勝で目にもの見せて差し上げましょう!

ありあんと
恋愛
ベアトリクスは突然自分が前世は日本人で、もうすぐ婚約破棄されて断罪される予定の悪役令嬢に生まれ変わっていることに気がついた。 気がついてしまったからには、自分の敵になる奴全部酷い目に合わせてやるしか無いでしょう。

【完結】伝説の悪役令嬢らしいので本編には出ないことにしました~執着も溺愛も婚約破棄も全部お断りします!~

イトカワジンカイ
恋愛
「目には目をおおおお!歯には歯をおおおお!」   どごおおおぉっ!! 5歳の時、イリア・トリステンは虐められていた少年をかばい、いじめっ子をぶっ飛ばした結果、少年からとある書物を渡され(以下、悪役令嬢テンプレなので略) ということで、自分は伝説の悪役令嬢であり、攻略対象の王太子と婚約すると断罪→死刑となることを知ったイリアは、「なら本編にでなやきゃいいじゃん!」的思考で、王家と関わらないことを決意する。 …だが何故か突然王家から婚約の決定通知がきてしまい、イリアは侯爵家からとんずらして辺境の魔術師ディボに押しかけて弟子になることにした。 それから12年…チートの魔力を持つイリアはその魔法と、トリステン家に伝わる気功を駆使して診療所を開き、平穏に暮らしていた。そこに王家からの使いが来て「不治の病に倒れた王太子の病気を治せ」との命令が下る。 泣く泣く王都へ戻ることになったイリアと旅に出たのは、幼馴染で兄弟子のカインと、王の使いで来たアイザック、女騎士のミレーヌ、そして以前イリアを助けてくれた騎士のリオ… 旅の途中では色々なトラブルに見舞われるがイリアはそれを拳で解決していく。一方で何故かリオから熱烈な求愛を受けて困惑するイリアだったが、果たしてリオの思惑とは? 更には何故か第一王子から執着され、なぜか溺愛され、さらには婚約破棄まで!? ジェットコースター人生のイリアは持ち前のチート魔力と前世での知識を用いてこの苦境から立ち直り、自分を断罪した人間に逆襲できるのか? 困難を力でねじ伏せるパワフル悪役令嬢の物語! ※地学の知識を織り交ぜますが若干正確ではなかったりもしますが多めに見てください… ※ゆるゆる設定ですがファンタジーということでご了承ください… ※小説家になろう様でも掲載しております ※イラストは湶リク様に描いていただきました

公爵令嬢 メアリの逆襲 ~魔の森に作った湯船が 王子 で溢れて困ってます~

薄味メロン
恋愛
 HOTランキング 1位 (2019.9.18)  お気に入り4000人突破しました。  次世代の王妃と言われていたメアリは、その日、すべての地位を奪われた。  だが、誰も知らなかった。 「荷物よし。魔力よし。決意、よし!」 「出発するわ! 目指すは源泉掛け流し!」  メアリが、追放の準備を整えていたことに。

処理中です...