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しおりを挟むジョシュアはてっきり救出の方法までアーネイスが考えていると思っていたのだ。
それがなんの策もないだなんて。
とりあえず話を終えたジョシュアはアーネイスと別れ、自室に戻り考えることにした。
できれば事を荒立てずにナティシアと会いたい。
ジョシュアはこれから必死に口説いて、ナティシアに婚約者になってもらい、妃になってもらいたいと思っていた。
その為にもできれば家門の悪評は広めたくなかった。
父親が娘を愛し、閉じ込めようとする異常者など噂させたくはない。
だが、同時に公爵のことを捕えて牢にでもぶち込んでやりたくなってしまうのだ。
孤独な牢の中で苦しみながらナティシアの苦しみを思い知ればいいと。
そんなことを考えながら眠りについた。
アーネイスと初めて言葉を交わしてから3日目の朝、ジョシュアは侍医とクライブ率いる第1騎士団と共にクレンティ公爵家を訪問していた。
「公爵、朝早くから申し訳ありません。
何度もナティシア嬢との面会をお願いしておりましたが、体調不良とのことで王家としても大変危惧しておりました。
彼女の体調不良が私の婚約者候補となってしまったからだということであれば、その責は王家にあると考えています。
そのため侍医に一度診察させるべく連れて参りました。こちらでもすでに医師に見せているとは思いますが、いろいろな目があるに越したことはないでしょう。伏せている女性の部屋に私が入るわけにはいきませんので侍医だけで構いません。
念のため部屋の前に騎士を配置しますのでご安心ください」
マックスとしても好意で侍医を派遣されたのに、王家の意向を無碍にすることはできなかった。王太子と侍医にここまで来られているのに、拒否するだけの理由を持ち合わせていなかったということもあり、受け入れることしかできなかったのだ。
侍医は執事に案内されナティシアの部屋に行き、ジョシュアと落ち着かない様子のマックスは応接室にて待つことになった。
お茶を飲み、特に話しも進まないままカチカチと針の音が部屋の中に響いていると慌てるような足音が部屋の外から聞こえてきた。
バタン
「王太子殿下、ナティシア嬢は想像よりも重篤な症状です。
ろくに食事もとれていないのでしょう。身体もやせ細り、免疫が落ちております。
それに加え肺から異常な音が聞こえます。
ですが、ここには必要な器具がなく、適した環境でもないためこれ以上の診察は難しいでしょう。一度ナティシア嬢を王宮にて検査した方がよろしいかと。このままでは最悪の事態にもなりかねません」
大きな音を立てて開いた扉から入ってきたのは興奮した様子の侍医とその後ろから遅れないようにとついてくる公爵家執事の姿だった。
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