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しおりを挟む「ナティシアは今あの変態じじいに閉じ込められてるわ。
せっかくあの子があの地獄から抜け出せると思ったのに、今度はあのじじいのせいで身動きすら取れなくなってしまった。
あなたナティシアの王子様なんでしょう?
どうしてさっさと迎えに行かないの」
ナティシアの王子様の言葉にどういうことかと尋ねたかったジョシュアだがそれよりも聞かなければならない事が多すぎて、聞かなかったことにすることにした。
「変態じじいとは誰だ?
もしかしてナティシアはどこかに連れ去られているのか?
ならなぜ公爵はそれを報告しない!そうすれば騎士団を派遣するのに!」
「その公爵が変態じじいだからよ」
魚の言葉の衝撃に、一瞬何も考えることができなくなってしまった。
公爵が変態じじい?
どういうことだ?
公爵は間違いなくナティシアの実の父親のはず。
それなのに公爵に閉じ込められている?
「ちょ、ちょっと待ってほしい。
…………いきなり情報が多すぎて理解が追い付かないんだ。
ま、まず…なぜあなたは話せるんだ?
それにどうしてナティシアを知っているんだ?」
「そうね。
急にこんな状況、困惑してしまうのも無理はないわね。
説明してあげたいところだけど、詳しい事は私からは教えてあげられない。
その資格があるのならば、きっと今後知ることになるでしょう。
私が話せるのは私が特別だから。
それでも本来ならば人間とこうして話すことはないのだけれど、緊急事態の中で私があなたを選んだからこうして話すことができているの。
そしてなぜナティシアを知っているのかという問いには守るべき子だからとだけ言っておくわ。
私は彼女が小さいときから知っているの。
そして彼女を守りたい。だからあなたの力を貸しなさい」
彼女の言葉にジョシュアが感じたこと。
ほとんど何も説明してくれる気はないのだなということだ。
それでも自分にナティシアを助ける力があるということを知っただけでも、何もできず自分の不甲斐なさを感じていた今のジョシュアにとっては大きな一歩だった。
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