(仮)母を亡くした令嬢が幸せになるまで

暖夢 由

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公爵家の一室で行われることになった検査。
部屋の前には男性騎士が配置され、女性騎士がイザエルの服の中を調べた。

令嬢の服の中とのことで最大の配慮が行われ、時間をかけて調べることとなった。

お茶会は一度お開きとしたが、帰る客はほとんどおらず、検査が終わるのを固唾をのんで待っていた。

アクアンティ公爵と王太子で話し合いをし、希望する者は残ってもいい様にしたのだ。

王太子の婚約者候補の2人がかかわっている今回の件、噂が独り歩きしては困るとし、このような状況になった。


イザエルが検査を受けるために連れていかれてからしばらくたった時、男性騎士が王太子に近づきなにかを告げた。

何が話されているのか、周囲は黙って2人を見つめていた。

王太子はふーっと息を吐いたかと思うと、スッと顔を上げた。


「皆さん待たせてしまいましたが、今騎士より結果が報告されました。

調べた結果………イザエル・スティートゥ伯爵令嬢の服の中より毒物が発見されました。
瓶の中には半分ほど毒があり、半分は使用した形跡があるとのことです」


王太子の言葉を聞いて、スティートゥ伯爵夫人はその場で気を失い倒れてしまった。
また父親である伯爵はガタガタと身体を震わせた。

「そんな」「貴族令嬢が毒を茶会に持ち込むだなんて」大きなざわめきが広がったが、今回検査をしたのは王太子直属の騎士団である。結果に異を唱える者は誰もいなかった。

「これから毒の使用目的や入手経路など、動機など取り調べを行うことになります。
報告できることがあるば後日公表することになるでしょう。

まだわからないことが多くありますので、憶測で広めることがないようにお願いします」

王太子の言葉でこの場は正式に解散されることとなった。

この時人知れず唇を噛んでいたのがリターシャだということをまだ誰も知らなかった。



イザエルはそのまま取り調べされることとなったが、その場所はアクアンティ公爵家から騎士団へと場所を移すこととなった。

そこで身体を震わせながら「なにかの間違いよ」「私ははめられたの。だって私は王太子殿下の婚約者候補なのよ」と必死に否定していたそうだが、貴族牢に入れられ、本格的に取り調べが始まった2日目には耐えきれず、ぽつぽつと話し始めたそうだ。

イザエルが話したこととは・・・・・・

「せっかく王太子殿下の婚約者候補になれたのに、なぜか王太子殿下はナティシア様とばかり交流を深めようとしていました。私もどうにかして王太子殿下の目にとどまらなければと焦っていました」とのことだった。

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