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イザエルが取り調べに連れていかれた後、苦しい立場に陥ったものがいた。
イザエルを庇い立てたリターシャとグレース、またそれを擁護する立場にいたクレンティ公爵とグライアンスだ。
池に毒を垂らされ、魚が死にかけたことに腹を立てた令嬢が犯人を叩いた。叩いたこと自体は褒められたことではないが、その気持ちはわからなくはない。特に可愛がっていた魚ならなおのことだろう。
それなのに事情を知ってか知らずか、心優しい令嬢はこぞって責められることになったのだ。しかも2人ともナティシアが立場を追われれば得をする人物。非難の目を向けられても仕方がない。
しかしリターシャは公爵令嬢ということもあり表立って非難されることはなかった。
イザエルの毒物事件に加担したのではと噂も上がったが、証拠は出ていないということで、表立った批難が来ることはなかったのだ。
しかしグレースとグライアンスは違った。
家族であるなら本来守ってもいいはずなのに、ただただナティシアを貶めたのだ。しかも王太子殿下の婚約者候補としての茶会の場で嘘つきだと罵ったのだ。
アクアンティ公爵であるマックスはグライアンスの公爵夫人としての全権限を停止させた。合わせて夫人裁量予算を1/10とし、グレースとグライアンスはマックスの許可が出るまで領地での生活となった。
領地での生活=王都への旅行や社交会への参加が禁じられたのだ。
グライアンスとグレースは何度もマックスにかけあおうとしたが、マックスは会うことすら許可しなかった。
結局2人はそのまま領地へと連れていかれてしまったのだ。
王太子殿下の婚約者が決まるのではと皆が浮き足立っていたところに起きた今回の事件。
3人いた候補は2人に減り、ナティシアとリターシャの一騎討ちとなった。
しかしここで予期せぬ出来事が起きた。
アクアンティ公爵がナティシアの婚約者辞退を申し出たのである。
王家からは理由を問われ、公爵は次の様に答えた。
「言葉を話せない娘に王太子殿下の婚約者は務まりません。
王太子殿下と支えあいながらこれからを過ごさねばならないのに、娘では支えてもらうばかりであり、殿下の苦労はいかばかりかと考えてしまうのです。
そのような娘には将来の国母としての適性も不安が残ります。
身内の私ですら不安を覚えるのです。国民の事を考えれば辞退するべきと考えた次第です」
この答えを聞けば納得できる者も少なくはないだろう。
イザエルを庇い立てたリターシャとグレース、またそれを擁護する立場にいたクレンティ公爵とグライアンスだ。
池に毒を垂らされ、魚が死にかけたことに腹を立てた令嬢が犯人を叩いた。叩いたこと自体は褒められたことではないが、その気持ちはわからなくはない。特に可愛がっていた魚ならなおのことだろう。
それなのに事情を知ってか知らずか、心優しい令嬢はこぞって責められることになったのだ。しかも2人ともナティシアが立場を追われれば得をする人物。非難の目を向けられても仕方がない。
しかしリターシャは公爵令嬢ということもあり表立って非難されることはなかった。
イザエルの毒物事件に加担したのではと噂も上がったが、証拠は出ていないということで、表立った批難が来ることはなかったのだ。
しかしグレースとグライアンスは違った。
家族であるなら本来守ってもいいはずなのに、ただただナティシアを貶めたのだ。しかも王太子殿下の婚約者候補としての茶会の場で嘘つきだと罵ったのだ。
アクアンティ公爵であるマックスはグライアンスの公爵夫人としての全権限を停止させた。合わせて夫人裁量予算を1/10とし、グレースとグライアンスはマックスの許可が出るまで領地での生活となった。
領地での生活=王都への旅行や社交会への参加が禁じられたのだ。
グライアンスとグレースは何度もマックスにかけあおうとしたが、マックスは会うことすら許可しなかった。
結局2人はそのまま領地へと連れていかれてしまったのだ。
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しかしここで予期せぬ出来事が起きた。
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王家からは理由を問われ、公爵は次の様に答えた。
「言葉を話せない娘に王太子殿下の婚約者は務まりません。
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そのような娘には将来の国母としての適性も不安が残ります。
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