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目覚め…
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『婚約式、本編では語られないけどここから第1王子と公爵令嬢の話しが始まるのよね』
頭の中にそんな声が響いた。
そして、色とりどりの絵が頭の中を駆け巡っていった。
次に気が付いたのはベットの上だった。
えと……たしか今日はジョン・スコラッシュ王子殿下との婚約式だった。
王子殿下と一緒に教会に入り、厳かな婚約式を行って、帰ろうとしていたはず……
あれ?私どうしたんだっけ?
前日徹夜で仕事してて、疲れてたけど今日は家に帰ろうって思って…電車に乗りたくて走ってて……
ん?電車?仕事?
あれ?これなんだっけ?
私は……冴木美加。27歳。仕事はゲームのシナリオライター。元々携帯でラノベを書いてて、小説デビューするもあまり売れ行きが伸びず、担当者さんからゲームのシナリオを書いてみないかと誘われた。だからシナリオを書いてみたらこれがヒットして、すでに10本以上のゲーム担当になっていた。その中でも個人的に好きだったのが『王子さまは男爵令嬢の虜~真実の愛に捧ぐ~』だ。
タイトルそのまま王子様が男爵令嬢と恋に堕ちて、結婚するという内容なんだけど、私はこのゲームの悪役令嬢が好きだった。自分で書いといてなんだけど、王子様が最悪で、いけ好かないやつ。それと真実の愛だなんて騒ぐ男爵令嬢もどうも好きになれなかった。シナリオを書いて、スタッフと試行錯誤しながらエンディングまで持っていったけど、最後には私は悪役令嬢の幸せを願っていた。だって女の嫉妬なんていつの時代もあるもので、人の婚約者に手を出してる男爵令嬢が悪いのに!婚約者がいるのに真実の愛だなんて訳の分かんない逃げ文句で浮気した王子が悪いのに!悪役令嬢は修道院に送られてしまった。家族にさえ見放されてしまって、一人で修道院へ。
ゲームが出来上がって、プレイして、修道院へ行くのを見送るたびに悲しいという思いよりもクッションを投げつけてやりたいほどに怒っていた。悪役令嬢が幸せになるストーリーも提案したのに需要がないと断られた。そしてその日も徹夜明けで疲れて家に帰って、小説で悪役令嬢のその後を書いてやろうと思ってたのに……
………思ってたのに?
あれ?なんでこんなこと思うんだろう…
私はシルヴィア・サルゴレット公爵令嬢なのに……
ゲームなんてこの世界にはないのに、ゲームを知ってる。電車もこの世界にはない。それなのに……
あれ?シルヴィア・サルゴレット公爵令嬢って………ゲームの中の悪役令嬢じゃない?
あれ?婚約した私の相手ってジョン・スコラッシュ第1王子。真実の愛だなんて言って、男爵令嬢と恋に堕ちるお馬鹿王子だ……
え?ここってゲームの世界?
……………いわゆる転生ってやつ?
そんなことってほんとにあるの?
いやあるとしか思えない現状だけど……
………よし!!いったん寝て、目が覚めても悪役令嬢ならその時考えよう。
おやすみなさい!
頭の中にそんな声が響いた。
そして、色とりどりの絵が頭の中を駆け巡っていった。
次に気が付いたのはベットの上だった。
えと……たしか今日はジョン・スコラッシュ王子殿下との婚約式だった。
王子殿下と一緒に教会に入り、厳かな婚約式を行って、帰ろうとしていたはず……
あれ?私どうしたんだっけ?
前日徹夜で仕事してて、疲れてたけど今日は家に帰ろうって思って…電車に乗りたくて走ってて……
ん?電車?仕事?
あれ?これなんだっけ?
私は……冴木美加。27歳。仕事はゲームのシナリオライター。元々携帯でラノベを書いてて、小説デビューするもあまり売れ行きが伸びず、担当者さんからゲームのシナリオを書いてみないかと誘われた。だからシナリオを書いてみたらこれがヒットして、すでに10本以上のゲーム担当になっていた。その中でも個人的に好きだったのが『王子さまは男爵令嬢の虜~真実の愛に捧ぐ~』だ。
タイトルそのまま王子様が男爵令嬢と恋に堕ちて、結婚するという内容なんだけど、私はこのゲームの悪役令嬢が好きだった。自分で書いといてなんだけど、王子様が最悪で、いけ好かないやつ。それと真実の愛だなんて騒ぐ男爵令嬢もどうも好きになれなかった。シナリオを書いて、スタッフと試行錯誤しながらエンディングまで持っていったけど、最後には私は悪役令嬢の幸せを願っていた。だって女の嫉妬なんていつの時代もあるもので、人の婚約者に手を出してる男爵令嬢が悪いのに!婚約者がいるのに真実の愛だなんて訳の分かんない逃げ文句で浮気した王子が悪いのに!悪役令嬢は修道院に送られてしまった。家族にさえ見放されてしまって、一人で修道院へ。
ゲームが出来上がって、プレイして、修道院へ行くのを見送るたびに悲しいという思いよりもクッションを投げつけてやりたいほどに怒っていた。悪役令嬢が幸せになるストーリーも提案したのに需要がないと断られた。そしてその日も徹夜明けで疲れて家に帰って、小説で悪役令嬢のその後を書いてやろうと思ってたのに……
………思ってたのに?
あれ?なんでこんなこと思うんだろう…
私はシルヴィア・サルゴレット公爵令嬢なのに……
ゲームなんてこの世界にはないのに、ゲームを知ってる。電車もこの世界にはない。それなのに……
あれ?シルヴィア・サルゴレット公爵令嬢って………ゲームの中の悪役令嬢じゃない?
あれ?婚約した私の相手ってジョン・スコラッシュ第1王子。真実の愛だなんて言って、男爵令嬢と恋に堕ちるお馬鹿王子だ……
え?ここってゲームの世界?
……………いわゆる転生ってやつ?
そんなことってほんとにあるの?
いやあるとしか思えない現状だけど……
………よし!!いったん寝て、目が覚めても悪役令嬢ならその時考えよう。
おやすみなさい!
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